グループ活動が有効な場面

グループ活動を取り入れている授業によく出会いますが、どの場面でどのようなグループ活動を使えばいいのかという質問をよく受けます。また、課題はどのようなものであればいいのかといったこともよく聞かれます。グループ活動については何度も取り上げていますが、今回は、グループ活動の有効な場面、活動の質や内容、課題について簡単にまとめてみたいと思います。

まず前提として、グループ活動を行うためには子どもたちの人間関係がある程度できていることが必要です。そもそも互いに聞き合うことができない状態であれば、グループ活動は成り立ちません。

簡単ですが意外と行われていないのが、「個人作業のグループ化」です。算数や数学の問題を解くといった、個人で問題を解く、作業する場面での活用です。手の着かない子ども、わからない子どもは1人でじっと凍っています。そこが教師の出番だと個人指導をする傾向がありますが、そのような子どもが複数いれば1人にかかわっている間、他の子どもは凍ったままです。授業時間内での教師の個人指導には限界があるのです。そこで、「わからなかったり、困ったりしたら友だちに聞いてもよい」とすることで、止まっていた子どもの活動を促します。自分で考えさせなければいけないと考える方もいますが、教師が教えるのはよくて、子どもが教えるのはいけないということはありません。わからなくてじっとしているより、積極的に友だちに聞ける子どもに育てることが大切です。ここで注意をしてほしいのは、聞かれてないのに勝手に教えないというルールを守らせることです。自分で考えたい、聞きたくないのに勝手に教えられると嫌になってしまうからです。

解き方をできるだけたくさん見つけるといった課題で行う、「グループで補い合う」活動は自分とは違った視点や考えを受け入れるよい機会となります。子どもは1つ見つけるとそれで満足します。いくつ以上、できるだけたくさんとすることで、考え続けることが必要になります。できる子どもでも、いくつかの視点を持てないと行き詰ってしまいます。自分はできたからもういいと思っている子どもにも、友だちの考えを聞く必然性が生まれます。

先ほどの、「グループで補い合う」という活動と似ていますが、「友だちの気づきの根拠や過程を共有する」活動があります。気づいたこと、見つけたことを互いに伝え合う活動ですが、「資料のどこで気づいたかを共有する」、観察で「見つけたことを聞き合って、もう一度各自で確認する」など、気づいた結果だけでなく、根拠や過程を共有するのです。根拠や過程を共有することで視点が増え、資料や対象物から読み取る力がついていきます。

一部の優秀な子どもがすぐに答だしてしまい、上から目線で他の子どもに教えるような活動は好ましいものではありません。それに対して、なかなか答えが出ない、よく言われるジャンプの課題で行う、「課題解決の過程を共有する」活動があります。思いつきや試した結果などの情報を共有しながら、課題解決の糸口を見つけ、その過程を共有するのです。解決の糸口を見つけるための活動の幅が広い課題が理想です。個々に試せるものが多いと共有する情報が増え、グループ活動の必然性が出てくるからです。

グループ活動の後など、全体で話し合った結果、焦点化された課題や意見が分かれた課題をもう一度グループに戻し、「深く追究する」活動があります。課題が焦点化されているのでより深く考えることになります。意見が分かれ対立していれば論点が明確になり、考える必然性もあります。全体の場では考えを整理しなければ発表できませんが、グループに戻すことで、ちょっとした思いつきであっても気軽に話すことができ、活発な活動が期待できます。

英語や体育などの技能教科ではバディと組み合わせた、「サポートし合う」活動があります。ペアでの英会話で、詰まったり間違えたりしたらそれぞれのバディが助け、よかったところを評価するといったものです。実技の場面で有効な活動です。

これですべてというわけではありませんが、このような視点でグループ活動をとらえると、実際の授業でグループ活動を導入しやすくなると思います。
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