教育目標の公開で考える

4月になって新年度の教育目標などが職員に向けて発表されていることだと思います。これとほぼ同時に保護者や地域の方に向けてホームページで公開している学校が何校もあります。意識のある方は入学式やPTA総会などの前に見ることができます。とはいえ、これらの資料を見るだけで保護者や地域の方が理解できるものかどうかは疑問があります。言葉だけではどうしても具体的な姿が見えにくいからです。だから価値がないということではありません。逆に「教育目標が示すものは、子どもたちがどういう場面でどうなることか、具体的によくわからない」と疑問を持ってもらえればよいことなのです。授業でいえば予習したが、よくわからなかったという状態です。PTA総会などで、疑問を解決しようと意識して校長の説明を聞けば、よりよく理解できるはずです。教育目標を公開したからよいのではありません。公開することから、理解し、評価していただくことにどうつなげるか、そのプロセスが重要です。

ホームページで素早く公開するような校長は、教育目標を保護者に向かって説明する機会や、その具体的な場面をホームページで公開することを当然考えていることでしょう。学校公開日には、教育目標と授業の関係を明確して、子どもの姿で学校を評価してもらいたいと思っているに違いありません。しかし、保護者や地域の方はよほど学校のことがわかっていなければ、そのことには思い至りません。教育目標を見て、なんとなくそういうものかと思うだけで記憶にもあまり残らない可能性があります。これでは意味がないのです。また、校長だけでなく、各学級担任も保護者に対して、教育目標達成のために自分はどのような学級運営をするかきちんと伝えなければなりません。残念ながら、学校の教育目標についてたずねられて、きちんと説明し、それに向かってどのように行動しているか話せる先生にあまりお目にかかれたことがありません。職員にも教育目標を意識した教育活動を徹底することが求められます。

・教育目標については、いつだれが具体的に説明をするか
・具体的な場面をどのような形で伝えていくか
(ホームページの記事や学校公開日の授業、行事との関連など)
・教育目標と関連して学校の評価をいつどのようにしておこなうか

教育目標の公開と同時に、こういったことをきちんと伝えておく必要があると思います。教育目標を学校が保護者や地域の方と共有し、達成に向けて協力し合う関係をつくるには、公開すれば終わりではなく、達成に向けてのプロセスを共有することが求められます。

忙しい時期だからこそ学べる

初めて担任を持った方は、入学式・始業式に向けていろいろな準備に追われていることでしょう。職員会議や学年会などで連絡、指示された事柄をこなすだけでも目が回っていることだと思います。初任者などで担任を受け持たない方も、何かと慌ただしく過ごしていることと思います。
経験の少ない若い方に伝えたいのは、忙しい時期だからこそまわりを見るということです。隣の席に座っているベテランは何をしているのだろう、他の分掌はどんな仕事をしているのだろうとちょっとした時間の隙間にのぞいてみるのです。こまかい内容までわからなくてもいいのです。何のためにどんな仕事をする必要があるかを意識するのです。ベテランは先を読んで仕事ができます。今自分が手一杯でとてもそこまでやる余裕はなくても、すぐに必要となることです。この先何があるかが見通せているだけで、ずいぶんと違うものです。忙しい時期だからこそ、どんな仕事があるのか、必要なのかが見えてくるのです。

なかなか余裕がないかもしれませんが、時々は息抜きを兼ねて校舎内を見回るといいでしょう。教室の様子も学級によって異なっているはずです。いつでも子どもたちを迎えられるように掲示物などの準備が整えられている学級もあるはずです。一方、あえてほとんど何もしていない教室もあるかもしれません。新学期が始まってその教室がどのように変わるか見ることもよい勉強になります。自分たちでやらせるために、あえて担任が何もしていないのかもしれない。そんなことを想像しながら観察するのです。
新学期は最初の1週間が大切だとよく言われます。その貴重な時期に何をしなければいけないのかを学ぶ一番の機会なのです。書類作成や整理などの事務的な作業もたくさんあります。それと同時に子どもたちとかかわるために必要なこともたくさんあります。しかし、この学級経営に関することは経験がないとなかなかわかりませんし、具体的に教えてもらえません。5月になってどうも学級がうまくいかないと思っても、一番大切な時期はもう終わってしまっているのです。
ちょっと立ち止まってまわりの先生がどんなことをしているか観察してみてください。学級開きの時には、どんな話をするのか、またしたのか教えてもらってください。そこから、学級経営のヒントをたくさんもらえます。

また、担任を受け持たない先生は自分が所属する学年の先生が何をしているか、それこそ真剣に観察してください。自分が担任を持った時に必要なことの多くを学ぶことができます。若いころ、副担任をしている学級の担任の後を金魚の糞のようについてまわり、とにかく何をしているのか盗もうとしたことを思いだします。その先生から学んだおかげで、初めて担任を持った時、子どもたちのためにいつ何をしなければいけないのか、先を見通して学級経営をすることができました。

忙しい時期だからこそ、他から学ぶよい機会だととらえてください。この時期にしか学べない貴重なことがたくさんあることを意識してほしいと思います。

バスツアーの添乗員の話

先日バス旅行した方から、添乗員さんの話を聞きました。トラブルが多かったというその話は、学校にも通じることでした。

集合場所は駅の地下街の通路だったそうです。開店前なのでお店に迷惑にならないからのようです。しかし、通路を通る方もいます。50名近くの方が広がっていたので、通行の妨げになっていたようです。添乗員が広がらないようにちょっとお願いをすれば、このようなことにならなかったはずです。事実、隣のバスの添乗員さんはきちんと指示をしていたのでこのようなことはなかったようです。指示さえ出せば規律を守ることができる方がほとんどのはずです。リーダーしだいです。学校でも似たような光景をよく目にします。同じ学年でも学級担任の指示によって子どもたちの様子が異なります。自分の学級と隣の学級の違いに気づいて、修正していくことが大切です。

集合場所からバスまではかなり距離があったようです。人が多い駅の中を通って外の駐車場まで移動します。この添乗員さんは「私についてきてください」と言って歩き出しました。しかし、背が低いためどこにいるのか見えません。外は雨が降っているので、傘でますます見にくくなります。隣の添乗員は傘を上に上げて目印にしていたそうです。教師の中には、引率などの時には目立つ服装を心がける方も多いと思います。私も赤い帽子を持っていたことを思いだしました。
バスの入り口で座席表を見せて座席を指示します。この座席表はどちらが前かよくわかりません。運転手の位置が書かれているのでそちらが前であることはわかりますが、よく見ないと気づきません。赤字で「前」と書き込んでおくといった工夫がほしいところです。座席は何列目かで指示されているのですが、バスの座席番号は通し番号になっています。座席番号では何列目かがわからないのです。後ろの座席の方は、列を数え間違える危険性もあります。事前にバスの座席番号を調べておいて、座席表に書き込んでおくといった配慮がほしいところです。
バスに全員乗った後、新ためて自己紹介をしますが、運転手を紹介しようとして名前が出てきません。運転手にたずねるという失態を演じたそうです。これも、事前にちょっと確認しておけば済むことです。こういうことが続くとお客様の信頼を無くしてしまいます。
教師でも同じですね。4月はこまごまとしたことが多い時期です。指示することもたくさんあります。事前に準備をして、間違いが起きにくいように配慮をすることが大切になります。

バスが休息所についた時に、休憩時間は伝えるのですが、次の休息所までの時間を伝えません。簡易トイレしかないところもあるのでその情報も必要です。また、雨が降っているので、バスはお客が濡れないように入口の横に止めました。しかし、帰りもそこに止めてもらえるかはわかりません。傘を持っていくべきかどうか悩みます。帰りはどこから乗れるかという情報も必要です。
いちご狩りが組み込まれていたのですが、ハウスの中です。中では傘は必要ありません。また、傘を持っていると練乳を持っていちごを取ることができません。傘立てがないかもしれないので少々濡れますが、みなさん傘を持たずにハウスに向かったそうです。しかし、ハウスの入り口にはしっかりと傘立てがあったようです。添乗員に確認すればいいことかもしれませんが、大勢いる時にはなかなか聞きづらいこともあります。お客にとって必要な情報が何かを考えて、きちんと伝えようとする姿勢が必要です。これも教師と共通するところですね。

さて、このツアーはいちご狩りの時間が60分と長いことが売りでした。しかし、添乗員からの指示は40分で戻るようにとのことでした。おかしいなと思いつつ、まあ40分も食べ続けられないからいいかと思って指示に従ったそうです。しかし、40分で戻ってみると全員そろいません。60分ほどで戻ってくる方が何組かいたそうです。どうやら添乗員に時間のことを抗議して、60分に延長されたようなのです。しかし、抗議をした方とそのまわりにいた方だけにしか伝えなかったようです。たしかに、解散したあとで連絡しにくかったかもしれませんが、全員ハウスの中にいたはずですから伝えようはあったはずです。このような対応では、60分もいなかったと思っても不快な気分にさせられます。
似たようなことが授業でも起こります。机間指導中に子どもから質問を受けてその場で答えてしまう場面を目にします。全体に伝えるべきことであれば、いったん作業を止めて集中させてから、あらためて全員に指示すべきです。

これは力量不足の添乗員がいかに信頼を得られないかという話ですが、教師も同じです。子どもの視点に立って、伝えるべきことを伝え、わかりやすく指示することが授業の基本です。この基本ができていないと、子どもたちから信頼を得られず学級経営もすぐにままならなくなります。4月の出会いでは特に大切なことです。このことにあらためて気づかせてくれる話でした。

平成26年度教師力アップセミナー

平成26年度教師力アップセミナーのプログラムが公開されています。
今年度も素晴らしい講師陣です。参加された方に大きな学びがあることと思います。

ぜひ参加をご検討ください。ホームページから申し込みもできます。

新年度になりました

いつも日記をご覧いただきありがとうございます。
学校関係以外の仕事も徐々に増えていますが、こういった仕事も含め、日々の仕事から学んだことを発信し続けようと思います。

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