長瀬拓也先生から学ぶ

本年度第1回目の教師力アップセミナーは、中津川市立蛭川中学校の長瀬拓也先生の講演でした。会場を大口町立大口中学校へ移しての初めてのセミナーということで、運営上のいろいろな課題もありましたが、多くの方の協力で無事に終えることができました。

長瀬先生は教職9年目という、まだ若手と言ってもよい方です。今回の講演は「教師の成長」にスポットをあてたものでした。若い先生とお話をしていると、すぐに使える How to を求められることが多く、またそれに応えようとしていたのですが、成長するための方法、アプローチを一緒に考えることが必要だと気づかせていただきました。
失礼な言い方かもしれませんが、お話を聞きながら長瀬先生は「発展途上人」だと思いました。自分を見つめ、自分が成長するために必要な行動をとり、日々前へ向かって進んでいる。その勢いを感じました。この先5年、10年とどのように変貌していくかとても楽しみな方でした。

年齢の近い方から「共感を持って聞くことができた」「自分の教師としてのこれからの生き方の参考になった」という感想を聞くことができました。私のように年齢を重ねたものにとっても、自分の原点はどこにあるか見直すよい機会でした。
私の成長のキーワードを振り返ってみると「見る」ということでしょうか。自分の目で見た授業やできごとからいかに多くのことを「学ぶ」か、そしてそれを自分の言葉でどのように整理し「語る」かが私の成長の原点であると再認識できました。
話は少しそれますが、かつて私はよい授業を見ることが成長への近道だと考え、よい授業を見ることにこだわっていました。しかし、よい授業にこだわるのではなく、目の前の授業から何を学べるかが大切だと思うようになりました。たとえ未熟な新任の授業でも、子どもの事実と、その原因、授業者の思いとの関係などを見つけようとすることではまた違ったものが得られるからです。このことに気づいてからは授業を見ることからの学びが豊かになったように思います。私が学校から講演をお願いされるとき、たとえ廊下からでもよいから授業を見せていただくことを条件にしている理由がここにあります。

若手の先生方に、目先の問題解決ばかりでなく、いかにして教師として成長していくかを一緒に考えることをもっと意識しなければいけない。このことに気づけた、私にとってとても有意義なお話でした。また、自分の成長のキーワードが「見る」であることを意識できたことで、今後、若手の先生に「見る」ということと教師の「成長」とを結びつけて伝えることができるようにも思います。充実した時間を過ごせたことを長瀬先生に感謝します。

「学級経営のポイント」について講演

昨日は中学校で「学級経営のポイント」についてお話をさせていただきました。特に学級の状態の「チェックと修正」を中心に話しましたが、たまたま5月の連休明けという大事なチェック時期ですので、例としてこの時期にすべきチェックをリストアップしてみました。

・基本的生活習慣の確立(特に1年生)
 学習と部活動の両立
 学習習慣の確立
 欠席・遅刻・早退

・人間関係(友人関係の再構築の時期)
 どういうグループがあるか
 学級内の友人関係と他の学級との友人関係
 孤立していないか

・学習規律の確立(授業態度)
 集中力・指示への反応
 聞く姿勢(教師・友だち)

・生活規律の確立
 時間を守れるか
 規則を守れるか
 掃除がしっかりやれているか

・進路指導面(特に3年)
 真剣に向き合えているか
 不安を感じていないか

・・・

こういうチェック項目を時期ごとにリストアップするのは個人では意外と大変かもしれません。学年や学校全体で時期ごとのチェック項目をつくっておくとよいと思います。

チェックの方法ですが、大きく3つあると思います。

・毎日の観察
 定点チェック
  欠席・遅刻・早退
  下駄箱
  ロッカー
  トイレのスリッパ
  始業前のようす
  ・・・
 声かけ
 空き時間に他の教科の授業を覗く
 他の先生からの情報(授業・部活動・委員会活動etc.)

・データ
 成績
  絶対と相対
  平均より度数分布
  個人の変化
 アンケート
  平均と個人の差を見る
  同じ項目で変化を見る
  相談したいことがあるかを問う
 生活記録・学習記録
  変化に注目

・面接・面談
 個別
  個人カルテをつくっておく
 グループ
 保護者

特に観察は、意識していないことは目に入らないので、何を見るかを明確にしておくことが大切です。また、ベテランと若手の差のつきやすいところでもあります。観察するには、比較の基準を持つことが大切ですが、多くの学級を見てきたベテランは色々な学級の状態を知っているので、しっかりとした基準が持てているのです。経験の少ない若手は、他の学級のようすを学級経営の視点で観察し、その変化を見ることで経験値を増やしてほしいと思います。よい方向に変化していれば、間違いなく担任の働きかけがあったはずです。そこを知ることで観察のポイントと対応が明確になります。それがわからないときは思い切ってその担任に質問してみるとよいでしょう。きっと快く教えてくれるはずです。

チェックの結果、問題点が明らかになれば修正が必要になります。その視点の一つが、個の問題であるか、全体の問題であるかです(個の問題か全体の問題か意識する参照)。

要所要所で学級の状態をチェックし、早めに対応することが学級経営のポイントになります。
今回、若手だけでなく、ベテラン(特に女性)の方にも熱心に聞いていただけました。私の話がこれからの学級経営に少しでもお役に立てばうれしく思います。

何が大切か判断する力をつける

授業中、「ここが大切」だと教師が強調することがよくあります。子どもたちに意識させて、しっかり身につけてほしいからです。「大切だから試験に出します」といった表現もよく耳にします。しかし、いつも教師がここが重要だ、大切だと子どもに示していると、自ら判断する力がいつまでたっても身につきません。

自分で学習することを考えれば、何が大切か、どこがポイントかを自分で判断する力が重要なのは間違いありません。いつも受け身で教師の指示に従い、板書を写し、教師が示す重要なところに線を引き、それを覚える。確かにその教師がつくる試験にはこれで十分対応ができますが、これが勉強だと勘違いしてしまっていては困るのです。自ら学べる子どもにするためには、判断する場面をたくさん経験することが大切です。たとえ判断を間違えても、その経験を積み重ねることで正しい判断ができるようになります。

最近はあまり聞かなくなりましたが、私が学生の頃は試験に「山を掛ける」ということをよくやっていました。あまりほめられてことではありませんが、試験の範囲をすべてやる代わりに、出題されそうなところを集中して勉強することです。山が当たる当たらないで、結果は大きく違います。しかし、試験には重要なことが出題されるわけで、何が重要かを判断するという意味では、あながち間違っているとはいえない学習方法なのかもしれません。

要は何が重要かを判断するというメタな力をつけることを意識してほしいのです。子どもは楽をしてよい点数を取りたい。教師は大切なことを身につけてほしい。両者の思惑が一致して、「ここが大切」と教師が伝える授業をつくっているのです。しかし、ここで止まってしまっては、結局誰かに教えてもらわなければ、極論すれば「ここが試験に出る」と言ってもらわなければ、勉強できない子どもになってしまうのです。目先のことにとらわれすぎてはいけないのです。

「今日の授業で何が大切だったか」
「何がわかれば、よかったか」
「他の場面でも利用できそうなものは何か」
「いつでも言えることは何か」
「共通していたことは何か」
「何が今までと異なったか」
・・・

教師が常にこのような問いかけをし続けることで、自ら問いかけるようになっていきます。その結果、何が大切か、重要かが明確になり、自ら判断できるようになるのです。

人は一生勉強を続けなければいけません。子どもたちにその基本となる「学ぶ力」をつける必要があります。その一つが、「何が大切かを判断する力」です。こういう目に見えにくい力をつけることも意識してほしいと思います。

解いた問題量と成績は比例する!?

「解いた問題量と成績は比例する」ということを言う教師がいます。私はこのようなことは絶対に言いません。逆にこのことを強く主張する教師を信用するなとも言っています。

解いた問題量が0に近い子どもが問題に挑戦すればまず間違いなく成績は上がると思います。しかし、あるところで頭打ちになってきます。理由はいくつかありますが、やみくもに問題を解いて身につく力は限られていること、学習時間に限界があるため1日あたりの解く量には限界があることが主なものです。

問題を解いて、知識や解き方のパターンを「覚える」という学習では、結局記憶量を増やすということです。覚えても忘れることは当然ありますが、単純にたくさん覚えればそれだけたくさん忘れるわけで、効率は漸減していきます。知識を有機的につなげ、より上位の概念で統合するといったことをしていかないと効率は上がりませんし、活用することもできません。ただ解けばいいというものではないのです。運動を例にすればわかると思いますが、練習量は大切な要素ですが、その内容も問われます。工夫はとても大切なことです。また、1日当たりに可能な練習量にも限界があります。そのため効率的な練習が求められるのです。

とはいえ、問題をたくさん解くことを否定しているわけではありません。ただそれだけでは到達できる場所は限られているのです。小中学校では求められる知識や力はそれほど高いものではありません。問題量だけでもクリアできることが多いのも事実です。しかし、高校ぐらいの内容になってくるとそうはいきません。高校になって勉強がやりきれない、時間が足りないと学習面の悩みを訴える子どもの多くは、覚える、問題を解くことのくり返しで学習していることが多いのです。
逆に中学校では求められる知識は相対的に少ないので、単に問題を解く、解ければよいという学習から、自分で知識を整理し、メタな考え方を身につけるような学習へと質を変えていくだけの余裕があるはずです。早い時期に質の転換をはかるべきなのです。
また効率的に問題を解くという視点では、すべての問題を解くのではなく、どの問題を解けばいいか考えることも大切です。数学などでは、たくさん解くのではなく、深く解くという考え方もあります。1つの問題を徹底して考えることで、何十問、何百問を解くこと以上に力がつくこともあります。

「たくさん問題を解きなさい」というのは教師にとって安直な指導です。教師は問題を準備するなどの環境面さえ整えれば、あとは勉強ができないのは、問題を解かなかった子どもが悪いという言い訳をしているようなものです。授業を通じて、どのように学習すればよいのか、また問題とどのように向かい、そのことをどうやって活かすかをきちんと指導しなければなりません。もちろん学習には個人の能力や特性によって適した学習方法は異なります。だからこそ、自分で見つけろではなく、それを見つけるための方法論やアプローチを示してほしいのです。

私は高校教師として中学時代トップクラスの学力だったはずの子どもたちが伸び悩む姿をたくさん見てきました。その多くが、解いた問題(勉強)量と成績が比例すると信じ、学習の質を変えることに気づけなかったことが原因のように思います。彼らの学習の質を変えることができなかったことが今でも悔やまれます。なまじ中学校で成功体験を積んでいたことが災いしたのかもしれません。

「解いた問題量と成績は比例する」というのは一面では正しいことです。しかし、安直にこのことだけを子どもに強いないようにしてほしいのです。「解いた問題量で成績を上げる」という成功体験から早く子どもを解放してほしいのです。

私が、「解いた問題量と成績は比例する」と決して言わないのはこういう理由からなのです。

個の問題か全体の問題か意識する

学級が落ち着かない、授業に集中しないと感じるときがあると思います。このように、うまくいっていないと感じることが学級にあるとき、どのように対応していけばよいのでしょうか。

まず、その理由を少し詳しく考えてみます。たとえば落ち着かない状態と感じる場合、どの子とどの子が落ち着いていないと具体的に特定できる状態なのか、それともかなりの数の子どもがそういう状態なのか。特定の場面なのか、いつもなのか。そういったことです。特に意識してほしいのが、特定なのか多数なのかです。個の問題か全体の問題といいかえてもよいでしょう。
一般的には個の問題が全体に広がっていくということが普通です。個の問題であるということは、早期にその兆候をつかんだともいえます。全体の問題であれば、個の問題が広がった状態なのか、行事の後などで一気になったのかどちらかの場合が多いでしょう。

では、その対応です。個の問題の場合、多くの子はきちんとしているわけです。それなのに全体を注意してばかりいては、彼らがいやになりますし、その原因となっている子どもに対しても悪感情を持ってしまいます。最悪の場合、教師に対する反発が、乱す子どもへの同調となって表れます。このようなことを避けるため、全体に対する注意をせずに、個の子どもに対して、「・・・しよう」とよい行動を促すようにします。もちろん、よい方向に変わればすぐにほめることも忘れてはいけません。
なかなかあらたまらない場合は強く叱ることも必要ですが、短く済ませて他の子どもの時間をとらないようにします。そのかわりに、放課後に時間をとってじっくり話をするなどの対応をすることになります。時間をかけて話を聞くことで思わぬことが原因として見つかることもあるのです。このように、個の問題は全体と切り離して対応することが大切です。一方で、個にかかわりすぎて他の子どものことが置き去りになってはいけません。きちんとできている多くの子をちゃんとほめることも忘れないようにしてください。

全体の問題の場合でも、きちんとしている子どももかなりいると思います。全体に対して注意することは有効ですが、自分のことではないと思う子どももいます。学級全体の問題として意識させることが大切になります。朝の時間や帰りの時間を使って、今の学級の状況をどう考えるか、それに対してどうするかを考えさせます。学級の目標にして、チェックする習慣をつける方法もあります。そのとき、「できなかった」を注意するのではなく、「できた」をほめるようにすることが大切です。進歩をみるようにすれば、たくさんほめることができるはずです。

学級に対して感じるマイナスな状態は、素早く対応していくことで問題が大きくなる前に解決できます。個の問題か全体の問題かを意識して、それに応じた対応を心掛けてほしいと思います。

保護者からの相談への対応

子どもについての相談で保護者と話をすることがあります。ときには、苦情を受けることもあります。ちょっとした言葉の行き違いがトラブルにつながることもあります。保護者とへの対応ではどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

次の例を見てください。

「うちの子が、どうも学校がつまらないようなのですが」
「そうですか? 授業中もしっかり手を挙げていますし、友だちとも仲良くしていますが・・・」

「うちの子が、どうも学校がつまらないようなのですが」
「なるほど、学校がつまらないようなのですね。授業中もしっかり手を挙げていますし、友だちとも仲良くしているように感じますが・・・。もう少し詳しく聞かせていただけますか」

保護者から学校がつまらないようだと相談されています。教師から見ると全くそういうことはないので、安心してもらおうと学校での様子を伝えているのですが、最初の例では、「そうですか?」と疑問で受けています。保護者からすると自分の言葉を否定されているようにも感じます。一方後者の例では、「なるほど」と受容してから保護者の言葉をくり返しています。聞いてもらえたと感じます。また、「感じます」とやや曖昧に言うことで、否定のニュアンスを弱めています。
保護者は自分の言葉を教師に聞いてもらえるか不安に思っています。たとえ保護者の意見が受け入れがたいものでも、まずは、きちんと聞いていることを伝え、その上で、こちらの考えを伝えるという手順を踏まなければいけません。

先ほどの続きです。

「実は先日、食事の時に学校はどうと聞いたところ、つまらないと答えたので、詳しく聞こうとしたのですが、答えてくれなかったので気になっていたのですが」
「そうですか。わかりました。友だちとけんかでもしたのかもしれませんね。私の方でも注意して様子を見ておきます」

「実は先日、食事の時に学校はどうと聞いたところ、つまらないと答えたので、詳しく聞こうとしたのですが、答えてくれなかったので気になったのですが」
「なるほど、それでご心配だったのですね。ご相談いただき、ありがとうございます。どうでしょう。2・3日のうちに私の方で一度話を聞いてみて、その上でもう一度お話させていただきたいと思うのですがどうでしょうか」

保護者からの具体的な話に対して、最初の例では、友だちとけんかしたのかもしれないと言っています。保護者の心配を軽くしようとして言っているのでしょうが、聞き様によっては、これも保護者の考えを軽んじているようにもとれます。また、注意して見ておくといっても、フィードバックをどのようにするか伝えていないので、うやむやにされてしまうように感じられるかもしれません。一方後者では、「ありがとう」とお礼を言っています。保護者から相談を受けることを肯定的にとらえていることを伝えると同時に、子どもに関することは自分の問題でもあると伝えていることにもなります。また、時間を切って対応とフィードバックを示したうえで、「どうでしょうか」と保護者の同意を求めています。子どもをはさんで向かい合うのではなく、親と同じ側に立って寄り添っていると感じてもらえます。

時として、保護者と教師が子どもを間に挟んで対立的な立場にあるように感じられることがあります。教師は保護者と一緒に考える姿勢を見せて、子どもを育てる仲間であることを伝える必要があります。まずは、保護者の言葉を受け止めて、その上でこちらの考えを一方的にならないように伝えることが大切です。対応についても保護者の意向をきちんと確認することが必要です。
保護者は教師にとって子どもたちを育てるための大切なパートナーだということを意識して接してほしいと思います。

保護者の授業を見る目

学校公開日などで保護者へのアンケートをどのように実施するかということは、学校ごとに工夫がされています。先日の研究会でも話題になったのですが、特に授業についてのアンケートをどう考えるかは悩ましい問題です。

・そもそも保護者は自分の子どもしか見ていない、信頼に足る意見が得られるのか。
・アンケート(評価)項目を工夫することで、有意義な情報となる。
・アンケート(評価)項目を保護者と一緒につくることで、保護者の視点がわかるし、学校側の視点も伝えることができる。
・保護者のアンケート結果と、ふだん校長が授業を見て感じているものとのずれは少ない。保護者に授業を見る目はある。
・自由記述欄に書かれたことが、保護者の言いたいことだ。それをきちんと受け止め対応していくことで保護者の信頼や理解が得られる。
・・・

いろいろな考えがありますが、学校の一番の根っこである授業に関して、保護者とのコミュニケーションを否定的にとらえることは、マイナスのように思います。
確かに、保護者の興味は自分の子どもが中心でしょうが、少し意識を変えていただければ授業を見る目は十分に信頼できるものになると思います。

昨年度PTAで講演したときに世話役だった方から先日届いたメールに、授業参観の話がありました。
今までは授業参観は自分の子どもの授業態度ばかり見ていたが、今回は「どんな授業の進め方をしているのか?」「子どもたちはどんな反応をしているのか?」と自分の子ども以外の態度まで気にして、まるで先生を審査するように見たそうです。先生によって本当にいろいろで、ベテランだから授業の進め方が上手というわけでもないと思ったそうです。
実際にこの方の感想が的を射たものであるかどうかははっきりとは言えませんが、授業の進め方、他の子どもの態度に注目したという時点で、かなり信頼に足る、聞く価値のあるものだと思います。
この方は、私の講演後ときどきこの日記を見て、子育ての参考にしていただいているそうで、とてもうれしく思っています。この日記を通じて、授業を見る視点を意識されたことが授業参観の仕方を変えるきっかけになったのだと思います。

授業で何が大切なのか、何を大切にしているのか。どこを見るべきなのか、どこを見てほしいのか。このことがきちんと保護者に伝わっていれば、授業のアンケートはとても有効なものになると思います。学校が目指す授業をポジティブに評価していただけ、先生方が元気になるはずです。学校HP(ホームページ)で、授業のよい場面やその解説を毎日のように発信している学校があります。こういう学校は間違いなく保護者の授業評価を意識しているはずです。保護者の授業を見る目を肥やした上での授業アンケート(評価)がどのようになるのかとても楽しみです。

「愛される学校づくりフォーラム2013 in 東京」の開催決定

愛される学校づくりフォーラム2013 in 東京」の開催が決定しました。
前回のフォーラムを受けて、再度名人にICTで挑戦ということで、今回はベテランの佐藤正寿先生(佐藤先生ブログ)が有田先生に社会科で挑戦します。申込み等については追ってお知らせしますが、是非予定を空けておいてください。今回も皆様に満足していただけるものになると確信しています。

期日 平成25年2月16日(土)

時間 第1部 午前10時〜正午
    第2部 午後1時〜午後4時

場所 東京ビックサイト
   
内容 第1部  愛される学校づくり研究会より提案
    第2部前半
       授業名人に再び!模擬授業(ICT活用)で挑戦その1(仮称)
       有田和正 vs 佐藤正寿(ICT活用)
       同テーマで有田先生、佐藤先生が模擬授業を行います。
    第2部後半 パネルディスカッション
    コーディネータ  堀田龍也
    パネラー     有田和正、佐藤正寿、副島孝、大西貞憲

愛される学校づくり研究会に参加

先週末は愛される学校づくり研究会に参加しました。今年度第1回ということで、新しい会員も増えて盛会でした。
来年度のフォーラムの概要も決定し、皆様にお知らせできるようになりました。この件に関しては別記事でお知らせします。

メインのテーマは「4月の学校づくり」ということで、今年度異動で新しい学校に赴任された校長のこの1月の学校経営についての報告をきっかけに話が広がっていきました。
お話をうかがっていて、どの校長も学校HP(ホームページ)をコミュニケーションツールとしてうまく活かしていることがよくわかりました。
新しい校長が赴任して学校が変わろうとしていると保護者が一番に感じるのが、学校HPのリニューアルです。年度変わりのこの時期、保護者や地域の方が学校HPにアクセスする機会が増えます。このときにHPがリニューアルされ、新しい発信があり、記事のカテゴリーが変化したり増えたりしていると、新校長の学校経営の姿勢が強く印象付けられます。どの校長もそのことを意識して、素早くリニューアルしていました。
学校HPのシステムは更新が簡単にできるものが普及してきましたが、全体のリニューアルが学校で簡単にできるということも大切な要素だと強く感じました。何日もかかったり、業者にお願いしなければならなかったりするようでは大切な時期を逃してしまいます。今回の新校長の動きは、簡単にリニューアルできるシステムの普及と無縁ではないと思いました。

HPの学校経営への活かし方という視点でみると、とりあえず学校で起こっていることを毎日記事にして発信するというものから、ずいぶん進化してきていると感じました。HPでの発信が、保護者や地域だけでなく、教員や児童生徒も意識した戦略的なものになってきているのです。
そのことを少し説明しましょう。

・校長が目指す学校の姿を切り取ったものになっている。
たとえば子どもたちが落ち着いて学び合っている学校を目指すのであれば、子どもたちが柔らかい表情で友だちの考えを聞いている姿を写真に撮る。そして、その場面のどこが素晴らしいかを具体的に解説します。
これは、保護者や地域の方に学校のよい姿を伝えて安心してもらうだけでなく、教師にとっても強いメッセージとなります。今学校で目指しているものは、こういう姿となって表れると伝えることで、個々の教師の授業での目標が明確になります。記事に取り上げられた教師には励みになります。こういう記事が積み重なっていくことで目指す姿に近づいていくのです。
そうはいってもなかなかそういう場面に出会えないとおっしゃる方があるかもしれません。たとえ一瞬でもそのような状態があればその瞬間を切り取ることで伝えることができます。いいとこを見つける視点で校内をまわることがとても大切です。

・子どもに提示した行動目標が達成できている場面を記事にしている。
4月の式等で、子どもたちに行動目標を提示している校長は多いと思います。たとえば「凡事徹底」という目標を提示したとします。校長が何度も話をすればその言葉と意味はわかるかもしれません。しかし、それが具体的にどのような行動かを伝えるのはなかなか簡単ではありません。それをHP利用しておこなうのです。お昼休みにトイレのスリッパがきちんと整頓されていればそれを「凡事徹底」というカテゴリーの記事にする。学級全員が名札を忘れずにつけていれば、そのことを記事にする。その上で、職員に「今日はこのようなことを記事にしました。子どもたちをほめてください」と伝えるのです。こうすることで職員も「凡事徹底」を意識しますし、子どもたちをほめることで教師と子どもの人間関係をよくするきっかけになります。こういうことを積み重ねることで、子どもたちもどのような行動をすればよいのかわかってきます。もちろん、地域や保護者の方にも子どもたちのよさを伝えることができます。学校を見る目がポジティブに変わり、教師や子どもが自信を持つようにもなっていきます。

今年度このような戦略的なHPが私の周りで増えたのは、間違いなくこの研究会が影響しています。今回よくわかったことは、皆さんが互いの学校HPを見合ってしっかり研究していることです。研究会の場だけでなく、日ごろから互いの学校経営を学び合っているのです。そのことが、学校HPにも強く表れたのです。今回も多くのことを学べた研究会でした。皆さんに感謝です。
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