新たな伝統がつくられつつあるのを感じた体育大会

先週末は学校評議員を務めている中学校の体育大会でした。

入学式や1学期の学校公開時に見た1年生の様子が気になったので、どのように変化しているか注目していました。開会式は校長や来賓の挨拶はじめ、子どもたちが受け身で立たされている時間が長く、集中が続かない子どもが目立つものです。ましてや、落ち着きのない子どもが多かった1年生ですから、どうなるかとドキドキしていたのですが、驚くほど集中できていました。時々頭が動く子がいるくらいで、どの子どもも顔を上げて話を聞けていました。半年足らずで子どもたちがずいぶん成長していました。もちろん2年生、3年生もしっかり集中できています。この後どんな姿を見せてくれるのか、期待できます。

競技ではどの子どもも全力を出していますが、それよりも気になるのは観戦風景です。その姿に日ごろの学級経営が表れると思うからです。1年生は1学級が競技に集中していないようでした。まわりの友だちとしゃべったり、体があらぬ方向を向いていたりする子どもが目立ちます。しかし、他の2学級はしっかりと競技を見て応援できていました。特筆すべきは2年生でしょう。昨年以上に集中して、学年を越えて応援できていました。2年生と3年生の差が無くなっていました。集中していないように思えた学級もふと気づくと、他の学級と同じように集中して観戦するようになっていました。よく見ると先生が子どもたちのそばにいます。これは想像ですが、先生が指導したのか先生が来たので子どもたちが意識して集中したのでしょう。子どもたちが成長途中であることと教師が意識して子どもたちを育てようとしていることがわかる場面だと思いました。

これもいつも気にして見ているのですが、トラックの審判をやっている子どもたちの姿はとても素晴らしいものでした。責任を持って自分の仕事をしていることがよくわかります。旗をさっと上げる手が気持ちよく上まで伸びています。だらだらしている子どもはいません。昨年同様見ていて気持ちがよくなる姿でした。審判以外の補助の子どもたちもきびきびと仕事をしています。子どもたちを指示している先生の姿が目立たないことが、子どもたちの力を表わしています。

大会の目玉はクラスマス(ゲーム)です。体育大会は個人競技が基本ですが、クラスマスは集団の力が求められます。学級としての力を問われる、担任の先生方が力を入れるところです。
ここでも1年生の成長を感じました。中学生、特に1年生では動きを覚えたりそろえたりすることに精一杯で、指先まで意識して手を伸ばしたり、角度や高さをそろえるところまではとてもできません。ところが、1年生の演技を見て驚きました。指先までしっかり伸ばしていたり、足を上げる高さをしっかりとそろえたりできているのです。これまで見たどの1年生の演技よりも素晴らしいものでした。子どもだけでここまでの演技を仕上げることはまず無理でしょう。担任が相当指導したに違いない、そう思いました。ところが、話を聞いてみると、担任はそれほど前面には出ていないというのです。子どもたちが、先輩の話を聞いたり、練習の様子を見たりして自分たちで工夫したというのです。先生方が子どもたちとの距離を上手く調整することで子どもたちのやる気と力を引き出したのです。子どもたち自身で考えて行動することで、先生が指導する以上のものになったのです。引っぱるタイプの主任の学年ですが、主任をはじめとする担任の先生方の成長も感じられました。
これでは2年生は1年生と比べて見劣りがするのではないかと思いましたが、いやいや、これも1年生以上に素晴らしいものでした。昨年の演技と比べてその成長は素晴らしいものでした。子どもたちとっての1年間がどれほど大きなものか、あらためて実感しました。
都合で午後の3年生の演技を見ることができませんでしたが、2年生を上回る素晴らしい演技を見せてくれたに違いありません。

もう10年ほどこの学校の体育大会を見続けています。入学してくる子どもたちは年によっていろいろです。それでも、3年間できちんと素晴らしい姿を見せてくれます。最近では、先生方の表立った動きが目につかなくなっています。先生方が体育大会を子どもたち自身でつくり上げることを目指し、子どもたちもそれに応えているのがわかります。子どもたちでつくり上げることがこの学校の新たな伝統なりつつあるのを感じます。今年で創立25周年だそうです。先生方と子どもたちが日々向上を目指していく中で伝統がつくられてきていることを実感した1日でした。
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