私立の中高等学校で授業参観

先週、私立の中高等学校へ授業参観に出かけました。この学校の今後の授業評価の進め方の参考にするためです。校長とともに1時限目から2時間学校全体の様子を参観させていただきました。

印象的だったのが、授業者によって子どもたちの学習に対する集中度が変わることと、授業者との人間関係が上手く作られていない学級が目立ったことです。1時限目は子どもたちが一番集中しやすい時だと思いますが、それにもかかわらずやる気を失くしている子どもが目立つのが気になりました。しかし、私には子どもたちの問題よりも授業者の姿勢の方に問題があるように思えました。子どもたちの可能性をあまり信じていないように感じたのです。子どもたちは理解できるはずだ、きっとできるようになるはずだというエネルギーが授業から伝わってこないのです。とりあえず説明はした、やるべきことはやっているという、アリバイ作りをしているようしか見えないのです。

子どもたちは大きく3つのコースに分かれるのですが、それぞれに学習の姿勢に特徴があるのも興味深い事実でした。中学校からそのまま上がってきた子どもたちは、教師とよい人間関係ができています。学習に対して前向きで、よい表情で授業者の話を集中して聞いています。特別進学コースの子どもたちは、授業には参加しているのですが、授業者の説明よりは板書を優先する傾向があります。基本的に必要な情報だけを得ようとする消費者的な態度が気になります。一般のコースの子どもたちは、素直ですが授業者との関係や授業の進め方、その内容で学習に対する姿勢が大きく変わるようでした。学習のプリントなどやるべき課題が明確であれば集中して取り組む姿勢を見せてくれます。授業者の工夫の余地が大きいように思います。

ある学級で面白い場面にであいました。授業者が所用で教室を離れていた時に子どもたちが集中して問題に取り組んでいたのですが、戻ってくるとその集中が急に落ちてしまったのです。どう解釈していいか悩みますが、普通では起きにくいことです。

授業の進め方に共通していたのは、授業者の一方的な説明と板書に終始することです。子どもたちが活躍する場面が非常に少ないのです。授業者と子ども、子ども同士がかかわる場面も非常にまれです。子どもたちは、教師の説明を聞けばわかるようになるという実感をあまり持っていないようです。説明を聞くよりも板書を写すことを優先します。中には、試験に出るからと点数で子どもを釣るような方もいらっしゃいました。

以前に行われた授業に対するアンケート評価の結果と比べると実際の方がよくない状態に見えます。今回たまたま評価の高い実力のある方の多くが出張だったこともその原因の一つかもしれません。ただ、無記名のアンケートでこのように感じるということは、子どもたちが先生方に気を使っているのかもしれませんし、逆に期待をしていないことの現れかもしれません。

先生方の授業の実態について校長はとてもよく把握し理解しておられました。しかし、具体的にどのような手立てを取ればよいかに悩まれているようでした。
学年が上がるにつれて子どもの状態がよくないと感じます。先生方が子どもたちを育てていないという証拠です。ということは、しっかりと育てれば大きく伸びるということです。子どもたちの伸び代はとても大きいのです。先生方がこの可能性を信じることが大切だと思います。
これから校長はじめ先生方と一緒に、どう子どもたちを育てていくか、どう授業を魅力的なものに変えていくかを考えていきたいと思います。

「楽しく、手軽に授業改善をしよう」第3回公開

「愛される学校づくり研究会」のWEBサイトで、教育コラム「楽しく、手軽に授業改善をしよう」の第3回「失敗を前提としたプチ授業研究」が公開されました。

ぜひご一読ください。

授業技術について講演

先週、市主催の研修で講演を行ってきました。今年の1月に小中学校の管理職向けに研修を行ったのですが、その際具体的な授業技術について時間の関係で話ができませんでした。そこで、今回は市内の小中学校の若手と若手を指導する立場の方を対象に日々の授業技術について話をしました。

ちょっと暑い平日の午後でしたので、開始前からお疲れ気味の方がやや目立ちました。個々の授業技術について説明する前に、目指す子どもの姿について話しましたが、どうも空気が重いようです。「自ら考える子ども」「自己有用感を持つ子ども」といった言葉が陳腐に聞こえたのかもしれません。
授業を考える視点として、「安心して暮らせる学級・教室をつくる」「子どもを受け身にさせない」「子どもの言葉で授業をつくる」「考えるためには課題が大切である」の4つを挙げ、それぞれについて解説をしました。
続いて、授業技術やそのポイントについて具体的な場面を基にお話ししましたが、このあたりから参加者の反応がよくなってきました。具体的な話でないとなかなか関心を持っていただけないことがよくわかります。いつも話していることですが、まず笑顔の大切さ、話すことよりも聞く姿勢の大切さを強く訴えました。また、今回は最近特に強く感じている「全員参加」の授業の大切さについて具体的に詳しく話をしました。個人追究の後、「わかった人」「できた人」と問いかけ、挙手した子どもを指名して進める、参加できる子どもだけで進む授業によく出会うからです。この市での実際の授業の様子は残念ながらまだ見る機会がないため、そんなことはないのかもしれませんが、先生方の反応を見ているとあながち的外れではなかったように思いました。

最後の質問の時間に、ある学校の管理職の方が最近は学力向上の話が多いが、今回のような授業論は久々で期待した以上だったと感想を発表してくださいました。社交辞令かもしれませんが、機会があれば自校の授業を見てほしいと、とてもうれしい言葉をいただけました。
担当の指導主事の方に、現場での授業研究に参加できる機会をいただけるようにお願いしています。新しい地域で授業を見せていただくと本当に学ぶことがたくさんあります。なかなか実現しないのですが、何とか秋には調整がつくことを期待しています。
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