一般の方への講演

昨日は一般の方を対象にした講演をおこないました。不登校の現状と家庭での子どもの居場所づくりについての話です。

通常このような内容の講演では、子育て中かお孫さんをお持ちの女性ばかりのことが多いのですが、子育てを終えたであろう男性の方が何名か参加されていました。男性にもこういった話題に関心を持っていただけるようになってきたことはとてもよいことだと思います。どなたも大変熱心に聞いていただけ、講師としてはとても気持ちよくすすめをさせていただけました。

参加者の質問から、いろいろな方の体験を知りたいと思われていることがうかがえました。今は情報社会ですので、子育てに関する情報も手に入れやすくなっています。そういった情報を欲することもよくわかります。しかし、子育てに関してはあまり体験談を参考にしすぎないようにお願いしました。子どもは一人ひとり違います。兄弟姉妹でも個性は大きく異なります。目の前にいる子どもを自分の目でしっかりと見て、その気持ちを真剣に受け止めることが一番だと思います。

終了後、数名の方から個別に質問をいただきました。私が軽々しく答えることができない問題もありました。なかなか相談する相手もいないのかもしれません。話を聞かせていただくことで、少しでも相談者の気持ちが楽になればと思います。ともすると、子育ては親を孤独にしてしまうことがあります。そういう方の受け皿となる人や機関がもっと増えることが必要だと感じました。
楽しい講演でしたが、いろいろと考える機会をいただいた場でもありました。

教科書を読みこむ

教材研究では教科書が基本とよく言われます。教科書を読みこむという言葉もよく聞かれます。教科の特性によっても違いますが、教科書には子どもが学ぶべきことが非常にコンパクトにまとめられています。教師であれば1時間の授業範囲などあっという間に読んで理解できるはずです。では、読み込むとは具体的にどのようにすることなのでしょうか。何度も読めばよいのでしょうか。

教科書に書かれていることは、まとめや結論だけではありません。課題や途中の考え、時には誤った考えも例として書かれています。限られた中で書かれていることです。無駄なものはありません。なぜこの一文があるのか、なぜこの資料があるのか、なぜこの作品が扱われているのかを考えることが読み込むことです。この課題に取り組むことが子どもの理解に必要である。途中で整理することが混乱を避ける。多くの子どもがこのように考えるはずだ。教科書はこう教えてくれているのです。授業の組み立てを考えるときに、このことは大きなヒントになります。このことを意識することで、どこに重点を置けばよいのか、何が子どもの中で明確になっていなければいけないのかわかるのです。
算数や数学では「問」の数値や配列にも注意をします。これらにも意味があるのです。何が理解できていて、どこでつまずいているのかがわかるように意図しています。
国語のように一つの教材が何ページにもまだがっている物は、教科書をコピーしておきます。並べて全体を一度に眺められるようにするためです。糊でつなげて巻物にする方もいます。こうすることで、表現の対比や文章の構成が見やすくなります。関連するものを横に並べて比べたり、線で結んだりすることで教材の理解が深まります。

教科書づくりには驚くほどの時間がかけられています。一行一行にいろいろな意図が込められています。その意図を探り、解き明かすことが教科書を読み込むことだと思います。

ICTを活用した授業

昨日は、中学校の英語の授業研究に参加しました。

iPod touchを使って、教室のディスプレイに教材を提示したり、音声を流す試みをしていました。子どもたちの集中力も高く、真剣に授業に参加しています。
1時間の授業がテンポよく進んでいきましたが、ICTの活用がテンポアップにうまく貢献していました。場面を変えるときにICTを活用することですぐに集中させることができることがよくわかりました。

ICTを活用することで、この場面の本質は何かということを考えるきっかけがもらえます。
例えば、ディスプレイに表示するのか、板書するのか、プリントで配るのかを考えることは、結局その場面で子どもたちにどうあってほしいかを考えることになります。
同様に音声だけでよいのか、その際教科書を見させるのか、それともディスプレイに本文も一緒に表示するのかを考えることは、この場面は聞かせるのか、読ませるのか、子どもの意識をどこに向けさせたいのかを明確にすることにつながります。

参加した先生方にとっても、今回の授業がいろいろな意味で授業を見直すきっかけになったことと思います。私にとってもよい勉強の機会になりました。
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