学習内容の定着

子どもたちが学習内容をきちんと理解したからといって、すぐに活用できるわけではありません。2×2が4になることがわかったからといって、九九は言えるようになりません。定着させるための活動が必要になります。

反復練習が有効なものに対しては、授業時間内に時間を設けて練習する。宿題や試験というプレッシャーをかけて家庭学習させる。このようなやり方が一般的です。この場合大切になるのが、子どもたちへの動機づけです。指示されたからやる、やらなければいけないという、ネガティブな動機ではなかなか集中しませんし、定着もしません。いかにして子どもに前向きに取り組ませるかがポイントになります。
そのためには目標や指標を上手に与えることが有効です。九九が何秒で言えるといったやり方です。このとき、何秒で言えるかではなく、何秒で言えたかを計測する方法もあります。いずれにしても、合格したか、何秒だったということだけで評価するのではなく、以前と比べてどれだけ進歩したかを見ることが大切です。たとえ目標に達成しなくても、自分の努力の結果が見えることでやる気を継続させることができます。気をつけてほしいのは、1回だけやって終わってしまはないことです。そのときに結果を出せなくても、再挑戦できるような仕組みをつくってください。そうしないと、できなかった子どもは、達成感を持てないまま、次第にやる気をなくしてしまいます。

また、目標設定をグループに対しておこなうというやり方があります。例えば、グループ全員の九九にかかった時間の合計が何秒といった指標を導入します。こうすることで互いに励ましたり助け合いながら取り組むことができます。このとき、全員が何秒以内というような設定にすると、特定の子だけが達成できないという状況が生じてしまいます。できない子が非難されないような雰囲気づくりが大切になります。それぞれの能力に応じて貢献できるような目標設定を心掛けると有効な方法です。

一方、考え方のように反復練習しにくい、試験などになじみにくいものには、活用して定着するという方法があります。
例えば、資料の見方であれば、資料からわかったことではなく、そのための視点を整理しておきます。そして、別の資料をつかって練習をします。このとき、できるだけ身近な資料を用意すると子どもたちの意欲が増します。
考え方のように抽象度が高いものは、1度や2度練習したからといって定着するようなものではありません。他の課題や、単元でも意図的に活用する場面を作ることが大切です。資料の見方であれば、資料を見る場面があるごとに、子どもたちにその視点を問いかけます。こうして、意識して活用させることで定着を図ります。

教材研究はどうしても、子どもたちに理解させることに目が向きがちですが、学習内容の定着という視点も大切です。定着させるためにどのような活動が必要なのか、逆にこの課題は、どのようなことを定着させるのに有効であるか。このようなことも意識してほしいと思います。

保護者対応について考える

ある会議で、教師の保護者対応が話題になりました。

保護者とのトラブルは、最初の対応がまずいためそれが尾を引くケースが非常に多いようです。

教師(特に若い)が、上から目線で話をする。
電話応対等、社会人としての基本マナーを知らない。

教師は子どものためにと一生懸命に働いているのに、こんなことが印象を悪くして、話をこじらせているようです。確かに昔は保護者から尊敬される立場でしたが、今は教師だからといって特別ではありません。へりくだる必要はありませんが、相手を尊重した接し方が必要です。保護者が学校に話をすることは、ほとんどが子どものことです。子どもを間に挟んで保護者と学校が対立してもいいことは何もありません。互いに自分の考えを相手に納得させようとするのではなく、「子どものために一緒に考える」というスタンスをまず共有するようにしてほしいと思います。このことを大前提とした上で互いの考えを「聞きあう」ことで、多くのトラブルは避けることができると思います。

一方、電話応対等のマナーについては、きちんと研修する必要があります。最近では、就労経験のある保護者がほとんどです。当然基本的なマナーはよくご存じです。教師にそのつもりはなくてもマナーを知らないために、対応がぞんざいであるとか、軽んじていると感じさせてしまうことがよくあるのです。
例えば、「ご苦労さま」という言葉です。「ご苦労さま」は目上の人が下に対して使う言葉であるとして、外部や目上に対しては「お疲れさま」を使うように教育している企業がほとんどです。学校内ではだれも気にしなくても、保護者にうっかり使ってしまえば、上から目線と取られてしまいます。本当は、「わざわざありがとうございます」という謙虚な気持ちで使っているのに、軽んじられたと気分を害してしまう保護者も出てきます。こんなつまらないことが、トラブルのきっかけになることもあるのです。

また、保護者との対応に関してネガティブな言葉使わないことも大切です。例えば、保護者から「苦情」があった、「苦情」対応をするといった表現です。確かに内容的には「苦情」といっていいことかもしれませんが、「苦情」といった時点で、すでに関係をネガティブにとらえています。詳しく話を聞く前にこういう言葉を使ってしまうと無意識に防衛的な態度をとってしまいます。しかし、最初は、話を聞いてほしい、納得させてほしいというレベルの話であることがほとんどです。教師が防衛的になって、こちらの立場を主張し、相手の話を否定してしまうことで本当に「苦情」になってしまうのです。こうなるといくらその場でこちらの主張を通しても、結局はよそへ「苦情」を持ちこむだけで、余計に深刻なトラブルになるだけです。
ところが、ポジティブな言葉に言い換えるだけで、気持ちはずいぶん変わります。「苦情」を「相談」といいかえるだけで、ニュートラルな気持ちで接することができ、余裕を持って話を聞くことができるようになります。

保護者対応は学校にとって大きな問題となってきましたが、ちょっとした研修や気づかいでほとんどの問題は避けられると思います。この「ちょっとしたこと」を学校としてどう徹底するかが問われているように思います。

公開授業を見学

先日、今年度よりICT活用の研究指定を受けた小学校の公開授業を参観してきました。

ICT活用ということも影響してか、授業者は若手の先生ばかりでした。自ら手を挙げて公開されたそうで、その意欲に感心しました。今回は、ICTをどのように活用しているかということより、授業として何を目指しているのか、子どものどんな姿を見たいと思っているのかに焦点を当てて見させていただきました。

見させていただいた3人に共通していたのは、場面ごとの活動を意識しているのですが、1時間の授業全体で子どもたちのどうなってほしいかが明確でなかったことです。子どもたちは、作業には取り組むのですが、どこへ向かっているのかがよくわからない状態でした。
ICT機器のような道具を意識するとどうしても起こりやすいことです。一旦ICTを横に置いて授業構想を立ててみるとねらいがはっきりしてきます。その上で授業の各場面で子どもたちにどのような活動をさせたいのか、そのポイントは何かを考え、そこにICT機器を活かしていけばよいのです。

当日は、最後に、この研究をサポートされる大学の先生のお話がありました。直接聞くことはできませんでしたが、そのレポートを読ませていただき、さすがと感心させられました。この学校の現在の問題点をわかりやすく指摘し、その改善への方向性もとてもシンプルに語られています。先生方が前向きに研究をとらえられるように、意識されていることがよくわかります。私にとっても大いに勉強になりました。
まだまだ研究は始まったばかりです。熱意のある先生方と素晴らしい研究者のコラボレーションで、きっと大きな成果をあげられることと期待しています。

言語活動について講演

昨日は中学校で言語活動についてお話をしてきました。30度を超す暑さの中、はたして集中して聞いていただけるのだろうかと内心ドキドキしていたのですが、とても熱心に聞いていただけて、気持ちよくお話しさせていただきました。

子どもたちが内田樹のいうところの消費者的な行動をとる、効率的に結果を得ようとする傾向が強いと感じる学校です。説明を集中して聞いていなくても、板書は素早くノートに写すそんな子どもたちです。

この傾向を変えるためには、正解をすぐに提示して説明するのではなく、その過程を子どもたちに問うことが大切です。

「それってどういうこと」
「どこでわかった」
「○○さんの考えを説明して」

このような言葉をうまく使うことをお願いしました。

言語活動を充実するために、まず、子どもたちが安心して発言できる、発言することがうれしいと思えるようにすることを意識してもらいました。

そのために、

聞くことを大切にする。
子どもの発言をポジティブに評価する。
たとえ間違いでも否定しない。
発言に正解を求めない
発言できなくても、まわりに助けてもらって発言できるようにする。
指名されたら、必ず最後は何か発言をして、ほめられて終わるようにする。
わからない子どもで発言できる問いかけをする。

このようなことをお伝えしました。

互いにしっかりと聞きあうこと、自分の発言が否定されないこと。ここからのスタートです。このことができれば、課題や活動の内容を工夫すれば驚くほど子どもは積極的に活動します。
とても熱心な先生ばかりです。きっとそのための1歩を踏み出してくれることと思います。

継続的に育てる

日々の教材研究は、どうしても目の前の授業をどうするかに追われてしまいがちです。なかなか、1年間、3年間、6年間を通じて育てる力のことをじっくりと考えることができません。

例えば、読む力はどの教科でも大切な基本となる力です。1時間ごとにどう力をつけると考えるようなものではなく、継続的に育てていくものです。授業のどのような場面で、何を意識し、活動させなければならないのかを整理しておく必要があります。

国語であれば、わからない言葉や読めない漢字を見つけて調べる。すらすら読めるようになる。話の内容がわかる。筆者の主張、登場人物の気持ちを本文に沿って理解できる。・・・
算数・数学であれば、問題文の条件がわかる。何を求めればよいかがわかる。・・・
社会であれば、事実がわかる。違いがわかる。因果関係を整理できる。・・・
・・・

このように、読む力といってもいろいろな場面でさまざまな形で求められます。それを身につけるための活動も、子どもの成長や教材によっていろいろ考えられます。

初めて目にする文章であれば、黙読してわからない言葉や、漢字に線を引くという作業をするとよいのかもしれません。いきなり音読して、詰まったところを調べる方法あります。
すらすら読ませたいのなら、できるだけ早くとプレッシャーをかけた方がよいのかもしれません。ペアで読みながら、詰まったところを教え合うのもいいでしょう。
内容を理解するのであれば、「主人公の気持ちがわかるところに線を引いて」と指示をして、じっくり読ませることも大切です。
算数の文章題であれば、問題文を絵や図にすることで把握する。求めたいものと、わかっていることを別の色で線を引く。こんな方法も知っておく必要があります。
社会科で資料を整理するのであれば、箇条書きではなく、事実とそこからわかること、因果関係を線で結んで関係図をつくる。
・・・

書く、聞く、話す、調べる、・・・。多くの力が子どもたち求められます。それぞれの力をつけるため、どのような場面で、何を意識して、どのような活動が必要なのかを整理してみてください。若い先生は、ほんの少ししか見つからないかもしれませんが、意識して授業をおこなったり、他の先生の授業を見ることで見つかっていくはずです。
このことが明確になってくると、新しい教材に出会っても、時間をかけずに授業を組み立てていくことができると思います。

愛される学校づくり研究会に参加

先週末に愛される学校づくり研究会に参加しました。今回は研究指定校の取り組みの現状と実践例の発表でした。

私も研究指定校のお手伝いを何校か経験していますが、研究の方向性やゴールが見えるまでけっこう右往左往することがあります。立派な結果を残さなければいけないというプレッシャーがどうしてもかかるからかもしれません。そんなとき、私は研究発表会の参加者は何を求めるのだろうと考えます。来てよかったと思うのはどんな内容なのでしょうか。

一つは、発表の内容を自分の学校でもやってみようかと思うえること。もう一つは、その研究の結果そのものではなく、そこに至る過程での組織づくりや仕掛けが学校の活性化に参考になると思えることだと考えています。
特に2つ目の視点は、研究内容にかかわらず役に立つ情報だと思います。私がお手伝いをさせていただくときは、特に2つ目の視点での情報伝達を発表会では意識するようにしています。

結果を求めると、決められた期間でなんとしても結果を出さなくてはいけません。無理やり結果が出たことにする発表会もあります。このような研究発表をすると、そのあと研究はしりすぼみになってしまうことが多いように思います。また、先生方の負担も大きいように感じます。
一方、ゴールはまだ先でも、確実に前へ進んでいると思えれば継続できます。先生方が日常的に無理なく前へ進めるような取り組み方を考えることは、長い目で見れば学校を大きく進歩させます。研究をきっかけに学校がよい方向へ無理なく変わる。研究指定が終わっても進歩し続ける学校を目指してほしいと思います。

研究会で発表された学校は今年度スタートしたばかりで、まだ多くのことが混沌とした状態のように感じました。この学校は、アドバイスをお願いしている大学の先生が来られるときはすべてオープンにするそうです。この状態からどのように変化していくか、できるだけ時間をつくって参加し、その過程から学ばせていただきたいと思います。

学校公開日で授業アドバイス

先週末は中学校の学校公開日で、授業アドバイスをおこなってきました。

おじゃまするようになって3年目の学校です。子ども同士の学び合いを大切にした授業に取り組んでいます。子どもたちは落ち着いて、学習に積極的に参加しています。先生方の取り組みの成果が子どもたちの様子に表れています。
しかし、どんな課題や活動でも集中して取り組んでくれるので、子どもたちにどのような学びがあったのかをきちんとチェックしていないと、活動はあるが学びのない授業になってしまう可能性もあります。今まで以上に授業の質が問われるようになってきたのです。

また、公立学校の常ですが、新転任で今年から勤務された先生がこの学校のスタイルにまだなじめずにいるようでした。
グループ活動を取り入れたり、形の上では学び合いの場面を作るろうとしています。しかし、グループ活動を取り入れることの意味やねらいがよくわかっていないため、「なぜここで?」「なぜこの課題?」という場面が多いのです。本を読んだり、オリエンテーションを受けただけで理解し、自分のものにするのはとても難しいことです。具体的な場面から学んでいくことが一番の方法だと思います。学校のスタイルが固まれば固まるほど、授業研究を継続しておこなうなど、互いに学び合う機会をたくさん作ることが大切になってきます。

校長は、日ごろから授業の様子をよく見ておられるのでしょう。現状の課題をしっかり把握しておられました。校長の考える課題をしっかり伝えていただくことで、私もアドバイスがとてもしやすくなります。校長も意識していろいろとしかけられることでしょうから、学校にいろいろな変化が起きることと思います。今後の訪問がとても楽しみになりました。

何をどこに残すか

教材研究で意識してほしいことの一つに、何をどこに残すかということがあります。

例えば知識や結果は、プリントやワークシートの形で子どもたちの手元に残るのか、板書を写したノートに残るのか、子どもたちの頭に残るのか、どうあってほしいのでしょうか?
考え方はどうでしょうか?
授業を見ていると、知識や結果は圧倒的にワークシートやノート、考え方は頭の中に残そうとすることが多いようです。

知識は書いて覚えるという考えが主流のように思いますが、ワークシートやノートに一度写したからといって身につくわけではありません。結局、後日試験などをするというプレッシャーを与えて覚えさせることがほとんどです。その時のために何らかの形で残しておくわけです。学校で頭を使わずノートやワークシートの穴を埋めること、家庭でそれを覚えることが学習だと勘違いしていきます。
頭に残そうと思うのであれば、そのための活動が必要になります。板書を写すのであれば、「ポイントを隠してその部分を見せずに書かせる」「黒板を見ないで書かせる」といった工夫や、隣同士で確認し合う、知識を使う活動をすることが欠かせません。

一方考え方は、説明を聞けば身につくわけではありません。また、結果を見てもどうすればそれが出てくるのかはわかりません。
算数や数学で、模範解答が板書され、それを先生が説明する。子どもは板書を写す。こんな授業をたまに見かけます。自分で解けた子どもには写すことは不要の作業ですし、解けなかった子は、後から解答だけを見直しても解けるようになりません。
考え方を頭に残すことはとても難しいことです。子どもたちに理解しやすい言葉で整理をし、何度も使うことが必要です。教師が毎時間確認し、目立つように板書して、いつでも振り返れようにする。子どもが自分の言葉で整理してノートに書く。こういうことが大切になります。

1時間の授業を考えるとき、その時間で押さえる知識や考え方があるはずです。これらは、ただ話したり説明しただけではすぐに消えて行ってしまいます。
知識であれば、この時間のうちに頭に残すのか、時間をかけて後日確認するのか。頭に残すのであれば、どのような活動で残すのか。後日確認するのであれば、プリントやワークシートの形で残すのか、板書や、子どものノートに残すのか。
考え方であれば、整理した形で板書として残すのか、整理しながらその過程を板書に残すのか、子どもが自分で整理してノートに残すのか。
このようなことを考えながら授業を組み立てていってほしいと思います。

声にならない声を聞く

昨日は中学校で授業アドバイスをおこなってきました。

この日は、特定の学級を中心に授業を見ました。授業者、教科によって子どもたちの見せる姿がかなり違っていました。学級全体もそうですが、同じ生徒でも、集中する、積極的に参加する場面と、集中力をなくす、やる気をなくす場面の差が極端なことが特徴的でした。ある意味子どもたちが素直で、場面場面でその時の気分、状態を素直に出していると感じました。

たまたま、新任の先生が一緒に子どもたちを見たいと言ってくださったので、その先生が授業をしたときと比べながら見てもらいました。自分の授業ではは全くやる気のなかった子どもが、積極的に活動している姿や、学級全体が集中する瞬間を驚いて見ていました。子どもたちの見せる姿は一つではないことを実感してくれたようです。自分の授業を改善しようという意欲が一層強くなったようでした。とてもうれしいことです。

子どもたちは、何をやればよいかがはっきりとわかっている、見通しがあって手がつきやすい、作業の成果物が明確である。そんな活動には積極的に取り組む。また、自分たちの活動の結果については、それがどう評価されるか非常に興味を持つ。当然のことながら、この学級を見ていると、あらためてこのようなことに気づきます。

この学級の多くの子どもたちが、集中力や意欲をなくした姿をはっきりと見せることは、別の見方をすれば、先生に対して「もっとわかるようにしてよ」「ちゃんと見てて」「評価して」という声にならない叫びを発していることのように思えます。特に行動面で目立たない普通の子どもが、自分たちを見てほしい、認めてほしいと訴えているように感じます。
担任をはじめ、この学級にかかわる先生方がこのことに気づいてくだされば、この学級はよくなっていくと思います。特に、先生方が少し余裕を持って、一人ひとりの子どもをポジティブに評価することを心掛けてくだされば、大きく変化するに違いありません。当面意識してこの学級の変化を見続けようと思っています。

子どもが育っているからこそ、課題が見つかる

昨日は中学校の社会科の授業研究に参加してきました。

授業者は小学校から転勤してきたばかりの若手の先生です。まだ中学校で教え始めて3か月もたたないこの時期に研究授業をおこなうチャレンジ精神が素晴らしいと思いました。
小学校で授業力を鍛えてきたことが子どもたちの姿からもよくわかります。先生の話を聞く姿勢、作業が遅い子どもを待つ様子、課題に取り組む素早い動きから、授業者がこのこと意識して指導していることがとてもよくわかります。授業者の表情も柔らかく、当然子どもたちの表情もにこやかです。子どもたちが安心して授業に参加していることがよくわかります。先生と子どもの関係もとてもよいのです。
実は、こういう先生と子どもたちの関係がよい状態での授業は、課題もたくさん見つかること多いのです。目の前の事実の原因から教師と子どもの人間関係を除外できるからです。

子どもたちが課題に取り組む様子は、多くのグループで一人の子が仕切って、その指示で作業をしている姿が見られました。答えを見つける過程で、一人ひとりが考えたこと、個人が持っている情報を共有する場面がありませんでした。
この原因は、

・グループ編成時に学習面でリーダーの役割をする子を必ず入れるようにしている。
・一人ひとりの答えを持つのではなく、グループで一つの答えを出すようにしている。
・正解を共有することが中心で、どのように考えたか、その理由は何かといった過程や根拠を活動の途中や活動後共有することをしていない。

などが考えられました。
子ども同士の関係がよく、互いに協力しようとしているからこそ、このことがよくわかります。

また、資料を使って考える場面では、手がつく子どもと、全く手がつかない子に分かれてしまいました。手がつかない子はやる気がなかったのではないことは、何度も鉛筆を持ち資料を読んでいることからわかります。資料の中の正解となる用語の意味が子どもたちにはわからないようでした。資料を読み取る場面を設定しなかった、用語の意味を知るための手立てを与えていなかったため、子どもたちはわからないまま資料に向かっていたのでした。答えを見つけた子どもも、根拠は教師のヒントと資料の言葉からの類推で、正解となる用語を示せてもその意味はわかっていませんでした。
手がつくつかないの差は、わからないことをいったん棚上げして考えることができるか、そこに引っかかって先に進めないかの差だったようです。

このように子どもの状況をつくる原因が見えてくれば、その改善方法も明確になってきます。授業者は経験を積むことで、急速に進歩すると思います。ベースとなるものがしっかりあれば、その上に多くの物が積み上がっていきます。素直で学ぶ意欲の旺盛な先生です。次に授業を見るときには、きっと見違えるようになっていることと思います。私もこの授業からとても多くのことを学べました。次の機会がとても楽しみです。

石垣則昭先生から学ぶ

教師力アップセミナーで石垣則昭先生(登別市立緑陽中学校長 上級教育カウンセラー・ピアサポートコーディネーター) のお話を伺いました。

ソーシャルスキル、エンカウンター、カウンセリング、ピアサポートなどの幅広い知識をベースにしたワークショップと講演からなる、参加者が自分で理解することを大切にしたプログラムでした。若い先生に感想を聞くと「ロールプレイでネガティブな教師と子ども役を互いに経験することで、子どもたちがどんな気持になるかを実感し、改めて子どもとの接し方を考え直した」と答えてくれました。日ごろ気づかずにそんな態度をしているもしれないと振り返るよい機会なったようです。変化するためには、まず気づくことが大切です。このことを大切にした講演を心がけなくてはとあらためて思いました。

石垣先生の素晴らしさは、多くの知識を持っているにもかかわらず、常に学校現場での現実的な実践の面から考えられていることです。特定の理論や手法にとらわれず、現場の課題を解決するという視点での指導例は大変参考になりました。
今回は子どもたちの心にスポットを当てたコミュニケーションが中心でしたが、いろいろな場面で応用のきくお話でした。

予定している保護者向けの講演にも役立つヒントをたくさんいただくことができました。ありがとうございました。

子どもの姿は教師を映し出す鏡

先週末は小学校で授業アドバイスをおこなってきました。1年間、若手の先生方と一緒に授業について考える予定です。

この日は第1回目ということで、子どもたちの授業の様子を一緒に見ることを中心にしました。授業者はできるだけ見ないで、子どもたちに集中するようにお願いしました。日ごろ第三者の視点で子どもたちを見ることがないので、とても新鮮だったようです。
挙手したが指名されなかった子どもが、その後集中力を切らして発言を聞かずにぼんやりしていることが多いことに驚いていました。また、そのことに授業者が気づいていないこともわかったようです。

授業の場面ごとに一人ひとりの子どものどのような姿が見たいのかを意識していないと、子どもたちの様子を見過ごしてしまいます。発言していない子どもにどうあってほしいかが明確でないと、発言者ばかりを見てしまうことになります。意識しないことは見えないし、見えなければ修正されることもありません。
子どもの姿は教師を映し出す鏡なのです。ですから、教師ではなく子どもの姿を見ることをお願いしたのです。

その上で、少しスキル的なことをお話ししました。子どもたちに参加を促すための声のかけ方です。
例えば、発言している子ども以外がぼんやりして授業に参加していなければ、活動しているのは一人だけです。しっかり発言を聞いて参加していれば全員が活動していることになります。一見すると同じように見える授業でも一人ひとりの活動量には大きな違いがあります。そこで、指名したときに、「○○さん、考えを言ってくれる」ではなく、「○○さんの考えをみんなで聞こう」と主語をWeにするのです。発言は指名された子だけの活動ですが、聞くことは全員の活動です。視点を変えるだけで子どもの動きは変わってきます。グループでの話し合いなども、「話し合おう」ではなく「聞き合おう」と声をかけるのです。

子どもの様子を一緒に見たり、話し合ったりしながら感じたのは、先生方がとても熱心で素直なことです。1年間一緒に学び合うことできっと大きな進歩を見せてくれることと思います。次回の訪問が楽しみです。

教材研究における「足し算」と「引き算」

「授業は引き算の発想が大切」。これは20年ほど前にある先生から教わったことです。この引き算の発想は私にとっては授業を考えるときの基本となっています。しかし、最近はあまり言わないようにしています。「そもそも若い先生には引くほどのものがない」と指摘されたからです。教材研究における「足し算」「引き算」を考えてみましょう。

1時間の授業を組み立てるとき、ねらいを達成するための子どもたちの活動、それを引き出すための発問や指示を考えます。このとき、1つ2つの活動を考えついたところで終わるのではなく、他にもないかといろいろ考えることが大切です。

例えば社会科の雨温図と地域の関係の学習での子どもの活動を考えてみましょう。

A.子どもに雨温図を理解させるために、地域ごとの気温と雨量のデータだけを与えて雨温図を作る。
B.各地域の雨温図を比較して特徴を考える。
C.地域名を隠した雨温図を与え、資料集からどこのものか調べる。
D.できるだけたくさんの地域の雨温図を用意し、似た傾向のものをグループにわける。
E.地域名を隠した雨温図を与え、その特徴からどこの地域のものか考える。
F.雨温図とその地域の農産物の関係を考える。
・・・

ベテランの方であれば、もっといろいろな活動を考えつくと思います。
それぞれの活動を個人でおこなうかグループでおこなうか。また、活動ごとに発問や指示にはいくつものバリエーションがあります。
それぞれの活動は授業のねらいのどこかを達成することにつながるはずです。これらは互いに相反するものとは限りません。例えばAとB、DとEを組み合わせて授業をすることも可能です。工夫すれば、これらの活動のほとんどを組み合わせた授業も不可能ではないでしょう。
このように、いくつもの活動やそのバリエーションを考えることが「足し算」です。しかし、1時間の授業ということで考えれば、この中の2つを組み合わせることも現実には難しいでしょう。そこで、それぞれの活動につながるねらいの中で一番重要なものは何か、また、子どもたちの現状からどのような活動がふさわしいのかなどを考えることになります。ほとんどのものは引き算されて、1つか、せいぜい2つの活動に絞られます。これが「引き算」の発想です。

力をつければつけるほど、たくさんの「足し算」ができるようになります。それにともない、だんだん多くのことを授業に盛り込むようになっていきます。そこで、本当に必要なものは何かと考える「引き算」の発想が必要になってくるのです。まずしっかり「足し算」ができるようになる。そして、「足し算」から「引き算」の発想を身につけるようになってほしいと思います。

子どもの反応を予測する

教材研究で課題や発問を考えるとき、子どもの反応や発言を予測することが大切です。このとき、どうしても教師としてこうあってほしいという都合のよいものだけを予測しがちです。このイメージが強すぎると、子どもの反応を教師が無意識のうちに都合のよいものに解釈してしまいます。

「○○さんどう」
点を結んで・・・」
「いいこと言ったね。この2つの点を直線で結ぶと・・・」

子どもは「点を結んで」としか言っていないのに、「この2つの」「直線で」と、教師が自分に都合のいい言葉を付け加えています。

このようにならないために、まずどのような反応・発言が出てくるかできるだけたくさん考えておきます。理想的なもの、期待したいものと少し違うが近いもの、全くかけ離れたもの。子どもたちの顔を思い浮かべ、よく似た課題や発問のときの反応を思い出したりしながら予測します。次に、それぞれに対してどのように対応するかを考えます。

例えば、課題に対してすぐ動けないようであれば、一旦活動を止めて、再度課題の確認をする。途中で動きが止まるようならば、まわりと相談させる、ヒントを与えるなどの対応考えます。当然ヒントの内容も考えておく必要があります。

発言であれば、理想的なものに対しては、たとえよい発言であっても全員がすぐに理解できるとは限りませんから、「今言ったことわかる。だれかもう一度説明してくれる」「なるほどと思った人手を挙げて」と、全員にその考えを広げることを、期待に近いものに対しては、「・・・といってくれたけど、それってどういうこと」「・・・は、どこでわかるの」といった切り返しを、また、なかなか期待したところに近づかないときのためには、あらたな指示や発問をそれぞれ考えておきます。

また、こうすることで、予想と同じ反応や発言をするだろうかと、授業でより注意深く子どもを観察したり、発言を聞くようになります。実際には予想外の反応や発言に出会うこともありますが、これだけ準備をしているとかなり余裕を持って対応できるはずです。逆にいろいろ準備しても、ほとんど利用しないで終わってしまうこともあるでしょう。しかし、子どもの反応を考えることは無駄にはなりません。このような経験を積み重ねることが、子どもの実態をつかむことにつながり、子どもの実態に即した授業づくりにつながっていきます。子どもの反応や発言をできるだけたくさん予測することを心掛けてほしいと思います。

現職教育打合せ

昨日は、中学校で現職教育の打ち合わせをしてきました。

本年度より学校の努力目標として、言語活動の充実を加えた学校です。具体的にどのような話をすればよいのかを知るために、普段の授業の様子を廊下から見させていただきました。
子どもたちは、いろいろな意味で素直でした。教師の指示にはきちんと従います。しかし、教師が意識していないことはできません。また、受け身の時間が長いと集中力が切れます。楽しいとはしゃぎます。教師が子どもたちに望む姿が明確であれはあるほど、その姿に近づいていく子どもたちだと思いました。
言語活動について考えてみると、子どもたちが言語活動をしている姿をまず先生方がイメージできることが大切です。その上で、どうすればそのような姿を引き出せるかの具体的な方法論をもつことで実現できるようになります。

今回の現職教育は、「言語活動の充実」が天から降ってきたという発想ではなく、このことを意識すると普段の授業がもっと充実する、ちょっとした工夫で子どもたちは大きく変わる。そのようなことをできるだけ具体例をもとに話したいと思います。先生方に子どもたちのこんな姿が見てみたいと思っていただければ成功です。どんな反応をしてくださるかとても楽しみです。

学校訪問に参加

昨日は中学校の学校訪問に参加しました。

午後からの指定授業では教育長や管理主事と授業の感想や最近の学校の様子についてお話しをさせていただきました。お二人とも指定授業での子どもたちの様子をとてもほめてくださいました。1時間の授業に集中している子どもたちの姿、その柔らかい表情や笑顔が、この学校がよい方向に向かっていることを示してくれています。まだ、すべての授業でこのような姿が見られるというわけではありませんが、互いにこのような姿を見合うことで、目指す子どもの姿が共有されていくこと思います。

理科の指定授業は、1年生の実験観察の場面でした。
子どもたちの、話を聞く、考える、動くといった場面の切り替えがしっかりできる姿が印象的でした。どの場面でもとてもよく集中しています。授業者が、それぞれの場面で見たい子どもたちの姿をしっかりイメージして日ごろから授業に臨んでいることがよくわかります。授業後、授業者と話をしたときに、「今年は子どもたちが考察をきちんとできるようになってきた。実験を失敗したグループもその原因を考察することで、きちんと発表できるようになった」と子どもたちの成長に手ごたえを感じていました。残念ながら私はその場面を今回は見ることができませんでしたが、次の機会はぜひ意識して見せていただきたいと思いました。

国語の指定授業は、説明文の段落の構成を考える場面でした。
グループで考えた結果を発表したところからの参加でした。意見の異なるところをクローズアップして、それぞれの理由を発表させましたが、結論や正解を教師が急いで出すのではなく、じっくりと聴きあうことを大切にしていました。互いの意見が出た後、子どもたちはまわりとそのことに関してとても話したそうにいろいろとつぶやいていました。真剣に参加していることがとてもよくわかります。この時間では結論を出さずに次回に持ち越しましたが、授業後子どもたちに「正解を教えてと」迫られて大変だったそうです。
授業者は「正解」という言葉を意図して使わないようにしているのですが、「ヒントは・・・」といった言葉を使ったりしていることもあり、子どもたちは絶対的を正解は教師が持っていると考えています。そこで、自分たちで結論をだすのではなく、教師に聞こうとしているようです。

また、この後の授業検討のグループ討議も素晴らしいものでした。子どもたちのグループでの話し合いの様子から、根拠を共有して考えることより、できる子の答えをもとに正解を見つけようとしていると指摘したグループがたくさんありました。先生方が子どもたちの事実をしっかりとらえる力をつけている証拠です。このような授業検討を積み重ねたことが着実に先生方の力になってきているようです。

この学校では、特定の理論やメソッドをもとに学校全体で一斉に取り組むというアプローチをとっていません。方向性を共有して、互いの実践を通じて学び合っていくという地味なやり方に終始しています。そのためか、研究を始めた1年目はなかなか大きな変化を見ることができませんでした。しかし、2年目の今年はそれぞれの実践が次第に形になって広がり始めています。素晴らしい子どもの姿を共有していくことで大きく学校が進化するのではないかと期待しています。

青少年健全育成会議に参加

先週末に、青少年健全育成会議に参加させていただきました。この会議は地域の議員や区長、補導員、民生員、PTAの役員等からなる子どもたちの健全育成を願う方たちの会議です。この中学校区では、子どもと地域の方が触れ合うような機会を、会議の一環として積極的に作っています。

今年は子どもたちのグループに地域の方が一人ずつ入って、質問に答えるというものでした。日ごろ授業を通じて子どもを見ることは多いのですが、直接話をすることはめったにありません。子どもたちの様子を、コミュニケーションを通して別の角度から知ることができました。中学1年生の2つのグループと交流を持ちましたが、子ども同士がしっかりとコミュニケーションを取れることに感心しました。ちょっと距離を置いているのかなと感じる友だちに、声をかけて輪に引き入れたり、積極的に話をつなごうとする姿勢が見られました。とても素敵な笑顔をたくさん見ることができました。
この時期にこういった姿を見ることができるのは、小学校でしっかり鍛えられていたからでしょう。そして、それが維持できているということは、中学校でもそれを受けて、かかわり合いを大切にしているということです。この市では、市全体で子ども同士のかかわり合いを大切にしています。そのよさが子どもたちの姿に表れています。

このほかにも、「困っている人がいたらあなたは何ができる?」というテーマで、地域の方に次々話をしていただき、それを受けて子どもが答えるという、みんなでの話し合いもありました。

毎年、地域の方と子どもたちの関係をつくるプログラムを工夫しています。こういう機会を通じて、子どもたちは自分たちが多くの大人たちに見守られていることを強く実感できると思います。また、地域の方々も特別な子どもではなく、ごくごく普通の子どもたちの様子を知ることができ、今まで以上に子どもたちを温かく見守ってくれることと思います。

とても楽しい時間を過ごすことができました。来年はどのようなプログラムを工夫してくれるのか、今からとても楽しみです。

一般の方への講演

昨日は一般の方を対象にした講演をおこないました。不登校の現状と家庭での子どもの居場所づくりについての話です。

通常このような内容の講演では、子育て中かお孫さんをお持ちの女性ばかりのことが多いのですが、子育てを終えたであろう男性の方が何名か参加されていました。男性にもこういった話題に関心を持っていただけるようになってきたことはとてもよいことだと思います。どなたも大変熱心に聞いていただけ、講師としてはとても気持ちよくすすめをさせていただけました。

参加者の質問から、いろいろな方の体験を知りたいと思われていることがうかがえました。今は情報社会ですので、子育てに関する情報も手に入れやすくなっています。そういった情報を欲することもよくわかります。しかし、子育てに関してはあまり体験談を参考にしすぎないようにお願いしました。子どもは一人ひとり違います。兄弟姉妹でも個性は大きく異なります。目の前にいる子どもを自分の目でしっかりと見て、その気持ちを真剣に受け止めることが一番だと思います。

終了後、数名の方から個別に質問をいただきました。私が軽々しく答えることができない問題もありました。なかなか相談する相手もいないのかもしれません。話を聞かせていただくことで、少しでも相談者の気持ちが楽になればと思います。ともすると、子育ては親を孤独にしてしまうことがあります。そういう方の受け皿となる人や機関がもっと増えることが必要だと感じました。
楽しい講演でしたが、いろいろと考える機会をいただいた場でもありました。

教科書を読みこむ

教材研究では教科書が基本とよく言われます。教科書を読みこむという言葉もよく聞かれます。教科の特性によっても違いますが、教科書には子どもが学ぶべきことが非常にコンパクトにまとめられています。教師であれば1時間の授業範囲などあっという間に読んで理解できるはずです。では、読み込むとは具体的にどのようにすることなのでしょうか。何度も読めばよいのでしょうか。

教科書に書かれていることは、まとめや結論だけではありません。課題や途中の考え、時には誤った考えも例として書かれています。限られた中で書かれていることです。無駄なものはありません。なぜこの一文があるのか、なぜこの資料があるのか、なぜこの作品が扱われているのかを考えることが読み込むことです。この課題に取り組むことが子どもの理解に必要である。途中で整理することが混乱を避ける。多くの子どもがこのように考えるはずだ。教科書はこう教えてくれているのです。授業の組み立てを考えるときに、このことは大きなヒントになります。このことを意識することで、どこに重点を置けばよいのか、何が子どもの中で明確になっていなければいけないのかわかるのです。
算数や数学では「問」の数値や配列にも注意をします。これらにも意味があるのです。何が理解できていて、どこでつまずいているのかがわかるように意図しています。
国語のように一つの教材が何ページにもまだがっている物は、教科書をコピーしておきます。並べて全体を一度に眺められるようにするためです。糊でつなげて巻物にする方もいます。こうすることで、表現の対比や文章の構成が見やすくなります。関連するものを横に並べて比べたり、線で結んだりすることで教材の理解が深まります。

教科書づくりには驚くほどの時間がかけられています。一行一行にいろいろな意図が込められています。その意図を探り、解き明かすことが教科書を読み込むことだと思います。

ICTを活用した授業

昨日は、中学校の英語の授業研究に参加しました。

iPod touchを使って、教室のディスプレイに教材を提示したり、音声を流す試みをしていました。子どもたちの集中力も高く、真剣に授業に参加しています。
1時間の授業がテンポよく進んでいきましたが、ICTの活用がテンポアップにうまく貢献していました。場面を変えるときにICTを活用することですぐに集中させることができることがよくわかりました。

ICTを活用することで、この場面の本質は何かということを考えるきっかけがもらえます。
例えば、ディスプレイに表示するのか、板書するのか、プリントで配るのかを考えることは、結局その場面で子どもたちにどうあってほしいかを考えることになります。
同様に音声だけでよいのか、その際教科書を見させるのか、それともディスプレイに本文も一緒に表示するのかを考えることは、この場面は聞かせるのか、読ませるのか、子どもの意識をどこに向けさせたいのかを明確にすることにつながります。

参加した先生方にとっても、今回の授業がいろいろな意味で授業を見直すきっかけになったことと思います。私にとってもよい勉強の機会になりました。
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