これからの介護を考える研修で教育の現状の課題も考える

先週、介護研修で、これからの介護について皆さんと一緒に考える機会を持たせていただきました。

体温や血圧の測定、パルスオキシメーターの装着(動脈血酸素飽和度の測定)、簡単なケガの手当、医者からの説明を受けた本人や家族からの依頼による医薬品の使用の介助などは、一定の条件を満たせば医療行為とみなされないために、介護職員も行うことができます。最近では、医療行為である痰の吸引や胃ろうなどの経管栄養も一定の研修を受けた介護職員が行えるようになりました。これは、高齢者の増加によって、医療機関が飽和状態になってきたことや医療保険・介護保険の財政が悪化したために、今まで医療機関が行っていたことの一部を介護現場が受け皿にならざるを得なくなったということです。病院ではなく在宅にすることで医療機関の物理的負担を減らし、医師や看護師ではなく費用が安い介護職員が対応することで全体の費用を安く抑えようというわけです。介護保険も予防的な要支援をその対象から一部を外し、各自治体へ移管します。
介護職員に求められる知識や技術が増え、リスクと責任も増大します。それに対して介護費用が増えるわけではありませんから、給与等の収入増にはなかなかつながりません。わざわざ時間を使って研修を受けても、リスクや責任だけが増えるという構図の中、介護職員の方はこの流れを積極的に受け止めることができるのでしょうか。
ここで、実際に医療行為のための研修を現在受講している方に聞いてみました。その答は「今、目の前に(その医療行為を)必要としている人がいるから」というものです。「目の前の人に必要なことをする」という介護の仕事の原点に気づかされました。このことは学校の先生にも通じることです。目の前の子どもに必要なことをするために、勤務時間を越えて多くの方が働いています。こういった人たちによって社会は支えられているのです。

この施設の経営者の方から、介護の今後を考えてどう経営していこうとしているのかについてお話しいただきました。
その中で、職員の方が外部の研修を受けることに対するバックアップや技術向上のための研修を充実させる方針を発表されました。また、今後団塊の世代が後期高齢者になっていくと介護職員が大きく不足します。若い世代の方に介護の仕事に就いてもらう、続けてもらうためには、将来にわたって生活できる収入を保証する必要があります。そのために経営者として考えていることを伝えられました。
その解決の方向性は違いますが、職員のモラルに頼るのではなく経営者として何ができるかという発想は、当然学校現場にも通じることです。遅くまで働いている先生方に対して学校経営者としてどう対応するのか、校長に求められていることです。

これからの介護について考えることで、学校現場の課題についても考えることになりました。簡単に答の出ることではありませんが、職員のモラルに頼るだけでない解決策を考え続ける必要性を改めて感じました。
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