『この世は
わたしが わたしになるところ
あなたが あなたになるところ』
これは「相田みつを」という作家が書いた詩です。では、わたしはどのようにしてわたしになるのでしょう。あなたはどのようにしてあなたになるのでしょう。私は、日々の行動や経験の積み重ねが自分をつくるのだと思います。卒業生のみなさんも、毎日の小学校生活でいろいろなことを経験し、今の自分をつくってきたといえるでしょう。これからみなさんは、小学校から巣立ち、新しい生活に踏み出します。楽しいことばかりではなく、時にはやりたくないことや面倒なことにも出合うと思います。しかし、どうぞ、どんな時もまずはやってみてください。最初は気が進まなくても、一生懸命に取り組んでいると、案外おもしろくなったり、知らないうちに得意なものになっていたりするものです。無駄なことは何一つありません。目の前のことに力いっぱい取り組み、こつこつと努力したとき、必ずつかみとるものがあるはずです。そんな中から学んだことが、自分らしさになっていくのです。今はまだ見えない自分らしさは、これからたくさんのことを経験し、少しずつきっと見えてきます。人と比べて焦る必要はありません。できることは人それぞれ違うのです。時には自分がベストを尽くしても、うまくいかないこともあるでしょう。目に見える成果がなくとも、自分の中にきっと力がうまれるはずです。野球で活躍しているイチロー選手は、連続ヒットの記録が途切れた時、がっかりしているかと聞かれ、次のように答えたそうです。僕はいつも一生懸命プレイしようとしているけど、今日は結果が出ませんでした。でも、そのことを悔やんでもいないし、恥ずかしいとも思っていません。なぜなら、全力を尽くしたからです。」力いっぱいがんばった人の心の強さを感じると同時に、あるがままの自分を受け入れることの大切さを感じます。卒業生のみなさん、これからがあなたがあなたになる「自分づくり」の本番です。ぜひ自分の可能性を信じて、あきらめず、いろいろなことに挑戦し続けていってもらいたいと思います。自分づくりは命ある限り一生続くものです。自分を磨き続け、輝く自分をみなさんが見つけることを祈っています。