発問や指示を具体性のレベルで整理する

教材研究では、発問や指示とそれに続く子どもたちの活動を考えることが大切な要素です。ここで、意識してほしいことは、個々の教材で考える前に、期待する子どもたちの活動を引き出すための基本となる発問や指示を具体性のレベルに分けて整理しておくことです。
例えば「・・・を考えよう」という発問は教師にとっては期待する活動が明確でも、子どもにとっては抽象的で何をすればよいかわかりにくいことがよくあります。抽象度が高いのです。

例えば、社会科などでよくつかわれる、資料から「わかること、気づくこと」という発問を考えてみましょう。ただ漠然と資料を見ていてもなかなか気づくことはできません。何か基準となるものがあって、それと比較することで初めていろいろなことに気がつきます。したがって、基準の対象を明確にすることで、発問を具体的にできます。「『・・・と比べて、』わかること、気づくこと」とすればよいのです。「・・・と比べて、『同じもの、違うもの』は何」とすれば比較の視点をより具体的にできます。また、変則として、期待する活動をしなければゴールにたどり着かない発問というのもあります。この例であれば、「どちらが・・・だろう」と聞くことで比較を促し、その根拠を問うことで、「わかること、気づくこと」を引き出すのです。

「考えよう」→「特徴は・・・」→「いいところ、悪いところは・・・」
「・・・について調べよう」→「何を使って調べるといい」→「・・・を使って・・・」
「問題を解こう」→「気づくことは何」→「似た問題はないかな」→「前にやったこの問題の解き方覚えている」→「・・・を使って解いてみよう」
「観察しよう」→「何に注目する」、「何と比べる」→「・・・に注目して」、「・・・と比較して」
・・・

具体的あればいいのではありません。抽象的で多様な考えを引き出す発問はある意味理想です。しかし、そこに至るまでには、基本となる活動をたくさん経験しなければなりません。子どもの状態や教材によって使い分けるのです。
また、教材ごとにどのレベルの発問や指示を使うか考えることは、子どもに期待する活動を明確にすることでもあります。日ごろよく使う発問や指示を、期待する活動ごとに具体性のレベルで整理しておくことで、教材研究の幅が広がります。
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