私立の中高等学校で変化の兆しを感じる

先日は私立の中高等学校で授業アドバイスを行ってきました。

夏休み前は子どもの集中力が低下していたので、この日はどんな様子かちょっと気になっていました。しかい、私の予想以上に子どもたちは落ち着いていました。昨年までは9月にあった文化祭を2学期の後半に移したそうです。子どもたちに落ち着いて新学期を迎えさせるためです。受験等のことを考えると決断だったと思いますが、その効果がでているようです。
夏休みの研修の成果かどうかは定かではありませんが、子どもをよく見ている先生が増えているようにも思いました。(私の願望かもしれませんが・・・)

気になったのが中学校の授業でした。たまたまかもしれませんが、一方的に先生がしゃべり続ける授業が目立ちました。中学校は高等学校と比べても、子どもを活躍させやすいのですが、残念ながらこの日は、子どもたちが考え、発表している場面を見ることができませんでした。具体的な対応を考える必要がありそうです。

この日は非常勤講師の方が2名、2時間授業参観につき合ってくれました。非常勤講師ですから、プライベートの時間を割いていることになります。その熱心さは頭が下がります。それぞれに悩みはあるのですが、なかなか相談することもできないでいたようです。今回をきっかけにして少しずつ具体的なアドバイスをする時間をつくりたいと思います。

英語科がアクティブラーニングを取り入れています。まだまだ始まったばかりで、日々の授業に悩み、思考錯誤の連続ですが、子どもたちから学びながら少しずつ前へ進んでいるようです。
色についてグループで簡単なスピーチをつくる授業がありました。子どもたちはとても楽しそうに取り組んでいますが、テンションは上がり気味です。スタートしてかなりの時間が経っているのですが、まだスピーチの内容を日本語で考えていたのです。しばらくすると子どもたちのテンションが下がってきました。英作文に取りかかりだしたようです。これは、よくあることなのですが、子どもたちに自分の考えを英語で発表させようとすると、何を話すかを考えるのに時間を取られ、肝心の英文を考える時間が少なくなってしまいます。話す内容を考えるためのヒントや、ちょっとしたテンプレートやサンプルとなるものを用意しておくと時間を短縮できます。
この一つ前の段階として、絵や漫画にナレーションをつけるといった活動もあります。子どもたちはグループでの活動に慣れてきましたから、いろいろなことに挑戦させるとよいと思いました。

別の英語の授業では、子どもたちがグループで英訳をしています。自分ではできない子どもが友だちの手元を見ていたり、教えてもらおうとしたりしていました。わかりたいという気持ちが前面にでています。発表は文章を分割してグループに割り当てて黒板を使って行います。子どもたちは黒板に向かって、ポイントとなるイデオムに線を引いて訳を書き込んだり、修飾関係を矢印で結んだりといった準備をしてから発表します。この間、自分たちの作業を続けているグループもあれば、その様子を見ているグループもあります。教師はこういった時間に何をさせるかを明確にしておくとよいでしょう。
自分の考えを持っているので、友だちの考えは気になります。基本的に発表を聞こうという意欲は見せてくれます。しかし、自分たちの訳と比べてどうだろうと深く考えているようには見えません。その理由は、発表が終わったあと、教師がこれでいいねともう一度説明したり、足りないところを補足したりするからです。自分たちで取り組んでいますが、結局教師が正解かどうかを判定して答を教えているのです。もう一歩進めて、「同じような訳になったところある?」「違うところある?」「納得した?」「この部分は、結局どういうことを言っているのか教えてくれる?」と子ども同士をつないだり、質問したりすることで考えを深め、子ども自身で正解をつくりだし納得することに挑戦してほしいと思います。それには、今以上に子どもたちとやりとりする時間が必要です。そういう意味でも、実物投影機などのICT機器の利用も視野に入れることが必要でしょう。

この学校のアドバイスをするようになって、半年近くなりました。学校全体の改善の方向性はまだ明確にはなっていませんが、教科指導部の先生や若い先生を中心に動きが出てきました。個々の授業改善への取り組みを足掛かりにして、より多くの先生が授業を改善しようという気持ちになっていただけるように働きかけていきたいと思います。
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