介護研修で自分たちのよさに気づいていただく

先日、介護現場の組織力を考える研修を行ってきました。

参加された方々は自分の仕事をきちんとこなせる人ばかりです。しかし、研修に参加できない方も含めた、組織としてのレベルアップを考えることが必要です。
最初に、新人が仲間として加わった時に、どのようなことを意識するかを考えていただきました。皆さんが一番気をつけていたのは、コミュニケーションでした。個々の仕事の進め方、利用者の情報を教えるといったことも当然ありますが、新しいメンバーとコミュニケーションをとることが大切だと考えているということです。この答を聞いて、とてもうれしく思いました。介護の仕事は自分に与えられた仕事をこなせばいいという発想では、上手く回っていきません。不測の事態も多くあり、互いにカバーし合うことが大切です。その基本となる職員間のコミュニケーションを一番に考えているということは、カバーし合うことを意識できているということです。

続いて、新しい仲間に伝えたいこと、教えたいことについて話し合ってもらいました。もちろん基本的な介護のことを知っていることは前提です。そこで話し合われる内容は、自分たちの施設で大切にしていること、自分たちのよさになるはずです。日ごろは意識していない自分たちのよさがたくさん出てきました。意識することで、自分たちがとるべき行動がより明確になり、質が向上します。このこともこの活動のねらいです。
「あなたの所見は○○が素晴らしいので、若い先生に参考にするように指導しました」とベテランに伝えると、その方の所見がますますよくなるといった話をよく聞きます。それと同じことです。

最後に、どうやって伝えればよいかを考えていただきました。実際にそのように行動してもらうためには、相手に話すだけではうまくいきません。このことを皆さんはよく理解していました。
日ごろ自分がやっていること、意識していることがたくさん出てきます。その中でも多かったのが、「自分がやって見せる」「相手ができていないことを注意するのではなく、考えてもらう」「ほめてよい行動を増やしてもらう」といったことです。この施設の評判がよい理由がわかる気がします。
私から、いくつかアドバイスをさせていただきました。やって見せているつもりでも、相手が気づいてくれなければうまくいきません。仲間のよい行動を目にした時に、そのよさを伝え合うことで、気づかせること、意識させることができるようになります。また、そのような行動をすると認められる、ほめられることを知ると自分もやろうという気持ちになります。
ただ「考えて」と言われても、叱責されたように感じることもあります。「私は答を知っているけれど、あなたは知らないのだから考えなさい」と言われているようにも思います。そうではなく、「一緒に考えてみようか」という寄りそう姿勢を見せることが大切です。
ほめるためには、ほめられる行動をとってもらうことが必要です。時には、ほめるためにその人の得意な仕事をさせるという発想も大切です。よい行動をしたらほめようというのではなく、ほめられる場面をつくろうという発想も時には必要なのです。

日ごろ意識していない自分たちのよさに気づいていただくことができた研修になったと思います。自分たちのよさを、自信を持って伝えあうことができる職場であってほしいと思います。
この日も皆さんの考えから、私もいろいろなことを考え、学ぶことができました。とてもよい機会をいただいていることに感謝です。
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