石垣則昭先生から学ぶ

教師力アップセミナーで石垣則昭先生(登別市立緑陽中学校長 上級教育カウンセラー・ピアサポートコーディネーター) のお話を伺いました。

ソーシャルスキル、エンカウンター、カウンセリング、ピアサポートなどの幅広い知識をベースにしたワークショップと講演からなる、参加者が自分で理解することを大切にしたプログラムでした。若い先生に感想を聞くと「ロールプレイでネガティブな教師と子ども役を互いに経験することで、子どもたちがどんな気持になるかを実感し、改めて子どもとの接し方を考え直した」と答えてくれました。日ごろ気づかずにそんな態度をしているもしれないと振り返るよい機会なったようです。変化するためには、まず気づくことが大切です。このことを大切にした講演を心がけなくてはとあらためて思いました。

石垣先生の素晴らしさは、多くの知識を持っているにもかかわらず、常に学校現場での現実的な実践の面から考えられていることです。特定の理論や手法にとらわれず、現場の課題を解決するという視点での指導例は大変参考になりました。
今回は子どもたちの心にスポットを当てたコミュニケーションが中心でしたが、いろいろな場面で応用のきくお話でした。

予定している保護者向けの講演にも役立つヒントをたくさんいただくことができました。ありがとうございました。

ベテランが見せてくれたこと

先週末に、中学校の学校公開を見学しました。1時間の公開でした。日ごろは若手中心に授業を見ていますが、この日は若手だけでなくベテランも含めた、多くの先生方の授業を見ることができました。

まず、多くの若手が成長していることが実感できました。経験年数からみれば立派なものです。しかし、ここで満足してしまっては成長が止まってしまいます。さらなる高い目標を持って努力をし続けなければ、絶対的によい授業にはなっていきません。彼らの多くがその分岐点に差し掛かっているように感じました。

その意味で感心したのがベテランの授業でした。今まで若手の成長に目を奪われていたのですが、久しぶりに授業を見て、多くの方の幅が広がっていることに驚きました。もともと上手な先生が多かったのですが、今までの自分のスタイルに、この学校で取り組んできた、子どもを受容する、子ども同士のつながりを大切にするといった要素をうまく取りこんで、明らかにレベルアップしていました。新しいことに取り組まなくても問題なく授業を進めることができる方たちです。私も特に彼らにアドバイスすることもしませんでしたし、彼らも授業を変える必然性を感じていなかったと思います。それでも、このように変化しているということは、若手の成長に刺激を受けたからなのでしょうか。

若手が成長し、それに応ずるようにベテランが進化していく。若手に対してまだまだ先があるとベテランが目標を示してくれているようでした。互いによい刺激を与えあうことで、学校としての進化はまだまだ進んでいくと感じました。

野中信行先生から学ぶ

教師力アップセミナーで野中信行先生のお話しをうかがいました。

新卒向けの著書も多い先生ですので、会場は若い先生でいっぱいでした。
この日のテーマは、先生が提唱されている「味噌汁・ご飯」の授業です。毎日の授業の準備に多くの時間は割けないのが現実です。そんな中で普段の授業を充実したものにするたくさんのヒントを話されました。特に印象に残ったのが、授業の基本の流れをきちんと押さえるということです。毎時間の授業、単元ごとの基本の流れが明確であれば、教材研究も視点が明確になります。
また、挙手した子どもだけで授業を進めるのではなく、全員参加を目指すことも話されました。
ポイントを押さえた教材研究をおこない、基本的な授業技術を身につけることが「味噌汁・ご飯」の授業の基本だと理解しました。

いつものことながら、野中先生の話には共感できることがたくさんあり、多くの元気をいただきました。ありがとうございました。

先輩の思い出

学級経営について書いていて、思い出すのが新任教師時代の先輩のことです。

先輩の学級の副担任として過ごした1年間で学級経営の基礎基本を学ぶことができました。若さと勢いだけであった私が、少しは広い視野を持てるようになったのも、その先輩のおかげだと思っています。

先輩は私が副担任として朝と帰りの短学活はもちろん、学級活動にかかわるにすべての時間に参加することを許してくれました。自分が担任になって思いましたが、学級経営をつぶさに人に見られるのは決して居心地のよい物ではありません。それでも、私の思いを受け止めてくれたことは本当にありがたいことでした。3年間の子どもの成長を考えて、今何をすべきか、何を話すべきか、多くを語らず自分の実践を通して教えてくれました。

せめてものお礼にと印刷物があればなんでも私が印刷しますと申し出ると、快く受け入れてくれました。机の上にメモと一緒に原稿を置いていってくれます。メモには原稿のねらいなどが書いてあります。事前に資料を見ることで、どう使うのか自分なりに想像してみます。そして、実際の場面で先輩の使い方を見ることで、いつ、どんな資料で、どのようなことをすればよいのか、実によくわかりました。思えば、1学級分の印刷など大して手間ではありません。わざわざメモをして人に頼むほうがよほど面倒です。私を育てるためにお願いすると言ってくれていたのです。

生徒や保護者との面談も状況が許す限り同席させてくれました。先輩の一人ひとりの生徒に関する記録もその時みせていただきました。今この生徒はどのような状況であるか、それに対してどう方向づけていくのか、事前にきちんと方向性を持って臨んでいました。しかし、自分から一方的に伝えたいことを話すのではなく、まず相手から話を聞くという姿勢をきちんと貫かれていました。聞くということの大切さを、このとき教わったような気がします。

学期末になると、「あなたも副担任として子どもたちを見ているので所見を書きなさい」と生徒名の入った一覧表を手渡されました。苦労して書いた私の所見を見ても特に何も言ってはくれませんでした。しばらくすると、「写し間違いがあるといけないから確認して」と、通知表を私の前に置いて行きました。通知表の所見欄は先輩が2段に仕切って、上に自分の所見、下に私のものが書かれていました。若いころガリ版と鉄筆でプリントをつくりすぎて、細かい字を書くのがつらいはずなのに、狭い所見欄に2人分の所見をびっしりと書いてありました。先輩の所見と自分のものを比べて読めば、私の子どもを見る力がどれほど浅く、足りないか、言われなくても痛いほどわかります。何も言わずに私に子どもを見る視点を教えてくれました。

あと2年先輩のそばで学ばせてほしい、真剣にそう願いました。しかし、先輩は笑って、「もう私からは卒業して、自分のやり方を考えてやらなければ。これは卒業祝い」と何冊もの本をプレゼントしてくれました。その中には本屋では手に入らないので、わざわざ取り寄せてくれた物もありました。翌年から担任を持つようになりましたが、この時いただいた本は本当に役に立つものばかりでした。

跳ねっ返りの私に、やさしく、時には厳しく、多くを語らず、実践で教えてくれた先輩。先輩のそばで学んだ1年が教師としての私を作ってくれたのだと思います。私の教師時代は、永久に追いつけない先輩の背中を追いかけていたような気がします。

成長に立ち会えることの喜び

昨日、中学校の入学式に来賓として参加しました。

制服もまだ着なれない新入生のほほえましい姿と、先月卒業した生徒たちの入学時の姿がダブりました。この生徒たちも、3年の間いろいろな経験をして、大きく成長していくのでしょう。
体育館の後ろで新入生を見守っている新2、3年生も、頭が動く生徒すらいないほどしっかりと落ち着いた様子でした。彼らも立派に成長しています。

そして、もう一つうれしかったのが若い先生の成長です。縁あって、他校での講師時代からお付き合いのある先生です。初めて受け持った学年を先月無事送り出して2周り目の学年です。2列から4列への隊形の変更を指でそっと指示していました。目と指の指示だけで、子どもが戸惑うことなく行動しています。もちろん小学校での指導の成果もあると思います。しかし、担任としての関係もまだできていない状態で、声を出さずに指示できることは立派なことです。この担任であれば安心して新生活を送れると子どもたちも感じていることでしょう。
このような何気ない場面に、成長の証が見て取れます。若い先生の成長に立ち会えていることの喜びを感じました。
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