何をどこに残すか

教材研究で意識してほしいことの一つに、何をどこに残すかということがあります。

例えば知識や結果は、プリントやワークシートの形で子どもたちの手元に残るのか、板書を写したノートに残るのか、子どもたちの頭に残るのか、どうあってほしいのでしょうか?
考え方はどうでしょうか?
授業を見ていると、知識や結果は圧倒的にワークシートやノート、考え方は頭の中に残そうとすることが多いようです。

知識は書いて覚えるという考えが主流のように思いますが、ワークシートやノートに一度写したからといって身につくわけではありません。結局、後日試験などをするというプレッシャーを与えて覚えさせることがほとんどです。その時のために何らかの形で残しておくわけです。学校で頭を使わずノートやワークシートの穴を埋めること、家庭でそれを覚えることが学習だと勘違いしていきます。
頭に残そうと思うのであれば、そのための活動が必要になります。板書を写すのであれば、「ポイントを隠してその部分を見せずに書かせる」「黒板を見ないで書かせる」といった工夫や、隣同士で確認し合う、知識を使う活動をすることが欠かせません。

一方考え方は、説明を聞けば身につくわけではありません。また、結果を見てもどうすればそれが出てくるのかはわかりません。
算数や数学で、模範解答が板書され、それを先生が説明する。子どもは板書を写す。こんな授業をたまに見かけます。自分で解けた子どもには写すことは不要の作業ですし、解けなかった子は、後から解答だけを見直しても解けるようになりません。
考え方を頭に残すことはとても難しいことです。子どもたちに理解しやすい言葉で整理をし、何度も使うことが必要です。教師が毎時間確認し、目立つように板書して、いつでも振り返れようにする。子どもが自分の言葉で整理してノートに書く。こういうことが大切になります。

1時間の授業を考えるとき、その時間で押さえる知識や考え方があるはずです。これらは、ただ話したり説明しただけではすぐに消えて行ってしまいます。
知識であれば、この時間のうちに頭に残すのか、時間をかけて後日確認するのか。頭に残すのであれば、どのような活動で残すのか。後日確認するのであれば、プリントやワークシートの形で残すのか、板書や、子どものノートに残すのか。
考え方であれば、整理した形で板書として残すのか、整理しながらその過程を板書に残すのか、子どもが自分で整理してノートに残すのか。
このようなことを考えながら授業を組み立てていってほしいと思います。
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