行事の時期は教室のエネルギーに注意

夏休みも明けて、運動会や文化祭などの行事で教師も子どもたちも忙しい季節です。この時期に授業を見せていただくときに気になるのは教室のエネルギーです。子どもたちのテンションは上がりすぎていないか、低くなっていないか、ちゃんと授業に集中しているか、寝ている子はいないか。この時期をうまく乗り切ることが1年の後半を乗り切る大きな分かれ目です。

行事で学級がうまくまとまっていくと、子どもたちのエネルギーは高まります。人間関係が円滑になると、いろいろなことにやる気が高まります。朝のあいさつも大きな声でしっかりできます。しかし、テンションが上がりすぎて、実は授業に集中できていないこともよくあります。元気はあるがじっくり課題に取り組めていない、忘れ物が増えているといった兆候があるときは、テンションを落とすことを意識する必要があります。挙手をさせずに指名する。指名と指名の間に間をとる。友だちの意見と関連して発言を求める。こういうことが大切になります。

一方行事で子どもたちが体力を使って疲れてくると、授業に対するエネルギーが下がってきます。板書は写すが、意見の発表が減ってくる。騒いだり、よそ事をしたりするわけではないが、何か集中していない。居眠りしたり、ふせっている子どもが出てくる。こういう状態は要注意です。
学級がこういう状態のときは、実は教師のエネルギーも落ちていることが多いのです。子どもたちのエネルギーを高めるためには、教師が積極的に子どもたちとかかわることが必要です。また、課題や発問に工夫も必要です。しかし、行事で疲れるのは教師も同じです。授業にエネルギーを集中できていないのです。
また、行事で授業は遅れがちなるので、教師が一方的に説明をすることで、少しでも先に進めたくなります。子どものエネルギーが落ちているので、騒ぐわけでもなく表面上は無事に進んでいきます。子どもも疲れているから、ちょっと様子を見よう。こんな気持ちで、この状態を放置してしまうと、行事も終わりいざ学級の雰囲気を切り替えようとしても、簡単には戻らなくなってしまいます。子どもも楽をすることに慣れてしまうのです。

子どもたちの集中力ややる気を起こさせるためには、受け身の時間を減らすことが必要です。とはいえ、このような状態では、思考的な活動にはすぐに入れません。物理的な活動を伴うような課題を与えるとよいでしょう。ペアでの活動、グループでの作業。物に触れたり、教具を使うような活動。教師も忙しくて大変でしょうが、ちょっとした工夫をすることが大切になります。

行事で頑張り、授業にもきちんと集中して参加する。この時期をしっかりと乗り切ることで、子どもたちは大きく成長するのです。そのためには、教師はいつも以上に授業での子どもの様子を観察し、教室のエネルギーがほどよい状態になるように注意してほしいと思います。
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