「愛される学校づくりフォーラム2012 in東京」の準備で当事者意識を考える

愛される学校づくりフォーラム2012 in東京」まで、あと1週間を切りました(申込み受付は終了しています)。おかげさまで定員を上回る申込みをいただいて、うれしく思うと同時にこれだけの皆様の期待を裏切るわけにはいかないというプレッシャーも高まっています。そんな中、先週末は最終確認や補足の連絡がたくさんありました。

こういった確認や連絡はほとんどメーリングリストだけでおこなわれています。忙しいメンバーなので直接会って話し合う時間を取ることはとても難しいため、この方法はとても有効です。当日皆様にお配りする資料は60ページもあるとても内容の濃いものですが、この冊子の最終チェックの依頼がメーリングリストに流れました。どうでしょう、「チェックしてください」という依頼があった時、自分の原稿をチェックして、あとはざっと全体を見て気になることがないかを見るのがせいぜいではないでしょうか。メンバーがたくさんいるのですから、自分の仕事(領分だけ)をすればいいという感覚になるのが普通です。また、原稿を書いていない者は直接顔を合わせての会議でもないのですから、見もしないかもしれません。「みんなの仕事≠自分の仕事」になるのです。しかし、愛される学校づくり研究会のメンバーには自分の原稿以外も細かいところまで読んで指摘してくださる方がいます。今回は原稿を書いていない方もしっかりと読み込んでチェックをしてくれます。これは自分の仕事だという、当事者意識があるのです。とても大切なことです。
これは学校でも同じことです。うまく回っている学校ではこの当事者意識が教員全体に必ずあるのです。それぞれが自分の役割をきちんとこなす。組織としてそれは大事なことです。しかし、それだけでは足りないのです。行事でも自分の係だけこなせばいいという人ばかりで、違った視点からのフォローがなければ思わぬところでほころびが出てきます。

では、当事者意識のあるなしは個人の資質の問題なのでしょうか。もちろんその要素は否定しません。しかし、それだけではないと思います。今回の冊子の例であれば、フォーラムの成功が研究会のメンバー個人にとってのよろこび、達成感に直結しているからです。たとえば、パネルディスカッションの事前検討(「愛される学校づくりフォーラム2012 in東京」の事前検討会参照)では、登壇しないメンバーも聴衆役を通じて意見を述べる機会があります。自分たちがフォーラムづくりにかかわっているという意識を持っていただけます。参加された方に満足してもらうことが自分たちの満足につながる、その手ごたえを自分のものとして感じられる、そういう仕組みが会の中にあるのです。
これを学校に置き換えてみましょう。たとえば行事であれば、成功することが教員一人ひとりの満足・達成感にどうつながるかが問題なのです。それは、行事を学級経営にどう活かすか、成功することが学級にどのようなよい変化をもたらすのか、といったことが明確になっていると言ってもよいでしょう。このことを具体的に伝え合う、共有化していることが教員一人ひとりの当事者意識につながるのだと思います。

フォーラムに向けて研究会のメーリングリストに様々な情報が流れています。みんなで少しでもよいフォーラムにしようと頑張っています。当日壇上に立つ以外のメンバーもフォーラムづくりに積極的に参加しています。スタッフとしてお手伝いいただいている企業の方も損得抜きで取り組んでいただいています。当事者意識のある多くの人の力でつくられているフォーラムです。当日の参加者にとって満足いただけるものになると信じています。

教科書の課題を楽しむことも教材研究

教科書を読み込むと言う話を最近よくします。自分自身、仕事の関係で教科書をよく読むのですが、楽しいと思うこともよくあります。

たとえば、小学校6年生の国語のある教科書では、似た意味を持つ言葉を調べたり考えたりする課題で、その例として、「余る・残る」「ねじる・ひねる」「うれしい・楽しい」などがあげられています。どうでしょう、すぐに違いを明確にできますか。もちろん調べるのは子どもですから、教師が答える必要はないかもしれません。しかし、子どもが行き詰ったとき、どんな働きかけをすればよいかすぐに思いつきますか。調べる辞書によっては、ほとんど違いがわからないこともあります。最近は「語感の辞典」がありますが、ご存知ですか。子どもと同じ視点に立って、どれか一つの例を調べてみてください。そうすることで初めて見えることがあります。実際に調べてみて、難しいものもたくさんありましたが、無意識に自分が使い分けていた部分が「なるほど」と明確になったときなど、とてもおもしろいと感じました。きっと子どもたちも同じ感覚を味わうのだろうと思いました。教科書を表面的に見ていては決してわからなかったことです。

私が調べてみて、なかなかおもしろかったものに「にげる(逃げる)・のがれる(逃れる)」があります。どうです、この2つの違いが明確になる文をつくれますか。教えるということを少し離れて、教科書の課題を純粋に楽しむこともよいことです。きっと、授業のヒントになるものが見つかると思います。これも、また一つの教材研究だと思います。

若手教師がチームで伸びる

昨日は小学校で若手6人の授業アドバイスをおこなってきました。今年度7回目で最後になります。この日は時間割を工夫して互いに授業を見合うこと中心にしました。

授業がうまくなっていたのももちろんですが、授業を見る力が育っていることに驚きました。完全な授業などありません。どの授業にも課題はたくさんあります。しかし、そんな課題を指摘するのではなく、それぞれのよいところを見つけて、自分に取り入れようとする姿勢で全員が授業を見ていたのです。
子どもたちの関係がうまくいかず苦しんでいる先生もいます。そんな状態の学級を見られたくはありません。しかし、それでも公開してくれました。授業を参観する先生も、この状態ではダメと批判的に見るのではなく、もし自分の学級で子どもたちがこういう状態になったらどうすればいいのだろうと、自分のこととして考えてくれました。彼らがチームとして機能し始めているのです。

彼らと一緒に見た授業で気づきの多かった場面を書き出してみます。

3年生の算数で、問題が解けた子どもに前で○つけをする場面がありました。(前で○つけをするのはあまりよいことではないのですが、)できた子どもたちはうれしそうに先生のところへ向かいます。○をもらった子はうれしそうにしています。間違えた子どもは急いで席に戻りやり直します。中には立ったまま直している子もいます。並んでいる子どもたちもごそごそせずに静かに待っています。学級規律がよく保たれています。授業者は気になる間違いが何人かにあったので、○つけを一旦止めました。次の順番の子どもは○をつけてもらえずにとてもがっかりしていました。説明が終わって再び○つけが始まると一番に○をもらい、今度はにこにこしていました。子どもにとって○をもらうのはとてもうれしいということがよくわかります。前での○つけが続く中、子どもたちに変化が起こり始めました。あちこちで、子ども同士が聞き合っているのです。授業者が何か言ったわけではありません。実に自然な姿です。子どもたちの人間関係がよい証拠です。列が途切れた後、授業者は「まだ○をもらっていない人」と、全員に○をつける姿勢を見せました。これもとてもよいことです。そして、できていない子に個別指導を始めました。その間、○をもらっていなかった子が一生懸命手を挙げて、○をもらえるのを待っています。結局最後まで授業者は気づかずに、時間が来てしまいました。その子はとてもがっかりしていました。
一緒に見ていた先生は、○つけの効果と○をもらえなかったときの子どものがっかりした様子を見て、「○つけをいかす」「必ず全員に○をつける」ことの大切さをあらためて感じたようでした。

4年生の理科の対流の実験で、温めると水の動きはどうなるかを予想する場面のことです。おがくずの代わりに味噌を使うのですが、「温めると味噌が上にいく」、それにつけ足して「味噌がどんどん上にたまっていく」という意見が出ました。もちろん間違いではありますがよい意見です。先生はきちんと取り上げ、「味噌が上がって下がる」という意見ときちん比較しました。もう少し根拠を話し合うとよかったのですが、どんな意見もきちんと受け止めようとする姿勢は立派です。

3年生の音楽の時間の活動量の多さはとても素晴らしいものでした。私が見ていた間、休む間もなく子どもは歌い、リコーダーを吹いていました。すごい密度です。日ごろから活動量が多いのでしょう。子どもたちの演奏も4年生としてはなかなかのものでした。これだけの活動量なので、具体的な目標を明確にして即時評価を意識するともっとよくなると思いました。

6年生の国語の時間では、特に印象深い場面がありました。朗読を聞いた後、各自で読みの練習をするのですが、一人みんなからかなり遅れて読み終わった子がいました。早く読み終わった子は、彼が遅いので少しいらいらしていました。全員が読み終わった後、「さっき朗読聞いたけど、早かった、遅かった?」と聞きました。「遅かった」「そうだったよね。早く読むより、ゆっくり読んだ方がよかったのかもしれないね」と笑顔で語りかけました。最後だった子は、とてもうれしそうにしました。ちょっと集中力に欠けていると感じた子どもだったのですが、私が見ている間ずっと笑顔で集中を切らしませんでした。
また、ペアで音読した時、ペアの相手の読み方をほめる場面がありました。このペアは女の子がちょっと嫌そうにしていたのですが、隣の男の子がほめた時、とてもうれしそうな表情を見せました。こういう場面があることで子ども同士の人間関係がよくなっていくのです。
授業者はとにかくネガティブではなくポジティブにとらえる、ポジティブな言葉に言い換えることを念頭にいつも授業をしているようでした。随所にそのことを感じさせる言葉が出てきます。居心地がよくて、いつまでも居たくなるような学級をつくっています。

1年生の図工の時間です。グループで、友だちの作品のよいところをワークシートに書く作業をしている場面です。なかなか鉛筆が動かない子どもがいました。授業者も気づいたようです。その子のそばに近寄っていきました。どのように注意をするのだろうと見ていたのですが、その子を注意せずに、その場所からグループの他の子に対して支援を始めました。手のついていない子どもも友だちと先生の会話を聞き、鉛筆を動かし始めました。まだ2年目とは思えないとてもよい対応でした。

授業後、全員でこの1年を振り返りました。前向きな言葉がたくさん出てきます。
今までの指摘をきちんとノートに整理し、できたこと、まだできていないことチェックしている先生もいます。教材研究の大切さ、難しさを感じて、しっかり教科書を読み込もうとしている先生もいます。今年はうまくいかなったけれど、その経験を活かして4月に何をしなければいけないのか一生懸命に考えている先生もいます。こういったことを仲間の前でしっかりと言えるのです。
彼らが伸びている理由がよくわかります。チームの形になってきました。校長のフォローもうまくいっている大きな要素です。これからも互いに授業を見せ合い、一緒に教材研究をすることで、もう一段高いレベルに到達してくれると思います。

この1年、私も本当によい学びの機会をいただき、彼らの姿にたくさんの元気をもらいました。ありがたいことです。このような出会いをもたらしてくださった校長にあらためて感謝します。1年間本当にありがとうございました。

音楽で大切にしたい問いかけ

音楽では、歌ったり、演奏したりと表現活動がたくさんあります。逆に鑑賞も大切な活動です。これらの活動ではどのようなことを意識すればよいのでしょうか。

表現活動では、自分の表現したいことを意識することが大切です。
合唱であれば、「歌詞を読んでどんなことを感じた」「どんな風に歌いたい」と目標とする表現を明確にします。最初は全体の印象から言葉が出てきますが、「どこでそう感じた、思った」「詞のこの部分はどんな感じ」と子どもの発達段階に応じてだんだん細かく聞いていきます。子どもたちは、どのように表現するかを自分たちの日常の言葉で話しますが、それを具体的どのように歌うか、音楽の技術や用語で示していく必要があります。

「この部分は元気な感じで歌いたい」
「どうすればいいのかな?」
「大きな声で歌う」
「強く歌う」
「いいね。ここだけ強く歌えばいい」
「その前を少し弱く歌って、それから強く歌えばいい」
「それってどういうこと」
「その方が強くなったことがよくわかる」
「なるほど」
「その前を少し弱く歌ってからだんだん強くすればいい」
「それってどういうこと」
「楽譜にクレッシェンドがある」
「どういう意味だっけ」
・・・
「作者もきっとここを元気な感じで歌ってほしいからクレッシェンドをつけたんだね。みんなと同じように詞を感じ取ったのかもしれないね」

たとえば、このようにして明確にしていきます。

また、表現活動ですから必ず受け手が必要です。グループに分けて聞き合ったり、録音して聞かせたりするのもいいでしょう。自分たちの目指した表現になっているか感想を聞き合ったり、技術がきちんとできているかチェックしたりすることで、表現力がついてきます。受け手の立場を意識することは鑑賞にもつながることです。
感想と技術や音楽用語と結びつけることは、鑑賞でも同じです。曲を聞いてどのように感じたか、それはどのような技術や技法によるものかを問いかけることが大切です。

音楽を鑑賞して感じたことが、音楽の用語や技術と関連して語られる。その経験を活かして、目指す表現を音楽の技術や用語を介して実現していく。これを繰り返していくことで、子どもたちの表現力や鑑賞能力が高まっていきます。子どもたちの感性と音楽の技術、音楽用語をつなぐような問いかけを大切にしてほしいと思います。

学校の応援団を実感する

先週末、私が学校評議員を務めている中学校のおやじの会の新年会(?)に呼んでいただけました。私以外に前校長、現教頭も参加されていました。

「おやじの会」の方々から何か要求される訳ではありません。純粋に親睦を深め、子どもたち、学校、地域への思いを気軽に聞き合う、話し合う、そんな時間を過ごさせていただきました。
それぞれ立場は違いますが、自分たちがかかわるこの地域をよくしたいという思いは共通です。学校から見れば、正に応援団なのです。前校長が初めて赴任した時の思い出話、現教頭が赴任した年の行事のこと、懐かしく、楽しく聞かせてもらいました。

学校の応援団は、学校の言うことを聞く人たちではありません。学校をよくするために、時には厳しい意見も伝えます。自分たちの思いと異なった動きを学校がすれば、反対もするでしょう。どちらの意見が正しいということではありません。思いがあるからこそ時にはぶつかるのです。大切なのは、互いに相手の言葉を聞く耳をきちんと持てるかどうかです。聞く耳を持つ学校だから、地域だからこそ、ぶつかりあっても互いに理解し、協力しあえるのです。この地域とかかわりを持たせていただいて、5年が終わろうとしています。この地域だからできる取り組みをたくさん見せていただきました。私はこの地域の人間ではありませんが、この地域のためにできることをお手伝いしたい。そう思わせてくれる地域です。

気の置けない方々とのお酒はとても美味しく、いつも以上に飲みすぎてかなり好き勝手なことをしゃべっていたように思います。酔っぱらっての帰り道、外はすっかり冷え込んでいましたが、体の中はとても温かいもので満たされていました。楽しい時間をありがとうございました。

和田裕枝先生から多くを学び、刺激を受ける(長文)

本年度最後の教師力アップセミナーは豊田市立竹村小学校長の和田裕枝先生の模擬授業でした。

和田先生と知り合って10年以上なります。たくさんの授業を見てきましたが、私が最も影響受けた先生のおひとりです。当時、和田先生の授業を先生方に見ていただく時、「誰でもやっていることでしょう?」と特に意識することなく自然におこなわれていることが多く、そのため本人も敢えてそのことに触れないので、第三者の解説がなければ素晴らしい授業技術が見過ごされることが多かったのを覚えています。

今回は、学級の1年間の基礎をつくる「4月の2週間」を教師がどのように子どもと接すればいいかをテーマに、解説も自身でおこないながら模擬授業していただきました。ふだん和田先生が自校でおこなっている研修の形ということで、竹村小学校の中堅の志賀先生に授業のポイントをリアルタイムで正面に準備したホワイトボードにメモしていただきました。メモをする理由は、先生方のメモが意外とポイントを外していることが多いからだということです。参加者に「自分のメモとホワイトボードのメモを比べて、自分と違うことが書いてあったら、ポイントを見誤っているかもしれません」と軽いプレッシャーをかけてからのスタートでした。

朝の会、音楽、国語、算数と休みなしの模擬授業でした。私が刺激を受けたのは授業のうまさもそうですが、以前と比べて一つひとつの授業技術を意識して意図が明確に伝わるように使っていることです。無意識で自然であることも素晴らしいことですが、意識することでより的確に使えるようになります。授業の輪郭がよりはっきりしたと言ってもよいかもしれません。授業技術を伝えることを意識された結果だと思います。立場が変わっていく中、伝える技術もどんどん磨いていかれたのです。

私も志賀先生のメモを意識しながらメモをしてみました。志賀先生のメモは授業技術のポイントを的確に押さえています。比較しながらメモをとるだけでも大いに勉強になると思います。
少し、志賀先生のメモを紹介します。(矢印等の表現は同じではありません。実際は色を変えたりの工夫がありもっと見やすいものです)
模擬授業を見ていない方にはわかりにくいかもしれません。お許しください。しばらくすると詳細な記録が教師力アップセミナーのホームページに公開されると思いますのでぜひそれをご覧になってください。

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学びの種をまく2週間→学習規律を身につけさせる

子どもの発言を聞く時
周辺視・・・範囲の広さ
意見を聞きながら他の子を
よく見る よく聞く(どういう反応、うなずき) → 歩く
ほめる
やる気

<朝の会>(子どもと一緒に立って)
あいさつ
気をつけの仕方を(上手と)ほめる
健康観察
・いい姿勢でいますね
・途中で痛くなったら言うんだよ
姿勢のチェック・・・まわりながら
教室1周

<音楽>
えらいね←(1人ほめると)まねをする ほめられたい
まねをすることが大切
リコーダー練習・・・1人1人
コメント
指の持ち方 上手に
息のはき方 聞いているね
うでのおき方 姿勢が
音がいいね まっていてあげる
うまいうまい もう少しで
←自分はどういってもらえるか
 待つ 1人1人でも学び

一斉
男の子 ちょっとばらばら
女の子

楽しみながら
朝ごはん食べた人
おしかった人
おかあさん 美人な人
お父さん かっこいい人
先生が美人だと思う人
今日の給食
うれしい時と悲しい時
 10回以上
 吹き方の違い

何回もふく
子どもはきたえる
・・・
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これでも、ほんの一部です。授業技術のポイントが伝わってきます。
では、参考までに私のメモと少し比較してみます。どちらがよいということではありません。

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学びのタネ⇔ほめるタネ⇔やる気のタネ
→大切なこと(よい行為)はくりかえす⇔たくさん たくさん

(朝の会から)教室は1周する

いいですね うまい →まねをする

何をほめる→最初+まねする

具体的に
受けの人(注 指名されていない、注目されていない子ども)をほめる

他者が集中する 学ぶ

子どもの意欲をうまく上げる

反応をつくる⇔子どもの外化→常に評価
         ↓
         表現←具体的 子どもの例

声を出さずに評価する(注 うなずく、笑顔・・・)

何を評価するか明確⇔意図的に広げる場面をつくる

教師の目指す姿、価値を学級全体に広げる
⇔ほめるという武器を使ってその気にさせる 定着させる
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ほぼ、同じ部分に対応するところです。メモをそのまま(注は除く)なので、言葉が足りないところがたくさんありますが、志賀先生との比較のためにあえて補足はしません。

基本的な授業技術を学ぶ、理解するという視点では、志賀先生のメモが優れていることがよくわかると思います。
では、私のメモはどうなのでしょうか。これはできるだけ一般化して、再現性を求めるためのメモなのです。

教師の目指す姿、価値を学級全体に広げる
⇔ほめるという武器を使ってその気にさせる 定着させる

これが、和田先生の模擬授業の前半部分のポイントです。このポイント意識すれば、和田先生と違ったアプローチでも学級規律は作れるのです。逆にこの視点で授業を見ることで、よいところ、課題が自然に見つかります。何をするという視点も大切ですが、どうチェックする、どう課題を解決するという視点も大切なのです。こういうメタなものを見つけるためのプロセスとしてメモをしています。

一度このような視点を身につけると、授業を見ることからより多くのものを学ぶことができます。
たとえば(視点として私の中に既に明確なので)今回はメモしていませんが、「芸術は自分の感情、表現したいことをその芸術(技術、学習用語)を使って表現すること、その逆に芸術から何を感じるかを自分の言葉で表現すること、この2つを行き来することが大切」という視点で志賀先生のメモにある「うれしい時と悲しい時 吹き方の違い」の場面を見れば、その具体的な方法として、メモしなくても「いろいろな感情を指示して表現を練習させる」という授業技術が自然に整理されて自分のものとなっていくのです。

参考までに後半部分のポイントとなるメモを少し書いておきます。

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底辺はあっている→他者につなぐ
否定しない ↓ 部分肯定
  自信を持ってやらせる

できない子にも活動量を保証する→言葉より行動

子どもが他の子どもにほめられる 認められる
⇔人間関係をつくる

何が評価されるかメタを示す
→数学的価値
  ↑
ないけど→作る

自分のいったこと⇔その結果(注 友だちが理解する 評価する 足す・・・)を見る

かかわりあう つながる
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今回の模擬授業はこのようなメモが10枚になりました。具体的なことをほとんど書かずにです。いかに和田先生の模擬授業と解説が内容のあるものだったかよくわかります。
若手からベテランまで学ぶことの多い模擬授業でした。

あまりに見事な模擬授業ですが、今回のテーマの候補であった「動く教師」の姿に、参加された先生方はこんなに動き回って大変だと思われたのではないかと思います。しかし、これはあくまでも「4月の2週間」の話です。子どもが育てば子どもたち自身の力でどんどん授業は進んでいきます。どれだけ大変でも、ここで手を抜いてはいけないのです。

和田先生の授業は「聞く、つなぐ、戻す」という基礎基本を徹底した授業だといってもいいと思います。それを極めるだけであのような素晴らしい授業ができるのです。
「学び合う学び」ということでグループ活動を積極的に取り入れた市の前教育長からこのことについて話をうかがえました。

「聞く、つなぐ、戻す」は学び合いでよく言われる言葉なので、学び合いの技術、方法と思っている人が多い。でも、これは昔からずっと言われ続けていることだ。グループを使うということは、それができない先生でも子ども同士で自然にそれができるからよいのだ。

聞き様によってはずいぶん先生方に対して厳しいことを言っているようですが、私もその通りだと思います。この市のようにグループ活動を重視している学校でもそうでない学校でも、まず基本となる「聞く、つなぐ、戻す」ができてこそ、授業が改善されると思います。形だけのグループ活動になっている学校の先生方にこそ見ていただきたい模擬授業だったと思います。

このような研修を自校で日常的に受けることのできる竹村小学校の先生方を本当にうらやましく思います。
今回の志賀先生の役割は研修ごとに中堅が毎回交替でされるそうです。中堅にとってもとてもよい学びにつながります。よく考えられた方法です。

和田先生の模擬授業からたくさんの授業技術を学ばせていただいただけでなく、研修の持ち方についても大いに刺激を受けることができました。
教師力アップセミナーは10年間小牧中学校を会場としてお借りしましたが、来年度からは大口町立大口中学校に会場を移します。小牧中学校には本当にお世話になりました。ありとうございました。また、小牧中学校での最後のセミナーを飾るにふさわしい素晴らしいセミナーになったことを和田先生と志賀先生に感謝します。

学校の到達した場所と次の課題が見えた授業

昨日は中学校の授業研究に参加しました。若手の道徳の授業です。

子どもたちと授業者、子ども同士の関係がとてもよいことがすぐにわかります。参観者にとってもとても居心地のよい教室です。この学校はどの学級もこのようなよい雰囲気になっています。授業研修のお手伝いをさせていただいて4年がたちました。この4年間で授業の基本となる人間関係がきちんと確立されたと思います。先生方の努力の成果だと思いますが、特に教務主任が自らも一生懸命勉強しながら、方向性を持って授業改善に取り組んできたことが大きな力となっていると思います。

この日の授業は、子どもたちに「向上心」を持って生活してほしいという授業者の願いが込められたものでした。人間関係のよい学級ですから、何をやっても授業が破たんするようなことはありません。それだからこそ、何が子どもの中で起こっているかを注意してみないと、授業を見誤ってしまいます。

最初に、自分のあこがれの人を思い描かせた後、相田みつおの詩から、「そこにいるだけでまわりを明るくする人」とはどんな人か、その人は「頭」「口」「手」「足」でどう行動するか、グループで話し合わせました。子どもたちは、どう答えればいいのか戸惑っています。しかし、一生懸命考え、ワークシートを埋めていきます。しかし、一通り意見が出ると活動が止まってしまいました。漠然とどんな人と聞いても、ただ思いついて話すだけになってしまいます。話し合う視点が明確ではないのです。全体の発表の場面では、授業者は一人ひとりをしっかり受容しています。学級がよい雰囲気であるのもよくわかります。しかし、子どもの発言をつなごうとするのですが、子どもたちは自分が書いたことを発表するだけで、なかなかうまくつながりません。友だちの意見は、「そういうのもあるよね」と互いに認めるだけのものであって、それ以上深く考える必然がないのです。そういう状態ですので、なかなか授業者がねらうようなところまで、考えが深まりません。いきおいどうしても発言をまとめようとする切り返しが多くなります。子どもたちは、先生が求める答があるのではないかと、探るようにもなりかねません。

では、どうすればよいのでしょうか。道徳では自分に引き付けて考えることが大切です。ここで問題にしている「そこにいるだけでまわりを明るくする人」が子どもたちとって意味のない人であれば、そもそも話になりません。たとえば、まず、「そういう人ってあこがれる?」「なりたいと思う?」と全体で確認します。その上で、ではそうなるために「あなた」はどのような行動をとるかと問いかけるようにすれば、自分の問題としてとらえることができます。友だちの考えを聞いて、最終的にどういう行動をとるか考え、発表させることで友だちの意見は意味を持ってきます。

最後に、自分はどんな人間になりたいかとその心をワークシートに書いて、何人かに発表してもらって終わりました。子どもたちは、その前の活動に引きずられたのか、深いところからの言葉少なかったように感じました。
前半の「そこにいるだけでまわりを明るくする人」については全体で何人かに発言させ、自分はどんな人間になりたいかを中心にグループ活動をした方がよかったのかもしれません。

授業検討会は柔らかい雰囲気で進みました。この4年間で検討会の雰囲気もずいぶん変化しました。ベテランと若手がうまくかみ合ってきています。若手の授業を見る力もずいぶん上がってきたと思います。
私からは、道徳の授業は「自分に引きつける」「相手の気持ちになる」「自分はどう行動するか考える」ことを大切にして課題や進め方を考えるとよいということ、つなぐためには、その視点を明確にしておくこと(根拠、結果・・・)を話させていただきました。また、学校全体で教室の人間関係ができているから、一つひとつの授業から学ぶことがとても多い。だからこそ、たくさんの課題も見えてくる。これからは今まで以上に授業研究が求められることを伝えました。

今回の授業からは多くの気づきがあり、授業者への個人アドバイスは何時間でもできるほどでした。それは、授業が悪いのではなく、子どもたちがとてもよい状態で、授業者が一つひとつの場面で真剣に考えて進めていたからです。ちょっとした切り返しの言葉にもどうすればもっと子ども言葉を引き出せたのだろうということを考えさせるものがあったのです。今回は前半部分を中心に細かく話をしながら、一緒に考えてみました。通常はこのような細かいアドバイスはしません。指摘や課題があまりに多くなると消化しきれずに落ち込むからです。しかし、授業者が非常に謙虚で、向上しようとする意志を見せてくれたので、指摘が多くても消化しきれると思い、一つひとつの場面を丁寧にアドバイスしました。1時間近い時間、本当に真剣に授業を振り返ってくれました。基本となる部分がしっかりでき上がってきました。次の課題はレベルの高いことですが、きっと乗り越えて素晴らしい教師に成長してくれると思います。

今回の授業は、この学校の今を的確に表してくれるものであった気がします。ベースはできた、次はもう一段上の課題にチャレンジする。そういう段階なのです。しかし、来年度は人事異動がかなり多くなりそうだということです。ひょっとすると今の状態を維持することに追われるかもしれません。多くの学校が苦しむ問題です。
うれしいことに、来年度もこの学校のお手伝いをさせていただくことになりました。私もできる限りのお手伝いをさせていただくつもりです。いろいろな障害があるかもしれませんが、この学校はきっと次の段階に上がってくれると信じています。

研修を意味のあるものにするためのヒント

今年度もたくさんの学校を訪問し、授業アドバイス、講演などをさせていただきました。私の訪問をうまくきっかけにしていただいている学校に共通のことが何点かあります。そのことについて少し話をさせていただきます。

・個別のアドバイスを、研修の担当者も同席して聞く
これは、なかなか微妙な問題もあります。個人の授業をプライベートな物と考えると同席しづらいところもあります。しかし、同席して、時には私のアドバイスに、指導する立場、指導される立場の両面からフォローをしてくださる方もあります。また、逆にじゃまにならないように目につかないところで、しっかりメモだけとってくださる方もあります。
いずれにしても、一人ひとりへのアドバイスを把握して、後からしっかりフォローしてくださるのだろうと想像がつきます。また、自分がアドバイスする時の参考にもしているといっていただけることもあります。
同席できるということはその学校の人間関係がよいということの表れでもあります。逆に同席して、授業者の立場で一緒に聞いて考える姿勢を見せることで人間関係をつくっていくという考え方もあります。そういう方は、私の指摘に対して「私もそういうことがあります」「私も勉強になる」といった、授業者の側に立った言葉を合いの手で入れられます。そして、最後に「ありがとう」という気持ちを必ず授業者に伝えているように思います。

・授業を見てフォローをする
個別の授業アドバイスもそうですが、全体での講演をした後でも、先生方の授業を積極的見てくださる方がいます。これを機に授業が変化していたり、アドバイスや講演の内容を実行している先生方にたいして、そのことをほめてやる気を引き出しているのです。まず変化した、実行したことを評価することはとても大切です。結果が出るまでには時間がかかります。変化することは不安なことです。そこで、変化したことをほめれば、頑張って続けることができるのです。
もちろん、子どもの姿が具体的によい方向に変わるなどの成果が出ていれば、そのことを指摘することで大きな達成感を与えることができます。たとえ、自分で手ごたえを感じていても第三者にほめられるととてもうれしいものなのです。

・情報を整理、発信して共有化する
講演や個別のアドバイスの内容を、少し時間をおいて整理して配っている方がいます。一度は聞いていることなのだから、あらためて伝えることもないと考える方もいるでしょうが、違う視点でまとめたものを見ることは内容を理解したり自分のものにするのには大きな効果があります。単に議事録のような整理ではなく、自分の視点で、時には自分の考えも付け足し、自分の言葉で再構成される方が多いのもうなずけます。自分の言葉で書かれていることなので、先生方からその内容に関して質問されても、明確に応えることができます。こうした形で発信することで、学校の中に借り物ではない基準ができてくるのです。
また、個別のアドバイスでも、他の先生方にも参考になると思うことは全体に発信している方がいます。このとき、あえてその授業者の名前を書かれる方もいます。○○先生から「学んだ」という言葉を使って意図的に評価し他の先生とつないだり、「学校全体の課題」と言うことで授業者が個人で抱え込まないようにしているのです。

・次につながる研修内容にする
授業研究であれば、その日に出た課題を次の授業研究の授業者に意識して実施してもらう。模擬授業をして、それを受けた授業を次の授業研究とする。このように、研修と研修に連続性を持たせる学校が最近は多くなっています。一過性の研修では、単発的に実施して、毎回が何の関係も持たないようなものでは、積み上がっていきません。1回の研修でそんなに大きな効果は期待出ません。地道に課題を克服していく。やったことの効果を実感していく。こういう積み重ねが大切です。
個別アドバイスも1人1回やって終わりではなく、年に何回か、または翌年にもう1度同じ人に対してアドバイスする機会をつくってくださる学校もあります。単発ではないので、進歩をほめたり、ずれを修正することで次により多くの進歩が期待できます。授業のベースがしっかりできてくれば、次の課題を明確にして提示できます。加速度的に進化するのです。

・研修を教員の人間関係づくりに活かす
若手同士、若手とベテランなどのチームで授業づくりをしている学校があります。授業について互いに相談したり、アドバイスをもらえる関係をつくることで、教員の人間関係を作っているのです。こういう学校では、私のアドバイスも先生同士をつなぐ要素を意図的に増やしています。たまにしか来ないアドバイザーより身近な同僚がいつでもアドバイスしてくれることの方が先生方の力量アップによりつながります。
また、人間関係ができてくれば、互いの授業へのアドバイスをグループで一緒に聞くこともできるようになります。互いの授業から学び合う関係ができれば、これはとても大きな力になります。

以前と比べて、現職教育、研修といったことが重視されているように感じます。それを活かすためにさまざまな工夫がされています。ここで述べたことはそのほんの一部ですが、研修をより意味のあるものにするヒントになればと思います。

教務主任・校務主任会で講演

昨日は、教務主任・校務主任対象の研修会で「授業力を高める校内研修の進め方」というテーマで講演をおこないました。

校内研修では、学校として目指す姿を具体的にすることがスタートであり、そのためにはまず学校の状態をきちんと把握することが大切です。授業をよく見て、子どもの姿から課題を見つけ、学校として目指す姿を明確にし、そこへどうアプローチしていくか考えることが必要となります。
全体での研修を中心にするのか、グループや個人を単位として考えるのか。学校の規模や課題のありようで変わってきます。いずれにしても、受け身ではなく、積極的に参加できるように仕組むこと、一人ひとりの行動につながることが求められます。そして、行動の結果が具体的な成果として見えるようなものでなければ継続的なものにはなりません。そのためには、実践を引っ張る立場の人間がどうすれば目指す姿をつくれるかを知っていなければなりません。

そこで、後半はサブテーマである「学ぶ意欲を引き出す授業」をどうつくるかという具体的な話をしました。
学ぶ意欲を持つ子どもの具体的なイメージをどう考えるかですが、「自ら考えようとする子ども」であり、それは「他者の考えを聞こうとする子ども」「自分の考えを聞いてもらいと思う子ども」でもあります。別の視点で言えば自己の存在が認められていると感じる「自己有用感を持てている子ども」につながります。
そのために授業に求められるのは、「子どもを受け身にしないこと」「子どもの活動量の確保」「考えるための課題」です。そして、意識してほしいことは「聞く」「ほめる」「切り返す」ことです。
これらについて、できるだけ具体的にお話をさせていただきました。

当初の予定よりも時間をいただいたのですが、それでも少し延長してしまい大変申し訳ないことをしました。よい反応をいただいたので、つい余分なエピソードを話しすぎたせいです。伝えたいことを絞って、思い切ってカットするのも大切なことです。授業ではこのことをよくアドバイスするのですが、お恥ずかしい限りです。1度きりの機会ということで入れ込みすぎているのかもしれません。参加された方々に伝えるべきことがきちんと伝わったでしょうか。またの機会があれば、もう少し課題を絞ってより具体的な話ができればと思っています。これからリーダー、管理職として活躍する期間もたくさんある方たちへ話す機会をいただいたことは、私にとってもうれしいことでした。ありがとうございました。

研修のその後が大切

先日授業アドバイスをした学校(研修担当者の目に見えない努力を感じる参照)の研修担当の方から、メールが届きました。研修のまとめとその後の報告です。

毎回研修の後には「子どもが輝くための授業力アップ作戦」と題したまとめが配られています。
今回は、

まとめ
算数授業のポイントを押さえて授業を進めよう
− 教科書をよく読むことが最善の策 −

その1
子どもが活躍できるように仕組むこと

その2
「考える」場をつくること

その3
「算数をつくる」というスタンスでいること

という整理をされています。

その説明を1ページ目に文章で、具体的な授業の進め方を2ページ目にイラスト入りの図解でわかりやすく示しています。

一部を紹介すると、
その2 「考える」場をつくること
「データからグラフや表をつくる」「計算する」など技能を高めることは大切なことです。しかし、それに終始して、「グラフや表を基に考える」「計算の仕方を考える」といった考える場が少なくなっていませんか。教科書の問題に「考えましょう」がある時に、「考える」場をつくると算数を楽しむ子どもが増えてきます。そうなると授業も楽しくなります。

囲みで
「活動あって、思考なし」小学校の授業でよくあることです。作業だけでなく、作業の前後に、「考える」場をつくりましょう。

図解では、

【作業】1辺5cmの立方体の展開図を書きましょう。

作業前
「どのように展開図をかけばよかったでしょうか。」
「辺に沿って切り開くとよかったよ。」
「切り開き方を変えると違う展開図になりそうだよ。」

作業後
「展開図を書いて気付いたことを発表しましょう。」
「11種類の展開図ができました。」
「1種類の展開図から、他の展開図もできるよ」
「1つの正方形を一つの頂点を中心に回すんだよ。」

と子どもとのやり取りをわかりやすく例示しています。

また、個別に私がおこなった指導もコンパクトにまとめて、各先生に配っています。

その後の報告では、模擬授業をおこなった先生が、先日その場面を実際に授業したことが書かれていました。
とても落ち着いて話し合いを進めていくことができ、笑顔もあり、誤答も受け止めることができていたそうです。
模擬授業がうまく生きたようです。

また、私が授業アドバイスをした先生が進んで模擬授業に挑戦してくださったようです。やってみた結果「曖昧であったところが、明確になった」ということです。
実践の中で多くの子どもが発言し、教師が笑顔で受け止める授業が展開されているという報告もありました。

このようなメールをいただくこと自体もうれしいのですが、研修を一過性のものにせず継続的な授業改善につなげるために働きかけていただいていることが何よりうれしいことです。
全体の授業力がアップしていく学校では、必ずこのような担当者の働きかけがあります。私のようなものが年に数回訪問したぐらいで学校がよくなることは期待できません。そのことをきっかけにして、いかに日常的な授業改善の動きにつなげるかが勝負なのです。この学校では、間違いなく先生方の授業力が向上していくことと思います。この学校にかかわることで、私自身も多くのことを学ぶことができています。このような出会いに心から感謝しています。

『学校を応援する人のための学校がよくわかる本』発売

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『学校を応援する人のための学校がよくわかる本』(3部作)が、2月1日に(株)プラネクサスより発売となりました。

玉置崇先生が第1部と第2部を私が第3部を執筆いたしました。

「近ごろはホームページで、積極的に学校の考えや思いを発信している学校が出てきていますが、残念ながらその数はまだごくわずかです。学校を応援しようという方はたくさんおられるわけですから、学校の様々なことをしっかりと伝え、正しい目を持った強力な応援団を各地につくりたい。二人でこのような思いを持ったのです。」(第1部まえがきより一部抜粋)

「明日の社会を支える子どもたちのために学校を応援したい。自分ができることは何でもしようという方が私の周りにもいらっしゃいます。この書籍(3部作)を通じて、こんな素晴らしい学校の応援団が一人でも増えることを願っています。」(第3部はじめにより一部抜粋)

学校のことを多くの方に伝えたい、また学校の先生方にも、もう一度自分たちの原点を見つめていただきたい。そういう願いを込めた書籍です。

◆第1部【組織・しくみ編】…玉置 崇 著(定価:本体1500円+税)
◆第2部【学習内容編】…玉置 崇 著(定価:本体1500円+税)
◆第3部【授業編】…大西貞憲 著(定価:本体1500円+税)

ご購入は(株)プラネクサスの書籍注文のページから。(amazon.co.jpからも購入できます)

「愛される学校づくりフォーラム2012 in東京」の事前検討会

先週末は、愛される学校づくり研究会に参加しました。今回は2月25日(土)に開かれる「愛される学校づくりフォーラム2012 in東京」の第1部のパネルディスカッションの事前検討の会でした。

当日のパネリストの中で参加できる方が集まり、会員が聴衆となって本番と同じように進行をしながら、問題点や事前準備が必要な事柄を洗い出すことが目的です。予想よりも皆さんヒートアップせずに、穏やかな雰囲気で進んでいきます。具体的な実践、エピソードを交えての話は説得力があります。この日の話だけでも十分聞く価値があったと思います。しかし、テーマが「学校のお荷物(学校HP&学校評価)を切り札に」となると、どうしても話が管理職やリーダー向けの話になりがちです。そうではなく、どの立場の人にも納得性のある話にする必要があるという反省が出ました。当日はこのあたりのことを意識した流れになると思います。
各自が事前に用意する資料もほぼ決まりしたが、当日の流れがどうなるかは全く予想がつきません。今回事前に話したことで、当日はあえて違った側面から話をする方もいるはずです。一くせも二くせもあるパネラーと司会者です。どんな挑発があるやもしれません。うっかり乗ればヒートアップすること間違いなしです。会場に隠し玉が仕込まれているかもしれません。
当日はライブ感あふれるパネルディスカッションになることは間違いありません。

検討会の後、当日のスタッフをしてくださる方を交えて打合せです。たくさんの方にこのフォーラムが支えられていることをあらためて感じました。ありがたいことです。
おかげさまで、フォーラムも定員を超える申し込みをいただきました。事務局の方で座席の調整を試みてくれています。若干の定員増が可能かもしれません。興味のある方は問い合わせてみてください。

フォーラム当日まであと3週間を切りました。来場される皆様にとって楽しく、有意義で刺激のある会にするべく、最善を尽くしたいと思います。ご期待ください。

活動から活躍へ

子どもたちを受け身にさせない。学習内容を定着させたい。そのためには子どもたちの活動量を増やす必要があります。友だちの意見を聞くことも立派な活動ですし、問題を解くことも、グループでの話し合いもすべて活動です。ここで意識してほしいことは、子どもが活躍することです。

友だちの意見をしっかり聞いていても、発表の後「いいですか?」「いいです」では、聞いたことが活かされとは感じません。
頑張って問題を解いたあと、挙手をしたが指名されない、指名された子が答えて、「いいですか?」「いいです」「はい、○をつけて」で終わってばかりでは、だんだんやる気をなくします。
グループの話し合いが終わった後、各グループで一人ずつ発表して終わる。発表しなかった子は自分の考えや意見を評価されたと感じるでしょうか。

子どもが活発に活動しても、ただ活動して終わりでは、子どもの学習意欲は高まっていきません。子どもが「活動する」ことから、「活躍する」に視点を変えていくことが求められます。活躍するとは、他者に認められると言い換えてもいいでしょう。

友だちの意見を聞く場面なら、「今の意見を聞いてどう思った」「なるほどと思った人いる」など聞いたことが活かされる場面や評価される場面をつくることが大切です。時間がなければ、同じ考えの人に挙手させるだけでもよいでしょう。
問題を解いたり、作業したのであれば発表者をできるだけ増やすとよいでしょう。正解が出ても「正解」と言わなければ何人でも指名できます。言葉が足されたり、考えがつけ加えられればそのことを大いに評価するようにすることで、発言意欲も増します。また、机間指導の際に、声をかけながら全員に○をつけることも効果的です。
グループ活動であれば、友だちの意見を互いにポジティブに評価するように指導しておくことが大切です。また、発表の時には、結論を聞くだけでなく、「どんなこと話した」「誰の意見が参考になった」など発表者以外も評価できるような問いかけも必要です。

子どもの活動量を増やすことはとても大切です。その上で、全員が活躍する授業、活躍したと感じられる授業を目指してほしいと思います。

中学校の入学者説明会で講演

先日、中学校の入学者説明会で、保護者の方に子どもの中学期をどう支えるかについてお話をさせていただきました。

今回は、中1ギャップについて多くの時間を割きました。
小学校から中学校への変化は、概ね次のようなものがあります。

学習
・トピック的な学習から体系的な学習へ
→求められる学習量の増大、家庭学習の比重が増す
・定期試験の存在
→大きなプレッシャー、はっきりと評価される

部活動
・部活動が新たに加わる
→体力的に負荷がかかる
・先輩後輩の関係が加わる
→精神的に負荷がかかる

コミュニケーション
・複数の学校から人が集まる
・学級担任中心から教科担任中心
・横の関係中心から縦の関係が加わる

この変化にうまく対応できないと

・学習、部活動についていけない
・支えていた人間関係がなくなる
・新しい人間関係がうまくつくれない
・周囲の仲間から認めてもらえない

といったことが起こり、結果、「自己有用感の喪失」につながります。

学校も小中連携などでこのギャップを埋めようとしていますが、家庭では、子どもの居場所をつくることを大切にしてほしいと伝えました。

・ここにいていい
→存在を無条件に認めてあげる
・自己有用感
→自分の行動が他者にとって良い結果を与えたことが生きがいにつながる
→自分の役割がある

いい子だから愛しているのではなく、何があっても大切な子どもであることを伝える。「あなたの仕事は勉強よ」などと言わずに、家庭内での自分の役割を持たせて、家族の一員としての存在を認める。おこずかいなどの報酬でつったり、「えらいね」と上から目線でほめるたりするのではなく、「○○してくれてありがとう」の一言を大切にする。このようなことを特にお願いしました。

また、保護者と学校が互いに聞き合い、わかってもらう努力をすることで、信頼関係を築き連携することも大切です。お互いの共通の願いは「子どもの幸せ」です。行き違いがあっても、このことを忘れなければ、必ず理解し合えます。このことを強くお願いしました。

限られた時間でどれほどのことを伝えられたかわかりませんが、家庭での子どもの居場所をつくるのに少しでもお役にたてば幸いです。

模範授業から大いに学ぶ

先週末の算数・数学の授業力アップの研修講座でのT先生とW先生の模範授業から多くのことを学びました。

T先生はICT活用でも有名な方です。今後の授業の方向性を考えるということで、デジタル教科書の活用を見せてくださいました。T先生は小学校の経験は少ないのですが、教材の都合で小学校3年生のグラフの授業に挑戦されました。小学校であろうが中学校であろうが、授業の本質は大きく変わりないことがよくわかる授業でした。
デジタル教科書でも教材研究の大切さは変わりません。この教材は風邪を引いた子どもの体温の変化を題材に、グラフの一部分を省略、拡大して変化を見やすくするというものです。体温を題材にしているのは、どの子どもも熱を出した経験があり、何度なら体温が高いという感覚があるからです。その経験から体温が上がっていると感じるのに、グラフからはそう読み取れないというズレを子どもから引き出し、グラフの一部を拡大する必然性を持たそうという展開です。
用意したワークシートにグラフを書かせます。一人ひとり全員に○つけをし、その上で隣同士確認をさせます。
「どう思った」というあいまいな聞き方で、いろいろな言葉を引き出します。子ども役の言葉をしっかり受容しながら、広げる言葉と捨てていく言葉を選んでいます。子どもから、値に対して目盛りの間隔が大きすぎる、グラフの変化がわかりにくいことにつながる言葉を意図的につないでいきます。「あまり違わない」というような発言であれば「何の違い」と問い返します。教師が子どもの言葉をまとめるのではなく、子どもたちに整理させながら、何人にも発言させることで全員に理解させます。

ここで、発問です。教科書は「変わり方がもっとよくわかるようなグラフのかき方を考えてみましょう。」となってグラフが準備されています。これを完成させてから違いを考えさせることになります。これに対して、デジタル教科書はグラフを動的に拡大していく機能があります。T先生はそれを活かして、「変化がわかりにくいから工夫をした」とグラフを動的に拡大して、工夫した人のアイデアを言わせます。子どもの言葉を引き出しながら、何度も見せます。動きを活かして興味を持たせ、出てきた言葉をつなげます。一人が気づいたことをもう一度動かして見せることで確認させます。こうして、全員にどのような工夫がされて、どのようなよさがあるかを共有化させました。

わずか10分余りの授業場面でしたが、デジタル教科書のよさを活かしながら、子どもの言葉を活かす授業とはどういうものかを見事に教えてくださいました。
私の解説で、この素晴らしさを伝えきれたかはわかりません。しかし、解説などなくてもその場で見ていた受講者の方はきっとその素晴らしさを感じ取っていただけたと思います。

W先生の授業は3年生の1より大きい分数でした。自身の経験から子どものつまずくところを意識した、教科書とは少し違う導入を見せくださいました。
子どもは数直線を意識しすぎて、1の長さを等分した最初の部分だけを単位分数として認識しがちです。3等分した最初だけが1/3と考えるのです。そこで黄色のテープとそのテープと同じ長さで3等分の線を引いておいた白いテープを3本用意します。1/3がどこにあるかを問いかけ、左端だけでなく、真中も、右端も1/3であることを押さえます。印をつけたそれぞれを切り離し、黄色のテープに続けて重ねて1となることを確認します。こうすることで、どの部分も同じ1/3という量を表すことを押さえました。
続いて、もう一度黄色のテープを用意し、続いて、今度は1より長いテープ3つを並べたもの(5/4、4/3で4等分の線を引いたもの、5/4で5等分した線を引いたもの)を貼ります。ここで、このテープは1のところで折ってあり、それを広げて見せながら貼りました。1を意識させた動きです。
子ども役から「1より大きい」を引き出しました。この後、何を何等分するということにこだわり、子どもから5等分だけど、単位量である1は5等分でなく4等分されているから、1つは1/4、それが5つだから5/4を丁寧に引き出しました。
子どもの言葉で、ねらいにつながる言葉を復唱し、他の子どもにつなげる。特に大切な言葉は何人にも言わせる。教師のねらっているものが何かがとてもよくわかるものでした。どの子も全員受容はするが、広げる、深める、つなげるものとそうでないものは明確です。また、言葉を引き出すための仕掛けはいたるところにちりばめられています。子どもの言葉で進めているため、一見すると子ども任せにも見えますが、完全に授業をコントロールしています。いつ見せていただいても、くやしいくらい計算されています。

解説のO先生は、その部分を柔らかい口調でわかりやすく、見事に浮き彫りにしてくださいます。一つひとつの場面の意図がとても明確になりました。

お二人の授業を見て、共通点がたくさんあります。子どもの発言の価値づけや、拾う拾わないの判断が実に的確なのです。どうつなげるかの切り返しの言葉もとてもシャープです。T先生はデジタル教科書、W先生はテープ。デジタルとアナログの違いはありますが、その利用の意図も明確です。個性は違ってもよいと思える授業には実に多くの共通点があるのです。今回、研修会10年目の特別企画ということで、とても贅沢な時間を持つことができました。受講者だけでなくスタッフの私たちにとっても学びの多いとても有意義なものでした。T先生、W先生、解説のO先生、そして見事な子ども役を演じてくれたスタッフの皆さんありがとうございました。

研修講座のスタッフを務めることから学ぶ

先週末の2日間、算数・数学の授業力アップの研修講座にスタッフとして中学校の部会に参加しました。

受講生同士で模擬授業をおこない、それに対してコメントをもらい翌日再挑戦して進歩を見るというものです。
今回の課題は3年生の平方根(無理数)同士の掛け算でした。初日の模擬授業は計算の過程、やり方にスポットを当てているものばかりでした。計算の1行1行のやり方を丁寧に子どもの言葉を活かしながら追おうとするのですが、なぜそのような変形をするのか、この計算はどこに向かっているのか意識されていませんでした。一つひとつの問いかけが点でつながっていかないのです。
同席したW先生とのお話の中で、「どうしたいかという意思が見えない」という言葉がでてきました。「この計算はどうなるといいの」「どうして、こうしようとしたの」という言葉に置き換えるとわかりやすいかもしれません。数学的な方向性と言ってもいいかもしれません。

半数の方が模擬授業を終えたあとのコメントで、「みなさんの授業は数学の授業ではない」とかなり厳しいコメントをしました。学校でのふだんのアドバイスではまずこのような言い方はしません。自ら休日に自腹を切って参加される方だからこそ、あえてこのような言い方をしました。急にこのようなことを言われたので、後半の方は戸惑いながらの模擬授業でした。

1日目の最後に、K先生が模範授業をしてくれました。
まず、結果だけを確認して安心させたうえで、計算のやり方を聞いていきます。「こんな風にやっていいの」揺さぶりながら根拠を確認、共有化します。√の中を簡単な数にしてから掛けるやり方と√の中同士を掛けるやり方を並行して見せ、素因数分解を印象付けます。答のルート10に対して、「これ以上簡単にならないの」と聞き、「分数の約分と同じだね」と既習の考え方につなげ、数学ではできるだけ簡単にな答えにするという基本的な考え方を押さえます。
この授業を見ることで、受講生の方は再度自分の授業をつくり直すことができたようです。

翌日の模擬授業は、扱う場面も課題の前後で好きに選ぶようにしたこともあり、前日とは打って変わったものでした。借り物ではない、皆さんの普段の授業スタイルが伝わってくる、いきいきとしたものでした。この日の私の役割は、受講者、コメンテイターによるコメントの後、模擬授業のビデオを見ながら個別に一人ずつアドバイスするというものでした。ビデオをなかなかうまく活用できなかったのですが、受講者は私の指摘する場面をきちんと覚えていて、その場面を再生しなくてもきちんと理解していただけました。

全体的な傾向として、計算のやり方をパターンとして分ける傾向が強いと感じました。

・ルートの中を簡単にしてから計算する(最後に必要な場合はもう一度ルートの中を簡単にする)。
・ルートの中は簡単にならないが、ルートの中を素因数分解してから計算する。
・ルートの中を掛け算してから、素因数分解をして簡単にする。

このような場合に分けて考えている方が多いのです。
しかし、どのやり方でも、

・式を計算するということはできるだけ簡単にすること。
・ルートは2乗があれば、有理数(簡単)にできる。

この2点を押さえて、

・2乗を見つけるには素因数分解をすればよい。

と整理すれば、要はいつ素因数分解をするかだけの問題になるのです。細分化するのではなく、できるだけ整理統合してシンプルなものにすることが大切です。

=で結ばれるということは、同じということです。計算をしていくということは、ある方向性をもって等号関係を進めていくことです。その方向性の基本は自分にとって都合のよい形にするということです。これを、数学的な意思と言ってよいと思います。今回で言えば、できるだけ簡単にすることです。
因数分解や展開はこの方向性が明確に表れる例です。2次方程式を解くために因数分解をする、解の公式を使うために展開して整理する。こういう考えです。

このような考え方をベースに皆さんのスタイルを活かすことを意識してアドバイスさせていただきました。一人ひとりに特化することができるので、私としてもとても手ごたえを感じることができました。翌日からの授業に少しでもお役に立てば幸いです。

今回とてもうれしく思ったのが、東京から参加されているある先生の進歩でした。今回で3回目の参加ですが、わずか2年余りでとても雰囲気が変わっていました。子どもを受容しようとする姿勢。間違いでも明るく受け止める。子どもたちは授業が楽しくなるに違いありません。子どもとの人間関係が間違いなくよいと感じる模擬授業でした。自らいろいろな研究会や勉強会に参加して積極的に勉強されています。伸びようとする教師は、確実に伸びるのです。
また、2日目にコメンテイターを務めてくれたY先生のコメントも素晴らしいものでした。古いつきあいですが、この何年かの伸びは本当に素晴らしいものがあります。柔らかい雰囲気で、ユーモアも交えながら、よいところをうまく見つけ、課題の指摘もネガティブにならないように上手に伝えています。もちろん、授業を見る視点も確かです。私に欠けている部分をたくさん持っておられて、とても参考になりました。

今回はスペシャルプログラムとして、1日目の最後に、T先生、W先生2人の授業名人の模範授業があり、T先生の授業解説をさせていただきました。このお話は明日にでも書きたいと思います。
多くの方の模擬授業を見てそのコメントを聞く、アドバイスをする。また、教材についても深く考えることで、スタッフである私にとっても、とても有意義な2日間でした。

小学校での授業アドバイス(長文)

小学校で若手の授業と中堅の学級活動についてアドバイスさせていただきました。

3年生の国語の授業は「こそあど言葉」の学習場面でした。
授業の最初に練習帳を使って漢字の書き取りをしていました。授業者は子どもたちの間を回って一人ひとり丁寧に○つけをしています。子どもたちは○をもらうととてもうれしそうにしています。最後に「まだ○をもらっていない人」と確認をして全員確実に○をつけるようにしていました。中には○をもらったあとに友だちと自分の○を比較している子がいました。どういうことだろうかと疑問を持っていたのですが、授業者から丁寧に書いている子には2重丸や花丸にするといった区別をしていることを聞きました。だから友だちの評価が気になったのです。2重丸や花丸をつけることは悪いことではないのですが、絶対評価よりも個人内相対評価を意識することをお願いしました。せっかく○をもらっても友だちと比べるよりも、自分の進歩という視点の方がよりよいと思います。また、具体的によかったところを声に出してほめながら○をつけることでまわりの子どももそのこと意識すること、子どもたちがだれないようにできるだけ速くまわることもアドバイスしました。
「こそあど言葉」については、子どもたちに具体物を指し示させることで、これ、あれ、それの区別を意識させ、子どもの言葉から違いを明確にさせようとしていました。いいこと言ったとよい発言をとりあげて、「今○○さんが言ってくれたことを言ってくれる」と他の子どもにつなげていました。とてもよいのですが、1人に聞いて終わっている傾向がありました。大切なことであれば、もっとたくさんに聞いてもいいと思いました。
最後にグループで1人ずつ順番に「こそあど言葉」を使って、これは、あれは、それは○○ですと言う活動をおこないました。教師が問題を指示した後、グループごとに1人が発表しての他の子どもがいいかどうか判断します。進行に手間取るグループもいるので、なかなか教師が次の問題を出すことができません。だれるグループも出てきます。教師が問題を出すのであれば、「はい、何番目の人立って」「問題は・・・だよ」「はい言って」「みんなどうだったか教えてあげて」と一つひとつのフェイズを明確にするのも一つの方法です。隣の子の持っている物を指示する問題で、いくつかのグループが「これ」か「それ」でもめていました。後で聞いたところ、授業者はその原因が伝える相手か誰か明確にしなかったことにあることをちゃんとわかっていました。伝える相手が不明確だと「これ」と「それ」の使い方が混乱するのです。ちゃんと子どもたちのようすから気づいています。子どものから学ぶことができる先生です。
もめているグループがあっても、先ほど説明したようにフェイズを明確にすると、どのグループ同じフェイズなのでスムーズにとりあげて話し合いに入ることができます。この場合、教師の指示の足りなかった部分を子どもに気づかせることで、「こそあど言葉」のポイントをしっかり意識させるといった展開も見えてきます。

3年生の算数の授業は5人の差額を1人分の差額を考えてから計算する場面でした。
子どもへの指示が明確で、できている子をほめていることもあり、子どもたちは素早く行動していました。授業の流れは自力解決、グループで相談、グループの意見を発表というものでした。自力解決のところでは、わからないに挙手させて授業者が教えにいきます。1人にかかわっている間、わからない子は手を挙げ続けて待っているだけです。あとからグループで相談させるのであれば、「わからなければ聞いてもいいよ」と言って、最初からグループの状態にして解かせた方がよいでしょう。また、自力解決にこだわるのであれば、図でどこが1人分かを明確にするなど、見通しを持たせてから進める必要があります。
グループでの相談も、グループで答えを出して発表という形のため、一部の子どもが仕切っていたり、発表する子が1人で作業をしている姿が目につきました。相談しても、結論は個人で考えるようにした方がよいと思います。

1年生の算数の授業は100を超す数を数える場面でした。
子どもたちと授業者の関係がとてもよいので、最後まで子どもたちは集中して話を聞いて参加していました。1年生でこの状態は立派です。子どもの言葉を拾える余裕も出てきて、学級経営もうまくいっているようです。
106を160と間違えた子どもに対して「違ってる」とかなり攻撃的な調子で言う子どもが多いのが気になりました。間違いが悪いことではない、間違いはいいことだと、間違いを許容する雰囲気を教室につくることが大切です。
授業者は間違えた子どもに説明させるのですが、うまく説明できません。そこで、106になる説明を始めるのですが、間違えた子どもを参加させません。先生が説明して、「だから106が正解ですね」で、終わってしまいました。たとえば、「1は何が1、6は何が6」と間違えた子に聞いて、自分で気づかせ、「自分で気づいてえらいね」とほめるようにしてほしいと思いました。

5年生の算数は円周率の導入場面でした。
鉛筆を置くように指示をしても持ったままの子どもがいます。授業者は持っていない子を何人か注意するのですが、まだ持った子がいるのに先に進んでしまいます。注意された子はやってない子がいるのにと不満を持ち、注意されなかった子は聞かなくてもいいと思ってしまいます。結果として、指示を聞かない子どもが次々に入れ替わる、モグラたたき状態になります。この学級の現在の状態がこのような気がします。まず些細なことでも、一つひとつきちんと徹底できるまで待つ必要があります。ここを緩めると授業規律が失われてしまいます。
授業の進め方も疑問が残るものでした。教科書についている円の切り抜きをさせるのですが、指示が不明確なこともあり、必要以上にきりとる子、切り取った後それで遊び続ける子、学級の状態がばらばらです。しかも、教科書の図と同じように円を重ねただけで、この時間はもう使いませんでした。何のために切り抜いたのかわかりません。
デジタル教科書を使っていたのですが、デジタル教科書の空欄になっている部分の意味を理解していませんでした。空欄になっているのはその学級の子どもたちから考えさせて、引き出したいところです。それなのに、発問してすぐに「こうなっているね」とクリックして表示していました。授業者はこの教材をきちんと理解しないままただ作業をさせているだけで、子どもたちが考える場面がありませんでした。
授業者はいろいろと悩んでいることと思います。あれやこれやとやろうとせず、まず基本に立ち返って、一つひとつのことを丁寧にやっていくことが大切だと思います。

6年生の国語は、「海の命」の第1時で読みが中心の場面でした。
音声教材の朗読を聞きながら、わからない言葉をチェックしていました。どの子も集中して教科書を見ながら聞いています。聞き終わってもすぐに体が動かずに余韻を感じているようでした。他の学級で同じような場面を見たのですが、その学級では終わった瞬間に伸びをする子、椅子を動かす子ども、一気にざわつきました。集中して聞かずに手遊びをしていた子どもがそうやって動くのです。ごそごそ動いていても窮屈な思いをしていたのです。集中していないとはそういうことです。
これだけ集中できる子どもたちです、どの子も真剣に楽しそうに授業に参加しています。友だち同士相談するような場面でも、すぐに友だちの方を向いて笑顔で話しています。学級の人間関係がよいことがよくわかります。授業者は、昨年学級経営に苦労していたようですが、ほめることをうまく使って一つひとつの指示を徹底し、子どもたちを受容することで人間関係をつくり、このような学級をつくり上げたのです。余裕があるせいか、授業中の笑顔もたくさん見られます。
今回は次のステップへの課題が見つかる授業でした。わからない言葉を発表させて、授業者が説明するのですが、同じところがわからない子が他にいないか聞きません。わからないところを言うのはそれなりの勇気が必要です。他にもいることで発表者は安心できます。「代表で言ってくれたんだね。ありがとう」と評価してすることにもつなげられます。また、いつも教師が説明するのではなく、子ども同士で調べたり、説明させたりすることもあっていいでしょう。教師と子どもの関係に、子ども同士の関係をプラスするよう移行する時期だと思います。
全体で次々読んだり、ペアで読んだり目先を変えているのですが、それぞれの活動、読みの目標が子どもに明確になっていません。一生懸命読んでいるのですが、どのような力をつけようとしているのか子どもが無自覚では困りますし、自己評価もできません。ペアでは読みの間違いをやさしく指摘する子がいたりとてもよい雰囲気なのですが、受け手の役割が明確でないのも気になります。人間関係がよいので、何をやってもとりあえずうまく学習活動は進みます。そのことに甘えずどのような力をつけるのかしっかり意識することが大切です。

4年生の帰りの会を見せていただきました。
教室に入って感じたのは、子どもたちの表情です。とてもよい笑顔が教室に満ちています。その秘密はすぐにわかった気がしました。
子どもの司会で帰りの会が進むのですが、友だちのよいところ、友だちへの感謝を発表する場面がありました。「消しゴムを落としたら、○○さんが拾ってくれました。ありがとう」と発表して、みんなで拍手するというものです。これが、何人も何人も続くのです。「ありがとうが」たくさん生まれる教室であれば表情もよくなります。最後に担任も発表しました。担任も子どもたちと同じ目線で感謝することは、子どもたちの人間関係をよくする上でとても効果的です。担任の「ありがとう」は、休んだ当番の子どもの代わりに牛乳を運んでくれたというものです。おそらく、担任がそうするように上手に仕向けたのだと思います。子どもたちにこうなってほしいという担任の思いを感じました。
ただ、気になったのが、「ありがとう」を言われる子どもより「ありがとう」を言う側の子どもの表情の方がよいように感じることです。半ばイベント化されて、発表することの方が「ありがとう」を言うことより子どもにとって大切になっているのかもしれません。これでは本末転倒です。まず、その場で「ありがとう」をちゃんと言っているか学級担任が意識して見て、そのことを即時に評価してほしいと思います。発表できることよりもその場で「ありがとう」を言えることの方がもっと大切ですから。

私はふだんアドバイスを個別にすることが多いのですが、この日は授業者全員に集まってもらって一緒に話をしました。互いに見合ってはいませんが、それぞれへのアドバイスを聞くことで、学び合えることが多いと思ったからです。基本的な部分が全員できるようになったこと、相談できるような雰囲気が育ってきたということです。
同僚の課題に対しても自分のことにように考えてくれます。こんなやり方はどうだろう意見も言ってくれます。とてもよい雰囲気で進めることができました。この学校への訪問もあと1回です。私がいなくても若手を中心にこのような時間を持ち続けてほしいと思います。ベテラン、中堅も巻き込んで学校全体が学び合えるように管理職がうまく方向づけてくれることを祈っています。
この日もたくさんのことを学ぶことができました。ありがとうございました。

人間関係のよい学級での授業

昨日は中学校で2年目の先生の授業アドバイスをおこないました。

2年生の英語の比較級、最上級の場面でした。授業者が学級担任をしている学級であったからかもしれませんが、授業者と子ども、子ども同士の人間関係がとてもよいことが印象的でした。授業中最後まで子どもたちは集中を切らしませんでした。全員真剣なまなざしで先生を見ています。
机が男女別々に1列ずつだったのをくっつけてペア学習ができるようにしましたが、そのとき、真剣だった子どもたちの表情がとてもにこやかなものになりました。素早く机をくっつけます。子どもたちの人間関係、男女の関係がとてもよい証拠です。まわりと相談する場面では、笑顔ですぐに子どもたちの顔が近づきます。後で聞いたところ、学年の初めは関係があまりよくなかったのを、1年かけてこの状態にしたそうです。大したものです。

昨年にしたアドバイス、1問3答を忠実に守ってくれていました。たとえ正解が出ても正解と言わずに、3人を指名する。子どもたちは同じことでもそれぞれが自分の言葉で答えてくれました。前の子どもの発言につけ足してくれる子もいます。みんな集中していました。発言に対して、「同じ答えの人手を挙げて」と子どもをつなぐこともできていました。
次の課題は、手が挙がらない子どもにどう発言させるかです。しっかり聞いているのですが、自分からは発言しようとしない子どもが多いのです。正解を言わなければいけない、間違えたくないという気持ちが強いこと。挙手しなければ指名されないので、指名されて間違えるリスクを冒さずしっかり聞いておこうという姿勢です。
よくわかるのが復習の場面です。ノートを見て確認しているのに手が挙がらない。指名された生徒が答えた後、同じ答えの人と聞かれると今度は挙手する。友だちの発言を聞いて思い出したのではなさそうです。その場合は聞いたときの反応が違います。「あっそうか」というように表情が動きます。この学級ではほとんど表情に変化がありませんでした。最初から彼らもわかっていたのだと思います。であれば、1人目は挙手した子を、2人目以降は挙手していない子を指名するという方法が有効です。友だちの答えを聞いて安心すれば、答えやすくなります。こうすることで発言することへの抵抗を減らしていくことができるのです。
まわりと確認させることも有効です。人間関係がよければ、挙手していない子でもしっかりと友だちに確認します。確認し合えれば自信が持てます。その様子を見て、かかわれている子を指名すればいいのです。このとき「どう」とあいまい聞くことで、正解へのプレッシャーを減らす方法もあります。発言してくれなければ、「どんなことを話した」と聞き直すのも手です。

授業者は子どもたち全員にしっかりと声を出させることを大切にしていました。そのために、黒板に文を示してから練習をする場面が多くありました。確かに板書を見ることで発声しやすくなります。しかし、子どもたちは板書を頼っているので負荷がかかっていません。定着させるためにはある程度の負荷も必要です。このことを感じたのが次の場面でした。
大切な文を覚えさせるのに、何度も読んでから、板書を見ずに声に出しながらノートに書くということをさせていました。わからなければ黒板を見ていい。どのくらい顔があがるかで定着度もわかるとてもよいやり方です。ところが、スペルミスではなく、the とか of とか、単語が落ちてしまう子がいるのです。これは何度も発声しているのに文が頭に入っていないということです。板書に頼らない発声練習を工夫する必要があると思います。

また、子どもたちが集中して聞いてくれるので、教師の日本語での説明が増えているようにも感じました。教師がわからせようとするのではなく、子どもたちが自分で気づく、わかるような活動を工夫するとよいことを今回の教材をもとに具体的にアドバイスしました。

とはいえ、2年目の教師に対するアドバイスとしてはかなり高度なものです。基礎となる人間関係をしっかり作れているからこそ、このようなアドバイスができるのです。この1年でとても進歩しているということです。素直で前向きな授業者ですので、また1年後には大きく成長した姿を見せてくれることと思います。私のちょっとしたアドバイスを自分のものにしてうまく活用してくれるのを見ると、とてもうれしいものです。私も授業者からたくさんの元気をもらいました。ありがとうございました。

自力で授業技術を磨く

昨日は中学校の音楽の授業アドバイスをおこないました。講師経験が3年ある初任者です。言語活動を意識した合唱の授業でした。

笑顔の素敵な明るいキャラクターで、子どもとの人間関係もとても良好です。終始高めのテンションでしたが、子どもたちはよく集中していました。子どもたちの発言をよく受容し、同じ考えの子どもに挙手させる、話し合いの後の問いかけは「どんな話をした」と子どもが発言しやすいように気を使う。子どものあいまいな発言を聞き返すことで明確にしていくこともできます。また、教師の問いとずれた発言もしっかり受け止めた上で、上手に本来の発問に戻します。子どものつぶやきもうまく拾います。若手とは思えないほど、いろいろな授業技術を持っています。
聞けば、ふだんからよく子どもをほめ、子どもの振り返りに対しても、必ずポジティブなコメントを全員に書くなど子どもとの関係づくりを意識しています。授業がよい雰囲気なのもうなずけます。

しかし、授業の流れとこの授業技術の間に何か違和感があるのです。これだけ子どもを活かそうとしているのに、最初の数分間は先生の説明ばかりで、子どもの発言はありません。問いかけをしてもほとんど間をとらずに次に進んでいきます。
録音した自分たちの合唱を聞いて自己評価する場面では、子どもの発言をきちんと評価しほめているのですが、復習の場面では評価が薄いと感じることもあります。これだけ人間関係ができていれば、言葉ではなく表情やうなずくだけでもよいのですが、どうもそうではなさそうです。
子どもに「相談して」と言って子どもが動きだすと、すぐにピアノでヒントをだす。ヒントが終わるとすぐに指名して答えさせる。時間がなかったのかもしれませんが、かなり無理があります。
また、子どもからいろいろ意見を引き出すのですが、具体的にどう表現して歌うかについては授業者が説明します。子どもの発言への切り返しも、やや誘導的です。子どもたちはこの先生のことが好きなので、先生の意図するところを汲み取って答えようとしています。
最後に子どもたちが話し合ったことを意識して歌ったのですが、明らかによくなっていました。しかし、それは子どもたちが話し合ったことが生きたのか、授業者が最初のときと違って、指揮をしながらたくさん指示をしたからなのか、私にはよくわかりませんでした。話し合いをしなくてもこれだけ教師のかかわり方に差があれば大きく変わると思えるからです。

いろいろな疑問を持ったまま、授業者へのアドバイスが始まりました。
最初に、彼女のキャラについて素ですかと聞きました。答は「作っています」でした。大したものです。本人いわくもっと暗いそうですが、授業中は意図的に子どもたちに好かれるようなキャラクターを演じていたのです。であれば、間をとるなり、テンションを意図的に下げることは意識してできるはずです。要は何が大切かを意識すればいいのです。
次に一番気になった疑問を聞きました。受容の仕方、切り返し、つなぎ方などの授業技術をどうやって身につけたかということです。これもびっくりしました。彼女は講師時代からこの学校にいるのですが、私が先生方に以前全体で話したこととまわりの教師からの情報だけで身につけていったのです。この学校では、個別のアドバイスが中心で、全体への話はこの2年ほどは全くしていません。また、彼女にアドバイスをするのはこれが初めてです。これで多くの疑問が解けました。授業技術を一人で磨くことで、場面場面で使う技術は身についているのですが、授業構想や流れについては学びきれていなかったのです。全体構想の中でこの場面は何を大切にする。だから、こういう活動をする。その活動をうまく進めるためにこの技術を使う。こうではなく、場面ごとに使える技術を使っていたというわけです。だからといって彼女を責めるわけではありません。それどころ、よく自力でここまでの力をつけたと感心しました。ただ、バランスが悪かっただけなのです。今回を機に、きっと授業全体の流れやポイントと授業技術の関係を意識してくれることと思います。

管理職の先生から、私が個別にアドバイスしていることも、情報として先生方に伝わるよにしていることをうかがいました。先生同士でも学び合っているようです。アドバイスを学校としてどう活かすかをしっかりと考えていただけていることをとてもうれしく思うと同時に、その責任の重さをあらためて感じました。また、今回の授業者のように間接的な情報でもしっかりと力をつけてくれる方がいることはとても新鮮な驚きでした。学ぶ気持ちがあればどのような環境でも人は進歩するということを教えていただけました。今回もよい勉強をさせていただきました。

校長会の評議員会で講演

昨日は校長会の評議員会で「学校を変えるのは校長!?」という題で講演をさせていただきました。

顔見知りの校長がたくさんいる中での講演でしたので、やりにくいと感じていたのですが、その方たちがとてもよく反応してくださったので、気持ちよく進めさせていただきました。

伝えたかったのは、

「学校を変えるのは校長の仕事であること」
で、

「変えるためには、校長が具体的なビジョンを示すこと」
「その目指す姿を実現するための方策を具体化すること」

が求められ、そのためには、

「校長が学校の実態をよく知ること」
「それをもとに、課題と目指す姿を考えること」
「そのゴールに向かうアプローチを考えること」

が必要であり、

「それを教職員に共有化し、動かすかための仕組みをつくること」
「動いた結果を評価し、教職員のやる気を持続させること」

が実現の条件であり、校長には、

「アドバイス力、コメント力を磨くこと」

が求められるということです。

新しいこと始めればどうしても仕事が増え教職員の多忙感につながります。おまけとして、他の会で話した(多忙感の解消について講演参照)多忙感の解消について駈け足でお話しました。

ついいろいろなエピソードを話しすぎたため時間を延長してしまい、ご迷惑をかけてしまいました。話も散漫になって伝えたいことがちゃんと伝わったか自信がもてません。反省です。にもかかわらず、最後まで熱心に話を聞いていただきとてもうれしく思いました。
何人かの校長と久しぶりお会いすることができました。少ししかお話はできませんでしたが、昔と変わらぬやる気いっぱいの姿に私も元気をいただきました。とても楽しい時間を過ごすことができました。このような機会をいただけたことに感謝です。
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