作業スピードの差をどう埋めるか
問題演習やワークシートなどの作業の速さは子どもによって違います。全員が終わるまで待っていると時間がかかる、早くできた子が遊んでしまう。まだ終わっていな子がいるのに途中でやめれば達成感がなくなり、やる気の喪失につながる。どうすればよいのか?
若い教師からよく聞かれる質問です。 速い子には、課題が終わったら次に何をするのか最初に指示しておくことが大切です。次の問題をやるような指示だと、ますます差がつくので、「みんなが納得するような説明を考える」といった、作業の内容を深めるものがよいでしょう。 そして、遅い子のためには、「わからなければ友だちに聞いてもいいよ、写してもいいよ」と指示しておきます。 手がつかない状態で集中力が切れてほっておかれるよりも、友だちに聞いてでも手を動かし考える方がよいのです。 この時、「聞かれないのに教えたらだめだよ。聞かれたらしっかりと教えて」と、作業の速い子が余計なおせっかいをしないようにしておきます。 こうすることで、全体の作業効率はアップするので、できないまま次に進むことを減らすことができます。 知識を考えさせてもしょうがない
知識は知らなければ答えられません。
「この単語の意味は?」 「わかりません」 「もう少し考えてごらん」 このようなやり取りはナンセンスですね。全く知らない単語を質問されても、考えようがありません。つまり、知識を問うことは考えることにはつながらないのです。教師はこのことを意識しておく必要があります。 グループ活動で知識を問えば、知っている子どもが答えを教えて終わってしまいます。知っている子がいなければ、そのままだらだらと時間だけが過ぎていきます。 知識は「教師が教える」か「子どもが調べる」のどちらかです。 知識を質問して子どもに活動させたければ、調べるしかありません。 「調べてごらん」 「どうすればいい」 「どこに書いてある」 こんな言葉を大切にしてほしいと思います。 進歩すれば課題はより明確になる
昨日は、7人の授業アドバイスを行ってきました。
昨年からアドバイスしている先生方の授業は、どれも進歩している手ごたえが感じられるものでした。 授業の質が上がると、子どもたちは非常によい雰囲気の中で授業に臨みます。 授業の大前提である、子どもが落ち着いて教師の話を聞ける状態になっているということです。 そうすると、子どもがしっかり考えているか、積極的に活動できているかどうかといった事実は、発問の良し悪し、教師の進め方など、授業の本質的な部分に原因があるとわかります。 当然今まで以上に授業者の課題が明確になってくるというとです。 授業後尋ねてみると、授業者はその課題をがきちんと意識できていました。 子どもしっかり見て、子どもの反応を意識して授業を続けていることの証です。 こうなると、毎日の授業の積み重ねが授業力アップに直結してきます。 次回の訪問がとても楽しみです。 また、今年初めて教壇に立つ先生方とお話ししていて印象に残ったのは、具体的に授業をどう作っていけばよいかわからないまま教壇に立っているということでした。 思った以上に孤独な状態で教師生活がスタートしているのです。 若い先生が気軽に授業について質問したり話し合える状況をどう作るのかは、これから新人が増え続ける学校現場の大きな課題のようです。 子どもの挙手を増やすには
ノートを見ると考えや意見が書かれているのに、なかなか挙手をしてくれない子どもがいます。
何が原因なのでしょう。 「合っているか自信がない」 「間違えたら嫌だ、恥ずかしい」 みんなの前で発表するということは、恥をかきたくないというプレッシャーがかかるのです。 自信を与えるためには、机間指導でノートに○をつけて、「いい意見だね」と声をかけます。 発表させたければ、「いい意見だから、みんなに聞かせてあげて」と続ければいいのです。 恥ずかしいという気持ちに対しては、たとえ間違いでも「なるほどね」と認める姿勢が教師や学級にあれば、安心して発表してくれるようになります。 教師のちょっとした働きかけで、子どもは安心して挙手してくれるようになります。 若い人は成長も早い
昨日参加した授業研修の授業者新任2年目の若手教師でした。
半年ぶりに授業を見せていただいてビックリ! これが同じ教師かと我が目を疑いました。 実に堂々と終始笑顔で、子どもの言葉もしっかり聞けていました。 最初から最後まで子どもたちの集中力がきれない素晴らしい授業でした。 まだ新年度が始まって一月もたっていないのに、子どもとの信頼関係がしっかりできていました。 この半年間どのようにしてきたのか聞かせてもらいました。 私が感じた一番のポイントは指摘されたことやアドバイスをとにかく毎日の授業できちんと意識してきたということでした。 特に子どもへの声掛けを大切にしていたようです。 子どもの言葉にうなずき、受容し、ポジティブに評価する。 言うのは簡単ですが、学校の教師全員が参観する大舞台で、これがきちんとできたのは、毎日の授業でコツコツと実践し続けてきたからでしょう。 ベテラン教師にも大いに刺激なったと思います。 授業を観ていた私も元気をもらうことができました。 K先生ありがとうございました。 また、この授業をつくるにあたって、教科の壁を越えて若手の教師を中心に10人ほどが指導案の検討に何度も協力してくれたそうです。 一人を支える多くの仲間の存在も大きな要素でしょう。 そして、この時期の授業研究にK先生を指名した研修主任の仲間を観る目の確かさにも感心しました。 よい環境に恵まれ、本人が地道な努力を続けることで若い教師は驚くほど成長します。 次回この学校を訪問するのが本当に楽しみなりました。 主語を意識する
教師が子どもに話す時、どうしても上から目線になることが多いように感じます。
「よいことをしましたね」 これはほめているのですが、教師が価値判断をして、上から評価しているようにも感じられます。 「よいことをしてくれて、うれしいな」 と、自分の気持ちを付加するとどうでしょうか。 言われた子どもも先生が喜んでくれてうれしくなります。 また頑張ろうと思いますね。 相手を評価する時の主語は「YOU」です。 自分の気持を伝えようとすると主語は「I」です。 次の例はどうでしょう。 「本を開いて」 「問題を解いて」 やさしい口調で言っても、これは命令文です。 主語は「YOU」です。 主語を「WE」に変えると、 「本を開こう」 「問題を解こう」 となります。 「やらなきゃいけない」という受け身から、「やろう」という自発に変わります。 主語を「YOU」から「I」や「WE」に変えることで、子どもの受け止め方は変わります。 主語を意識して話すことで、子どもとの関係をよくしていただけたらと思います。 「考えて」では考えられない
子どもたちの発言内容が不十分と感じると「もう少し考えてごらん」と促すことがよくあります。
もっと考えてほしいと思う場面はよくあるのですが、子どもはどう思うでしょうか。 「今まで一生懸命考えてもわからなかったのに、まだ考えるの・・・」 「考えろと言われてもどうすればいいの・・・」 「考えて」という抽象的な指示では、実際にはなかなか考えることはできません。 「この2つを比べてごらん」「・・・の言葉を抜き出してごらん」のような具体的な指示が必要です。 このようにして問題解決を経験することで、考えるとは具体的にどうすればよいのかを学びます。 「考えて」という言葉の代わりに、考えるための具体的な方法を指示することが、子どもに考える力をつけることにつながるのです。 笑顔は訓練でつくる
私の若い先生へのアドバイスで一番多いのは、「笑顔をつくりましょう」です。
子どもたちに素敵な笑顔を見せてくれる方はたくさんいらっしゃいますが、それでも「笑顔」なのです。 教師の感情は意外なほど顔に出ます。 子どもが間違えたり、ピントはずれなことを言ったりすると、特に若い先生は、とっさにどう対応してよいかわらなくなり、困ったり、戸惑ったりした表情になります。 子どもはすぐに、「ああ自分はおかしなことを言ってしまったんだ」とがっかりして意欲がなくなってしまいます。 こういう時こそ、まずは「笑顔をつくる」ことが大切になります。 子どもは先生に受け止めてもらえたんだと安心しますし、先生にも余裕ができるので次の対応を考えることができます。 普段は素敵な笑顔の方でも、このような場面ではなかなか自然には出せません。 意識して「笑顔を作ろう」としなければダメなのです。 ですから、鏡を見ながら自分の意思で笑顔をつくる訓練をしてほしいのです。 困ったと思ったら、自然に笑顔になるくらい意識してほしいのです。 どんなん時でも教師が笑顔で受け止めることが、子どもとの関係をつくる第一歩だと思います。 読売教師力アップセミナー企画会議
今年の読売教師力アップセミナーの企画会議に参加しました。
このセミナーは「模擬授業」を中心としたライブ感・ドキドキ感が特徴なのですが、さすに8回目ともなると「これだ!」というテーマがなかなか出てきません。 ああでもないこうでもないと迷走している中で、「キャリア教育はどうか」というT先生の一言で一気に話は盛り上がり、これは面白そうと自信を持って言えるプログラムが出来上がりました。 出演交渉はこれからですが、今まで以上にドキドキ感のあるものになること間違いなし。 詳細が決まりましたら、また報告します。 子どもを見る
若い先生への授業アドバイスで一番多いのが「子どもを見る」ではないでしょうか。
私自身もよくこのことをアドバイスするのですが、実際にはなかなか子どもを見られるようにはなりません。 子どもを見ることができない先生の話を聞いたところ、「子どもを見てわからない顔をしていたらどう対応していいかわからない。だから、子どもを見るのがこわい」ということでした。 そこで、子どもは授業中にどんな行動をするだろう。 それに対してどう対応するとよいのか考えるようにしました。 その結果、子どもの顔をしっかり見て授業ができるようになりました。 子どもの「何を見る」と「それにどう対応する」をきちんと具体的にしないと子どもを見ることができないのです。 コミュニケーション力は受容力
新学習指導要領でコミュニケーション力が重視されているためでしょうか、コミュニケーションを意識した授業が増えてきたように思います。
ところが、実際の授業では、コミュニケーション力は発信力ととらえて、発表者の視点ばかりを重視されている方が多いようです。 コミュニケーションは双方向です。 発信者がいれば受信者がいます。 発信者の視点に立てば、「わからせよう」という押し付けになります。 受信者の視点に立てば、「わかろう」という受容になります。 人間関係を考えればどちらの視点がより大切かすぐにわかりますね。 ですから、発表の場面でも上手に発表することよりも、よく聞いて理解しようとすることを大切にしてほしいのです。 コミュニケーション力をつけるということは、相手を思いやり、理解しようとする姿勢を育てることなのです。 料理と授業の共通点
先日、「蕎麦会席」のお店で親しい方からごちそうになった。
楽しい会話とおいしいお酒と料理でとても楽しい時間を過ごせた。 特に料理は、料理人の工夫や料理に対する主張が感じられるもので、感心させられるところが多かった。 出てくる料理を単品として評価すると、「ちょっと味が弱いかな」「もう少し主張があっても」などと思うところもあるのだが、会席のコースとしてみると、ちゃんとバランスがとれている。 出てくる順番が異なれば、きっと味付けも変わるのだろう。 通常の「蕎麦」とはちょっと異なるしつらえに、これも「あり」だが、きっと理由があるはずだ、次の皿はどんな趣向があるのだろうと思いを馳せずにはいられなかった。 最後まで食べ終わり、女将の「うちは蕎麦屋ではない」という、言葉の意味がよくわかった。 私たちの考える「蕎麦」というものに縛られず、蕎麦を使った、女将の考えるおもてなしが、この店の「蕎麦会席」なのだ。 授業も教科書や教材という材料を使って、子どもたちを育てるという目的のために工夫をこらす。 その授業を観るにあたっては、1時間の授業のある局面だけを観て簡単に評価するわけにはいかない。 この場面の前にどのようなことがあったか、この後どう展開するのだろうと思いを巡らせなければならない。 また、1年のどの時期かによっても授業のあり方は変わってくる。 点ではなく線として見なければならない。 酔っ払った頭で「料理を味わうことと授業を観ることは似ているな」と妙に納得していた。 新学期は成長の時!?
昨日は、アドバイスを初めて2年目の学校への本年度初めての訪問でした。
ちょっと気になっていた新3年生の授業を見てビックリ! よい緊張感に包まれた、落ち着いた雰囲気で授業が進んでいます。 いつもならすぐに見つかる気になるあの子も、どのクラスになったのかわからないくらいでした。 前回訪問からまだ2か月ほどしか立っていないの、子どもたちの成長には驚かされます。 先生方の子どものとかかわり合いが子どもの成長を促したことは間違いありません。 もうひとつ嬉しかったのは、参観させていただいたどの先生も、子ども同士が互いにきちんとかかわれているか、友だちの発言をしっかり聞こうとしているかを意識していたことです。 昨年と比べて大きな進歩を感じました。 新たな気持ちでチャレンジする新学期は、子どもも先生も成長するチャンスなんですね。 山梨出張
昨日は、以前からお世話になっている方に、新しい仕事に関してアドバイスをいただきに山梨へでかけた。
ありがたいことに、先方にとってのメリットが見えない話に見かかわらず、真剣に相談に乗っていただけた。 おまけにおいしい昼食までごちそうになって、感謝、感謝!! 自分が多くの人に支えられていることを改めて実感した一日でした。 「正解」は思考停止のキーワード
授業を見学していて私が特に気をつけている言葉があります。
それは「正解」という言葉です。 指名された子どもの発言に対して、教師が「正解」と言った時点で答えがわかるので、子どもは考えるのをやめてしまします。 たとえ正解であっても「なるほど、そう考えたんだ」と受けておけば、子どもはその答えでよいのかどうか考え続けます。 「正解」という言葉は子どもの思考を止めてしまうことと意識して授業をしてほしいと思います。 日記を始めました
本日より日記を始めることにしました。
毎日こまめに更新するなどと言ったことは苦手な私ですので、不定期なものになると思いますが、仕事を通じて学んだことや思いついた授業についてのちょっとしたヒントなどを発信できたらと思っています。 長い目で見てやってください。 |
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