子ども役が話したくなる模擬授業

先週末は模擬授業の解説と講演を研修で行ってきました。私がアドバイザーをしている学校の中堅の先生に授業をお願いしました。

社会科の雨温図の模擬授業でしたが、発問や課題が子どもたちにどのような活動を引き起こすか、子ども役になることで先生方によくわかったのではないかと思います。
雨温図がどの都市のものか根拠を持って考えるという課題は、資料集から答を探すのと違って子ども役の教師にとっても難しいものです。授業者の指示がなくても、子ども役の先生方は自然にまわりと相談をし始めました。特に同じ学校からの参加者のように人間関係が既にできているときは、その傾向が顕著です。子ども役の先生から「不安だとまわりを見たくなる、聞きたくなる」といった言葉が出てきました。
実際の子どもたちと違って、答があまり分かれなかったので、根拠をもとに全体で意見を聞きあう場面の緊張感はあまりありませんでした。しかし、「北海道の釧路だと思う雨温図は冬の雨量が少ないので、不安」という意見をうまく取り上げることができたり、子ども役の言葉から授業を進めることができました。
子どもの言葉を否定しない、わかった人と聞かない、わからない子どもが話せる、わからないことを友だち聞ける雰囲気をつくる。授業者はこの1年余りこのようなことを意識して授業をおこなってきました。ところが、私が具体的な場面で何を意識しているか尋ねても、すぐに答えが返ってきません。授業者にとっては、もう当り前のことになって意識しなくても自然にできるようになっていたのです。
教師にとって授業は毎日のことです。意識して授業をおこなえば、進歩は驚くほど早いものです。授業者もこの1年で本当に力をつけてきたのだと思いました。

今回の研修は昨年度と同じテーマで、2年続けて参加してくださった方も何名かいらっしゃいました。昨年より深いことも伝えたい、しかし初めての方に伝えておきたいこともある。そんなことを思ったため、情報量が多く、一方通行の度合いが高い講演になってしまいました。そのことを最後に授業者から、「今回の模擬授業のような双方向の活動のあるのと、講演のような一方通行とどちらがいいですか」とちょっぴり皮肉られました。自分の授業の方向性に確かなものを感じている証拠だと思います。
授業者の成長を素直に喜ぶと同時に、もっと質の高い話をしなければと反省しました。
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31