グループ活動の後の発表

グループでの活動は集中していたのに、全体での発表になると子どもたちの集中力が切れることがあります。最初はしっかり聞いていたのに、次第に集中力がなくなる。自分たちのグループの発表が終わると、集中力が途切れてしまう。こんな場面にもよく出会います。グループ活動の後の発表はどのようにすればよいのかを考えてみたいと思います。

多くの方が、グループの代表を事前に決め(させ)て順番に発表させているようです。このとき、発表の準備をグループ全体で手伝っているところはよいのですが、発表者が一人で準備していることがよくあります。次の発表予定のグループが準備に追われ、発表を聞いていないこともあります。また、次々発表させるだけで、発表に対する子どもたちの考えを聞くこともなく、最後に教師がまとめて終わっていることもよくあります。似たような発表が続き、聞く側の集中力がなくなってしまう場面に当り前のように出会います。

私は、グループ活動では、結論を無理にグループでまとめない方がよいと思っています。みんなの助けを借りて「自分の答」を見つけることが大切だからです。また、修学旅行のグループ行動を決めるといった場合であれば、自分が行きたくないからといって拒否できませんが、課題の答であれば自分の考えを曲げてみんなに従う必要はないからです。
たとえグループで考えをまとめる必要があっても、発表者をあらかじめ指定する必要はありません。「自分たちの考えをだれかに発表してもらうからね」と、誰もが発表者となる可能性を与えた方がよいのです。グループとして発表の準備が必要であれば、だれが指名されても困らないようにみんなですればいいのです。

基本的に発表は個人への指名でおこないます。結論やその課程を聞くことになりますが、発表が終わってすぐ次の発表に移るのではなく、学級全体でその考えを共有し、評価し深めることが必要です。

「同じような答になった人(グループ)はいる」
「いるね、じゃあ○○さんの(グループの)考え聞かせてくれる」
・・・
「今のみんなの考えを聞いて納得した人(考えが変わった人)いる?」
「いるね、どこでそう考えたか聞かせてくれる」
・・・
「じゃあ、自分(たち)はちょっと違うという人(グループ)はいるかな?」
・・・・

このように、同じ考え、違った考えをつなぎながら、それぞれの考えやグループでの話し合いを共有して考えを深めていくのです。
こうすれば、各グループを順番に発表させる必要はありません。他のグループの人の発表を聞いて、「あっ、自分たちと違う。自分たちの考えを言いたい」と思った子どもも、順番を待ってイライラしなくなります。また、順番に発表するうちに前の発表が記憶から薄れ、関連する意見が出てもつながらないといったこともおこりません。
意見がつながらなくなったら、まだ発表していないグループの子どもに、「あなたたちはどんなことを話した(考えた)のか聞かせて」とたずねればいいのです。そこからまたつなぎ始めます。こうして、全部のグループの考えを引き出すのです。

また、子どもが発表するたびにその意見を板書する方もいますが、子ども同士がつながっているうちは、できれば板書を我慢して聞くことに集中させてほしいと思います。子どもたちの発表がひと段落してから板書しても遅くありません。

あらかじめ発表者を決めておかないと、指名しても答えられないと心配をする方もいますが、そんなときは、「ちょっと、グループの人、助けてあげて」と仲間に助けさせればよいのです。また、なかなか自分の意見が持てない子どもには、「みんなでどんなことを話したか聞かせてくれる」と問いかけ、「じゃあ、その中で一番納得した(なるほどと思った)意見はどれ?」と聞くことで、自分の考えを持たせるのです。そして、「なるほど、・・・が○○さんの意見(考え)だね。ちゃんと(よく)考えたね」と評価するのです。

集中してグループ活動に取り組んだあとの子どもたちは、友だちの考えを聞くことに意欲的です。その意欲を活かすためにも、順番に発表することにこだわらず、発言をつなぎながら、全体で共有し、より深く考えさせるような工夫をしてほしいと思います。
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