子どもの状態をつくっている原因を考える

昨日は、中学校で授業アドバイスをおこなってきました。

若手の先生と一緒に授業観察をおこないましたが、皆さん子どもを見る力がついてきたように感じました。一緒に教室の子どもの様子を見ながら気づいたことを聞いたりしましたが、よく状況を把握できるようになってきました。
集中力をなくしている子ども、集中力が増す瞬間などしっかりと見ることができています。彼らに基礎力がついてきている証拠です。子どもを見る視点が育ってくれば、自分の授業でも子どもを見ることができるようになっていくはずです。

次の課題を意識してほしいと思い、今回は子どもの事実に対してその原因を考えることを話しました。集中力をなくしている子ども、課題に手をつけない子ども、こういった子どもがその状態になっているには何らかの理由があるはずです。内容がわからないのか、逆に簡単すぎてつまらないのか、それを想像することが必要です。集中力が落ちているのが特定の子どもなのか、それとも学級全体なのかでも当然違ってきます。気をつけてほしいのが、教師が過敏に反応してすぐに注意をしないようにすることです。実際に子どもを観察していると、しばらくすると集中力が戻ることがあります。1時間中ずっと授業に参加しないことのほうがまれです。どのようなタイミングで子どもが集中力を取り戻すのかがわかれば、その状態をつくった原因も見えてきます。そうなれば、教師がその原因と対策を意識して授業をすればいいわけです。焦って注意をしてもすぐに元の状態に戻ったり、逆効果になったりすることがよくあります。少し長いスパンで子どもを見ることが大切です。

また、手がついていないときには、わからないのだろうと考え、すぐに教えようとすることが多いように思います。しかし、それ以前に「何をすればわかるようになるのか、できるようになるのか」が、わかっていないために動けていないこともよくあります。そんなときは、教えようとするより子どもにわかるための活動を促すことが必要になります。まわりの子どもにたずねるように働きかけたり、どこに目をつけているか他の子に発表させたりして、動き出すきっかけを与えます。どう対応するかは、その状況をつくっている原因で変わってきます。しかし、その原因はすぐに特定できるわけではありません。だからこそ、そのことをいろいろ想像して、対応してみることが必要になります。そして、その後の子どもの動きの変化を見て、対応が適切だったのか、原因が想像した通りだったのかを知り、教師の経験値をあげていくのです。

子どもの事実を見ることができるようになれば、次はその状態となった原因を想像してどう対応するかを考えることが課題です。こうした課題を持って授業にのぞむことで、若手もどんどん力をつけてくれると期待しています。
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