学びの多い研修会

昨日は、終日研修会で講師を務めました。昨年より始まった、参加者による模擬授業を中心としたものです。午前と午後にそれぞれ1回ずつの模擬授業と言語活動について講演をさせていただきました。

講演は、言語活動という視点から授業で大切にしてほしいことをテーマに、実は言語活動を意識するということは特別なことではなく、普段の授業でコミュニケーションを充実することに他ならないということを話させていただきました。参加した先生方が真剣に聞いてくださったので、ついつい予定よりも深いところまで話をしたり、わき道にそれたりしてしまいましたが、楽しく話をすることができました。

模擬授業を前に、2つのグループに分かれてリハーサルをしていただきました。この時間が、参加者同士が打ち解けるいい機会になったようです。スタートの講演のときにはちょっと硬かった表情がずいぶん柔らかくなっていました。参加者が互いにかかわる時間を持つことのよさがよくわかります。

1つ目の授業は、中学校の英語でした。シチュエーションを意識して組み立てることを目指した授業です。テンポのよい笑顔あふれる授業で、英語が嫌いな生徒でも引き込まれてしまうような、とても素敵なものでした。発言に対して"Good!"、"Good job!"と称賛の言葉をきちんとかけていました。笑顔とほめることの大切さ参加者が実感してくれたと思います。シチュエーションとそれに対応する英文とを明確にして進めるとよいのではとアドバイスさせていただきました。

2つ目の授業は、小学校3年の国語の話し合いの指導でした。授業者は、グループでの話し合いの場面で、全員が発表し終わるとその後意見が出なくて停滞してしまうのを課題と感じていました。子どもたちはメモもなかとれないため、次々に発表されると整理できなくなってしまいます。そこで、自分の話の内容をあらかじめ付箋紙に書いて貼ることで整理するという方法を考えました。こうすることで話を整理して意見が言いやすくなると考えたからです。授業者もこのやり方はまだ試したことはないそうです。この機会にうまくいくか、問題点は何かを参加者と一緒に考えようというわけです。模擬授業をすることを前向きにとらえていただけたことを大変うれしく思いました。司会の進め方と発表のポイントを両面に印刷した厚紙を用意するなど、実際の授業と同じようにしっかりと準備もしてくれました。

授業者にとっても初めての試みということなので、話し合いの場面は結論が出るまでじっくり時間をかけてもらいました。3つのグループで話し合ったのですが、それぞれで様子は異なっていました。全員が付箋紙に書き込んでから話しあうグループ。次々に意見を交換し、平行して付箋紙を書いているグループ。付箋紙を貼って賛成や質問もしっかりでたあとで、動きが止まってしまったグループ。三者三様でした。模擬授業の後で、生徒役、参観していた先生方に感想を聞きましたが、それぞれの立場で実に貴重なことが語られました。

次々に意見を交換できたグループでは、実は話を聞いているときに自分の発表のメモを付箋紙に書いていた。
話し合いが止まっていたグループでは、意見はあったのだが、またメモをしなくてはいけないのか、そのまま話していいのかどうしていいかわからなかった。
参観者からは、意見を聞きながら付箋紙を書いているのはとてもすごいのだが、小学3年生には無理ではないだろうか。
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付箋紙は「書く」「読む」。話し合いは「話す」「聞く」。要素がたくさんあるために、どこで何をするかがグループによって異なっていたようです。授業者にとっても、参加者にとってもたくさんの学びがあったように思います。授業者は今回の模擬授業を参考にして、9月に自分の学級で実際にやってみるそうです。ぜひ報告をしてくださいとお願いをしました。

いつも思うことですが、参加者が学べる研修は、講師の私もたくさんのことが学べるものです。今回も素晴らしい参加者のおかげで多くのことを考え、皆さんの気づきにハッとさせられ、とてもよい学びをさせていただきました。ありがとうございました。次回は3人の方に模擬授業をしていただきます。今からとても楽しみです。
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