同じ考えを大切にする
子どもたちの考えを発表させる場面で、たくさんの意見を出させたいので、次々と指名していくことがあります。この時、注意をしてほしいことがあります。
「○○さんの考えを聞かせて」 「・・・です」 「なるほど、いい考えですね。他には」 「はい、△△さん」 教師は「いい考え」と評価しているのですが、その考えを子どもたちにきちんとつないではいません。また、すぐに「他には」と聞くことで、同じ考えの子どもたちの活躍の機会を奪っています。 「○○さんの考えを聞かせて」 「・・・です」 「なるほど、いい考えですね。○○さんと同じ考えの人はいますか?」 「たくさんいるね。□□さん、もう一度聞かせてくれるかな」 「・・・です」 「ありがとう。□□さんの考えも足してくれていたね。2人の発表を聞いて、納得した人手を挙げて」 「△△さん、どこでわかったか聞かせて」 同じ考えの人を挙手させることで、発表者以外の子どもも評価された気持ちになります。また、自分から発表できない子も授業に参加している実感が持てます。自信がなかった子も、この時点であれば指名しても安心して発表ができるはずです。 一方、自分と異なる考えを理解するには時間がかかります。1回聞いてすぐに理解することはとても難しいことです。そこで、教師が子どもの考えを説明してしまうと、それを聞けばよいので友だちの意見を聞かなくなります。同じ考えを他の子どもにも発表させることで、子どもたちの言葉で互いに理解するチャンスを増やすことができます。 また、「納得した人」と自分の考えが友だちにわかってもらえたことを実感できる場面をつくることは、子どもたちの自己有用感につながります。友だちの考えを理解したことを評価することで、より真剣に発表を聞くようになりますし、自分ではなかなか気づけない子どもにも活躍するチャンスをつくれるのです。 すべての場面でこのように子ども同士をつなぐことは、時間の関係で難しいかもしれません。しかし、教師が一つひとつの考えを大事にする姿勢を持つことで、より多くの子どもが授業に参加し、かかわり合えるようになるのです。 子どもたちの活動がばらばらになる
学校の廊下を歩きながら教室を眺めていると、子どもたちの活動がばらばらだと感じるときがあります。同じ教室内で、ノートをとっている、顔を上げて教師を見ている、ボーとしている、いろいろな子がいるのです。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
気になって観察してみると、多くの場合、教師が板書をしているときです。そして、板書しながらしゃべっていることが多いのです。ひどい時は、黒板に向かってしゃべっています。 板書は写すものだと思っている子どもは、時間を無駄にしないためにすぐにノートに写し始めます。 教師が話していると聞かなければいけないと思う子は、ノートをとるのをやめて話を聞きます。 また、教師の指示がないので指示があるまでじっと待っている子もでてきます。 大切なことは、教師が今、子どもにどういう活動をしてほしいかを明確に意識をすることです。 この例であれば、 ・板書を写す ・板書を目で追って考える ・板書が終わるまで、待機をする ・教師の話を聞く が考えられます。 それぞれに応じて明確に指示を出せばよいのです。 ・「黒板を写して」 ・「写さなくていいよ。板書を見ていて」 ・「書き終わるまでそのまま待っていて」 ・「先生の話を聞いて」 また、話を聞いてほしいのであれば、一旦板書を止めるべきです。二つのことが同時に起これば子どもたちは混乱し、集中できません。 もう一つ大切なのは、子どもの様子をきちんと確認することです。ばらばらの状態に気づけば指示が必要なことはわかるはずです。黒板を見ていて子どもを見ないようではまずいのです。 教師は、授業の各場面で子どもたちにどのような活動をしてほしいかを、明確に意識する必要があります。その上できちんと必要な指示を出し、子どもたちの様子を確認することが大切です。 意味のある確認をする
子どもの発言の後、それでよいか学級全体に確認する場面をよく見ます。が、おやっと思うこともよくあります。
社会科の元寇の授業でのことです。 「元てどこのこと」 二人しか手が挙がりません。 「○○さん」 「中国です」 「みんないいかな」 ハンドサインでほぼ全員が賛成の合図をする。 以前に習っていたことなら、友だちの発言で思い出すことがありますが、もしそうだとすると、最初に手が挙がらないことが問題です。指名するより、ノートなどを確認させる必要があるでしょう。 この時は、まだ習っていなかったようです。そうならば、知らなかった子には「中国」という答えが正しいかどうかは判断しようがないはずです。にもかかわらず確認をしても意味はありません。しかも、賛成の合図を出すということは、授業の中で確認が形骸化してしまっていることを意味します。 知識などを子どもたちに確認をするときは、確認の手段を持っている必要があります。この例であれば、確認できる資料がなければ聞く意味はないのです。 そして、確認を形骸化させないためには、かならず根拠を具体的に言わせることが必要です。 「みんな○○さんの説明でわかった」 「わかった」 「じゃあ、△△さん。もう一度説明して」 子どもたちに確認して、「わかった」と言ってもらうと教師は安心して次に進むことができます。しかし、具体的に確認せずに進めばわかっていないのに「わかった」という学級になってしまいます。 本当にわかっているかどうかをきちんと確認することが大切です。 ペア活動のポイント
授業にペア活動を取り入れることがよくあります。子どもたち一人ひとりの活動量を増やすにはよい方法です。しかし、自分が活動することばかりに意識がいってしまい、互いにきちんとかかわり合えていないことがよくあります。ペア活動ではどのようなことに注意をすればよいのでしょうか。
大切なことは互いに相手をしっかりと意識することです。相手意識を持つことがかかわり合うための基本となります。 例えば本読みをペアで行う場合を考えてみましょう。読む側は何を注意して読むかを相手に伝えてから読む。聞く側はそれに対してどうだったかを伝える。相手に対する自分の役割を明確にすることで、読む側は聞いてもらうことを意識して読みますし、聞き手側もコメントするために意識して聞きます。このようにすることで、きちんとかかわり合えるようになります。 また、球技のシュート練習をペアでおこなう時などは、主たる活動であるシュートばかりに意識がいき、アシスト役は何も意識せずに漫然とパスを出し続けてしまいがちです。シュートしやすいようなパスをする、シュートのフォームをチェックするなど、アシスト役の役割を明確にしておくことが大切です。 ペア活動では相手を意識してきちんとかかわりあうことが大切です。そのために、互いの役割を明確にすることがポイントとなります。特に、漫然となりやすい受け側の役割を明確にするよう意識してほしいと思います。 ノート作りで意識したいこと
子どもたちのノートを見てみると、板書の内容を写しているだけのものがあります。計算や作業が中心の物もあります。教科によっても違いがあると思いますが、どのようなことを意識してノートを作らせればよいのでしょうか。
大切なことは、ノートを作ることで、自分の考えが深まったり、成長が意識できることです。そのためには、ノートにはまとめだけ、正解だけが書かれているものにしないように注意することです。板書とも連動しますが、途中の考え、間違ったものもノートに残すようにする、消さないということです。 例えば、いくつかの考えが出たら、それらをノートに書かせ、自分がよいと思った考えを丸で囲ませる。できれば、その理由も書かせる。友だちの意見で納得するものがあればそれも書く。間違いに気づいたらその部分を赤で訂正したりしてわかるようにする。このように考えの変遷を残すようにします。 これらを根拠としてまとめを自分で書き、友だちや教師のまとめを聞いて足りないところを付け加える。このとき、色分けなどの工夫をして付け加えたものがわかるようにする。 また、算数や数学であれば、正解が黒板に書かれていても見ずに再挑戦し、見なければ書けなかった部分に線を引くなどして自分にとってのポイントがわかるようにする。 すべての場面でこのようにするのは時間の関係で難しいと思いますが、グループ活動のように自分たちで考えさせる場面ではこのようなノート作りをできるだけ取り入れてほしいと思います。 |
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