授業の方向性がそろっている学校

昨日は、小学校で授業アドバイスと授業解説をさせていただきました。すべて算数の授業です。この学校の努力目標の一つに算数が取り上げられているからです。1日算数の授業にかかわることはめったにないので、とても楽しい時間を過ごすことができました。

授業解説のたたき台となってくれた授業は、さすがベテランというべきものでした。子どもがよく育っていたので、聞く姿勢もできていました。しかし、机が横並びのために、後ろの方の子どもの発言を聞くときに、前の座席の子どもが聞きづらかったり、前を向いたままになっていたのがとても気になりました。基本的に聞く姿勢ができているので、座席をコの字型にするといった工夫が必要でしょう。

この授業でおもしろかったのが、子どもの発言が教師の予想を超えていたことです。
速さの導入の授業なのですが、最初に「速さ」について子どもに自由に意見を言わせたところ、すぐに「時間」がかかわること、「1秒で、1時間で」、「同じ距離を」といった基準を意識した言葉、キーワードが出てきました。
授業者は笑顔で子どもたちをとてもよくほめます。そのおかげで子どもたちは安心して意見を言ってくれます。このように子どもが育ったからこそ、教師の予想を超える発言をしてくれたのです。

しかし、研究授業ということもあり授業者は指導案の流れにこだわって、時間と道のりだけに焦点を当てて進めようとしました。しかし、たとえば「同じ距離」という子どもの言葉から「距離」に焦点化しようとしても、子どもは「同じ」に意識がいきます。速さに関して、当然のように関係する「距離」よりも「同じ」が子どもにとってはより注目すべきことだと考えたからです。
このように子どもからよい考えが出たときは、その場で他の子どもも土俵に上がれそうであれば、教師もそこに乗っかればいいのです。
この授業がうまくいかなかったわけではないのですが、同じ時間、同じ距離に注目して、どうすれば速さを比べられるかを先にやってから、練習をすればすっきりと進んだと思います。

授業アドバイスは、若手の先生を中心に6人の方の授業を見せていただきました。
授業後、どんな授業を心掛けているかを聞いたところ、「子どもたちが楽しいと感じる、思う授業」ということをどなたも言われました。この学校の目指すところが先生方に共有されているということです。ちょっと意地悪く、「楽しいとはどういうこと」と聞き返すと、「できる、わかること」とすぐに答えが返ってきました。このことにも感心しました。
ならばアドバイスは簡単です。何ができればよいのか、何がわかればよいのか、教師にとっても、子どもにとってもそのことが明確になるようにすることです。授業の最後にできた、わかったと感じるだけでなく、ステップごとにできた、わかったと子どもに実感させることがポイントです。

授業の場面ごとの目標をはっきりさせること
子どもたちにできた、分かったと実感させる場面を明確にしておくこと
そして、教師できれば友だちがポジティブに評価すること

このようなことを意識して授業をすることをお願いしました。

先生方が、一つの方向を向いて授業研究に取り組んでいることがとてもよくわかる学校でした。管理職、リーダーの先生がしっかり機能している学校です。今年度もう一度おじゃまする機会があります。そのときに、どのように授業が進化しているか今からとても楽しみです。
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