試験が終わった後、何を意識すればいいのか

多くの中学校では中間試験の時期だと思います。特に1年生は初めての定期試験で緊張していることと思います。試験が終わった後、担任はどんなことを意識すればよいのでしょうか。

試験が終われば先生方は採点業務で忙しいと思いますが、一方の子どもたちはプレッシャーから解放されて気持ちが緩むときです。中途半端に緩めるのではなく、試験が終了したその日は思いっきり解放させ、翌日からリセットしてまたふだんの生活に戻すことが大切です。

「今日1日は、思いっきりリラックスして、明日は全員元気な顔を見せてね」

このような話をするとよいと思います。ポイントはリセットして次の日からいつもの生活に戻ることを意識させる言葉を入れることです。

試験の結果が出ると、自信を失くし落ち込む子どもも出てきます。また、よい結果に満足して気が緩んだままになってしまうこともあります。いずれにしても、子どもに何らかの心の動きが起きるときです。このタイミングをうまくとらえて働きかけることで、子どもたちをよいい方向へ変化させることができます。試験の結果を反省することより、次の行動を促すようにすることが大切です。「次の試験では、早めに勉強して頑張る」といった反省はあまり意味がありません。今日からできることを考えて実行させるようにします。うまくいかなかった子どもにとっては、試験の結果が出た直後が一番頑張らなければと思うときです。ここでうまく生活のリズムをよい方向に持っていくことを意識させるのです。毎日の学習をうまくやれた子どもの体験を共有し、学級に対して「今日から○○しよう」と前向きな言葉をかけるようにしたいものです。

一方で、深く落ち込んでいる子どもには、個別の対応が必要です。特に1年生は、学校内での相対的な自分の位置を初めて知らされ、自己有用感を失くしてしまうことがよくあります。励ましたり、あれこれアドバイスしたりすることよりも、まず子どもの気持ちを聞いてあげることが大切です。「なるほど」と、その気持ちを受け止めた上で、「どうしようと思う」と問いかけることや、「どうすればいいか一緒に考えよう」と寄り添うことをします。子どもの口から、今できることを何か一つ引き出せればとりあえずOKです。思い悩むことから、行動することへとフェーズを変えることが大切だからです。そのあとも、ふだんの様子を観察し、ときどき「調子はどう」とたずねます。もし、うまく行動に移せていないようだったら、「そうなんだ。また君の時間がある時にでも話を聞かせてよ」ととりあえず次につなげる言葉をかけておき、しばらく様子を見ます。すぐに話をしようと反応すると、先生が気にしている、先生にチェックされていると感じることがあるからです。その後も改善されていないようだったら、そこでもう一度話を聞きます。このような子どもとのかかわりの距離感を大切にします。

学習面にかかわらず、担任にとって学級全体に対してメッセージを発信することや一人ひとりの子どもの話を聞くことなどの働きかけは大切な仕事です。全体へはどのようなメッセージをどのタイミングで発するか、一人ひとりの子どもには声をかけるべきか、しばらく様子を見るべきかといった距離をどのくらいにとるかがポイントになります。試験が終わった後というのは、子どもの心に動きが起きる、担任が意識して子どもたちに働きかけるべきときなのです。
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