子供の権利

こんにちは。本日は、お忙しいところ、本校の保護者会においでいただきありがとうございます。
　校長の石川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

　さて、今年度の稲付中学校の学校経営方針の基本は、昨年度に引き続き
　「生徒の自尊感情を育て、一人一人を輝かせる学校づくり」です。
　昨年度もお話ししましたが、自尊感情とは「自分に誇りをもつ」ことです。
　文科省が毎年行っている全国学力学習状況調査によると、最近の子供たちは、自分に自信がなく、成功体験も少なく、意欲を失いがちであるという結果が出ております。
　昨年度は、新型コロナウィルスの関係で、十分な教育活動が行えませんでしたが、稲付中学校では、生徒が主体的に学習や行事、部活動等に取り組めるよう指導を進めております。
　また、学習面でも、落ち着いた環境の中で、先生方も指導法を工夫しながら、授業に臨んでおります。子供たちが「わかった」という達成感を味わわせる指導を継続してまいります。
　さらに、行事等では、子供たち中心に運営を進めさせ、活動を通して達成感や成就感を味わわせる教育活動を推進し、一人一人が輝けるような学校生活を送ってもらいたいと思っております。
　　別紙、「学校経営方針」にございますように、「北区の教育目標」「稲付中学校の教育目標」をもとに、「稲付中学校の特色ある教育活動」を柱として、指導の基本となる５つの視点を教員に提示しております。
　どれも、現在求められている大切な視点ですが、以上のことを念頭に置きながら、教育活動を進めてまいります。

さて、
賀川豊彦さんという、大正から昭和初期にかけて貧しい人々、恵まれない子供たちのために生涯をささげ、「日本のガンジー」と呼ばれ、ノーベル平和賞の候補にも何度も挙げられた人の言葉を紹介して終わりにしたいと思います。
彼が、ある講演会において、「子供の権利」として６つの権利をあげています。
１　子供には食べる権利がある
２　子供には遊ぶ権利がある
３　子供には寝る権利がある
そして、
４　子供には𠮟る権利がある
と言っています。
昔から「一つ𠮟って、九つ誉める」と言われていますが、「𠮟れない親」が増えているとも言われています。
「𠮟りながら教える」つまり「悪いことをしたらきちんと叱ることで子供が立派な大人になることを手助けしていく」ことが大切だと思います。

なお、賀川豊彦が挙げたあと２つは、
「夫婦喧嘩をやめてもらう権利」と「禁酒を要求する権利」だそうです。

マザーテレサの言葉

　みなさんおはようございます。
　新しい学期を迎えてから、一週間がたちました。新しいクラスはどうでしょうか。それぞれが新たな思いで、新学期をスタートさせているかと思います。
　蔓延防止法が発令されました。引き続きお互いが気を遣った学校生活をお願いいたします。

　さて、今日は、マザーテレサの言葉を紹介します。

「行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。」
「習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。」
「性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。」
　日々の行動を心がければ、それはいつしか習慣となり、その習慣が性格を変え、その人の運命を変えるというものです。
　たとえば、周りから笑顔が足りないね、と言われ、毎日鏡を見て笑う練習をしたとします。それが、気が付けば日々の習慣となり、いろいろな人に笑顔で接することができるようになります。そして、その習慣が自分の性格をも変え、明るく社交的な人間になっていきます。そして、そうした人柄が、周囲の人間を動かし、運命を変えることにつながるかもしれません。
　つまり、自分が変わらなければ、周囲も変わりません。自分を変えることにチャレンジすることで、新たな道が開けます。
　中学校は、人格を形成づける上で、大きな意味をもっています。ある統計によると、中学時代に身に付けた性格や人格は、９０％以上変わらない、そうです。
　つまり、今はいいかげんでも、大人になってからしっかりとやるからいいや・・と思っていても、なかなか変えることができず苦しんでいる人もいます。
　中学時代は、大人ほど努力しなくても、性格や人格を変えていくことができます。大部分の大人は、この時代に、叱られたり注意されたりしながら、大人としての人間らしさを身に付けていきます。
　
　さて、皆さんは、これからどんな色に染まっていくのか、「行動・習慣・性格・運命」・・楽しみにしています。

　校庭の草花の緑が目に見えて濃くなり、生きとし生けるもののすべてが躍動する季節を迎え、北区立稲付中学校の入学式を挙行できますことを大変うれしく存じます。
新型コロナウィルスの対応もあり、本日の入学式は、普段とは違う形の入学式となり、心苦しい思いでいっぱいですが、新入生の皆さんの希望に満ちあふれた思いを受け止めつつ、気持ちだけは負けない入学式にしたいと思っております。
　新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
　今、呼名された１４６名の皆さんは、今日から稲付中学校の生徒です。皆さんの先輩、私たち、教職員も、皆さんの入学を心から歓迎しております。一日も早く中学校の生活に慣れて、学習や行事、生徒会活動や部活動などを通して、充実した毎日を送れるようになってください。
　皆さんの表情を見ていますと、これからの中学校生活に対する期待と不安でいっぱいだと思います。けれども、稲付中学校の先生方は、みんな心の優しい、熱意ある先生方ばかりです。また、皆さんの先輩である二・三年生も、わからないことがあれば、いつでも、優しくさまざまなことを教えてくれます。不安なことがあれば、遠慮なく相談をしてください。稲付中学校の生徒として、これからの中学校生活を意味のあるものにしてほしいと心から願っています。
　さて、入学式にあたり、私から一つだけお話をします。
　それは、中学校で「学ぶ」とはどういうことか、という話です。小学校と中学校の違いは何でしょうか。皆さんは、中学生からは、電車やバスは大人料金になります。そういう意味では、大人への階段を一歩踏み出したともいえます。「学ぶ」という言葉、英語では、「Ｌｅａｒｎ」と「Ｓｔｕｄｙ」という単語があります。けれども、「Ｌｅａｒｎ」は、受け身の学びです。それに対して、「Ｓｔｕｄｙ」は、自ら学ぶという「主体的な学び」になります。小学校で学んできたことをさらに一歩前進させて、自ら進んで主体的に学ぶという姿勢を大切にしてください。
　また、「何を学ぶのか」「どのように学ぶのか」ということも、重要になってきます。学校は塾などと違って、教科の知識だけを学ぶ場ではありません。クラスや学年、部活動等様々な場面で、人間関係を学び、苦しい状況を乗り越える心身を鍛え、義務教育の集大成として、将来自分に何ができるかを学ぶ場でもあります。しかし、学ぶことは、一度で身に付けられるほど甘くはありません。繰り返し繰り返し粘り強く学ぶことも重要になってきます。「学ぶ」の語源は「まねる」ことだと言われています。「学び」は、昔の人の知恵を受け入れることから始まります。素直に受け止め、次につなげることが「学ぶ」ことの本質です。最初は「まね」でも構いません。けれども、今、中学生に求められているのは、「主体的な学び」です。最初の「受け身の学び」から、自ら進んで学べる人になってほしいと思っています。これからの中学校生活を通じて、自分らしさを発揮して、学校の様々な活動に取り組んでください。
　保護者の皆様、お子様のご入学、心よりお慶び申し上げます。大切にお育ていただいているお子様を本日より、稲付中学校の教職員全員で、責任をもってお預かりいたします。新型コロナウィルスの影響で、予測困難な事態が続いており、子供たちも先を見通せない日々を過ごしていることと思います。また、今日、学校教育に向けられる社会の目は、ますます厳しいものがございます。教職員一同、大きな責任を果たすべく最大限取り組んでまいりますが、子供たちの健やかな成長には、学校・家庭・地域の連携が不可欠です。稲付中学校の教育活動につきまして、今後ともご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
　新入生の皆さん、皆さんは、今日から稲付中学校の大切な一員です。先生方や先輩たちとともに、笑顔が輝く素敵な学校を皆さんの手で創り上げ、充実した中学校生活を送れるよう努力していってください。
　以上をもちまして、入学式の式辞といたします。
　　　　　　
令和３年４月７日　　　　　　　　　　　　
北区立稲付中学校　石川　俊一郎