挙手の様子から何がわかる
授業中に子どもの挙手を求める場面がよくあります。勢いよく手が挙がる子、ゆっくりと手が挙がる子、まわりを見ながら手を挙げる子いろいろです。挙手の様子から何がわかるのでしょうか。そして、どのように対処すればよいのでしょうか。
勢いよく手が挙がるのは、自信のあるとき、指名されたいときです。大きな声を出したり、指名してもらおうとわざと目立つ行動を取ったりもします。子どもと教師の人間関係がよいと、子どもは正解して教師にほめてもらいたいのでこの傾向が強くなります。勢い余って指名されないのに答えてしまったりもします。他の子が答えると、「言われたー」とがっかりします。こういう状態を続けると、子どもと教師の関係はいいが、子ども同士の関係があまりよくない学級になってしまいます。 対応としては、一つの問いに対してできるだけたくさんの子どもを指名することです。教師が「正解」という言葉を言わない限り何人でも指名できます。 「Aさんはどう思った?」 「○○です」 「なるほど、○○と思ったんだ。Bさんは?」 「えっ。Aさんと同じですが・・・」 「もう一度言ってみて」 「○○です」 「なるほど、Aさんとおなじだね」 「Cさんは?」 このようにすれば、子どもは友だちと同じ考えでも指名して答えられるので、落ち着いて手を挙げるようになります。 また、同じ答えの人を確認したり、次に指名する子どもは根拠を聞くようにするのもよいでしょう。 「Aさんと同じ考えの人手を挙げて」 「Bさん。どのようにして考えた」 「△△です」 「なるほど、△△と考えたんだ。Aさん、Bさんの考えを聞いてどう思った」 このようにして、子ども同士をつなげていくと、子ども同士の関係もよくなっていきます。 友だちの発言の後、すぐに勢いよく手が挙がるのは、発言を聞こうとする気持より自分の意見を発表したい気持ちが強いときです。逆に手がゆっくり挙がるのは、友だちの発言をきちんと受け止めているときです。友だちの発言を聞くようにするには、友だちの発言を聞く必然性をつくることです。 「Aさんは○○と言ってくれたけど、それについてどう思う」 「Aさんは○○と言ってくれたけど、なるほどと思った人」 「Aさんは○○と言ってくれたけど、その理由を説明できる人」 教師が友だちの発言を聞く必然性をつくることで、自然に友だちの発言を聞くようになります。 まわりを見ながら挙手する子どもは自信のない子です。多くの子が手を挙げる中では、できないと思われたくないのでわかっていなくても手を挙げている場合もあります。正解以外が評価されない学級で起こりやすい状況です。 わからないことを積極的に評価する。不正解でも否定しないことが大切です。 「この問題よくわからない人手を挙げて」 「わからないことをはっきりできる人は偉いね。Aさんどこがわからない」 「□□がわかりません。なるほど、Aさんありがとう。じゃ□□をみんなで考えてみよう」 ・・・ 「Aさんのおかげでよく考えることができたね」 誰でもできないことから出発する、できないことができるための第一歩であることを子どもたちに伝えることが大切です。 ノートにはよい意見が書いてあるのになかなか挙手してくれない子には、机間指導の時に○をつけたり、よい意見だから発表するようにお願いしておきます。また、挙手だけに頼らず、教師が指名してもよいでしょう。 「いい意見だね。あとで発表してね」 「Aさんのノートにとてもいい意見が書いてあったんだけど、聞かせてくれる」 挙手の様子からも子どもたちのいろいろな状況がわかります。自分の学級の状況に応じて挙手の後の対応を工夫してみてください。 |
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