介護の技術が理にかなったものだと実感する

先週末に、介護技術の研修をおこなってきました。今回は「移動介助」がテーマです。いつものように実務担当者の助けを借りながらですが、今回は実習部分を多くしました。

移動介助は人を動かすことが主体になりますが、老人とはいえ数十キロある人間を動かすにはそれなりの力が必要です。上手く動かすには技術が必要になります。実際にやってみるとよくわかりますが、相手の重心と自分の重心をできるだけ近づけることでより簡単に動かすことができます。また、相手の体を小さくしてもらうと、重心の近くに重さが集中しますので、回したりするのも簡単になります。利用者に立ち上がってもらう時には、まず足を広げてもらうことで、基底面を大きくして安定させます。こういった重心や基底面を意識してボディメカニクス(骨・関節・筋肉等の相互関係)をうまく活用することで、スムーズな移動介助が可能になります。このような技術は実に理に適っています。素人の私でも、その技術を見せていただけば、なるほどこういう理屈で動かしているのだなとわかります。今回の研修では、その技術のポイントを物理的な面からわかりやすく説明することを心がけました。

移動介助では、介護全般に共通することですが、コミュニケーションが大切になります。寝ている人をいきなり起こそうとするとびっくりして暴れたりします。当然です。今から起こすことを相手に伝えることが必要になります。また、心の準備ができているかの確認も大切です。こういった利用者とのコミュニケーションだけでなく職員同士のコミュニケーションも大切になります。体に麻痺がある方とそうでない方では介助の方法は異なります。立ち上がることはできるのか、麻痺はどちら側かといった情報がなければ適切な介助はできません。介護の現場では利用者の個別性を意識なければいけないため、職員同士の情報交換がとても大切なのです。学校の生徒指導を考えればよくわかると思います。

今回の研修は、よい例や悪い例をたくさん実演し、解説してもらいました。担当してくれた職員の方々は、前日にしっかりとリハーサルをしてくれていました。私は素人なので、具体的にこのようにやってくださいと指示を出すことができません。漠然としたお願いだったのですが、どのようなものを見せればよいか実によく考えていただいていました。素人の私が見ても、実にわかりやすいものでした。

参加者の皆さんにはとても和やかにかつ真剣に取り組んでいただけました。グループワークでは、現場での体験を含めたくさんのこと聞き合っていただけました。
今回もたくさんの方の助けのおかげで、よい研修ができたと思います。いつものことながら、本当によい勉強をさせていただいています。かかわってくださったすべての方に感謝です。
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