課題を解決するために必用な視点や考え方を明確にする

子どもに課題を与えて個人で追究させる場面がよくあります。この時、この課題を解決するために必用な視点や考え方を教師が明確にして授業を組み立てることが大切です。

国語の例で考えてみます。「登場人物の気持ちを本文から読み取ろう」という課題を与えて、子どもに取り組ませるとしましょう。「気持ちを本文から読み取る方法・手段」を子どもたちがわかっていれば、問題がありません。しかし、子どもたちの動きが止まってしまう可能性があります。それは具体的にどのようにすればいいかわかっていない時です(指示の後の子どもの動き参照)。この場合、いったん作業を止めて、全体で説明するにしても、個別にアドバイスするにしても、その伝えるべき内容が明確になっていなければいけません。本文の「この部分に注目しなさい」といった説明や指示では力はつきません。この部分を見つけることができなかったから手がつかないのですから。では、「気持ちがわかる部分に注目しなさい」はどうでしょうか。今度は抽象的すぎて、具体的にどうすれば見つかるかわかりません。この2つの間を埋めるための視点や考え方を明確にしておくことが必要なのです。この場合であれば、「登場人物の気持ちはどのようにして表現されるか」ということが教師の中で明確になっていることです。
「・・・と思った」と「直接」的に表わされる。「表情や態度」など「人物の行動」で表わされる。「天候や音、色」など「情景描写」で間接的に表わされる。特に情景描写は、同じもの、似たものの変化で表わされることが多いので、何度も描写されるものはチェックしておく必要がある。こういったことが明確になっている必要があるのです。
このことは、何も国語に限ったことではありません。算数の計算方法、社会科の資料の見方など、どの教科でも必要なことです。

では、こういったことは、いつ、どのようにして子どもたち提示すればいいのでしょうか。これは、今までどのような学習をしてきたかで違ってきます。
先ほどの国語の例で考えてみましょう。今まで、「人物の行動」や「情景描写」などから読み取る経験をしているのであれば、課題に取り組む前に復習として思い出させればいいでしょう。見通しを持って課題に取り組めるはずです。
今回初めて「人物の行動」から読み取るのであればどうでしょうか。
人物に注目させて、どんなことが書かれているかを取り上げる。そこから、課題に取り組ませて、「人物の行動」から気持ちが読み取れることを子どもたちの言葉でまとめていく。
まず、課題に取り組ませる。気づいている子どもが何人かでてきた時点で止めて、どの部分に注目してか発表させる。そこで、「人物の行動」から気持ちが読み取れることを学級で共有して、もう一度課題に取り組ませる。
このような方法が考えられます。

どの方法がよいというのではありません。子どもたちの実態に応じて考えればいいのです(課題解決の手段を考える参照)。大切なのは課題を解決するために何が子どもに必要なのか、教師がしっかりと理解して提示できることなのです。授業の課題を考える時には、子どもたちがその課題を解決するために必用な視点や考え方を明確にしておくようにしてください。
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