若手教師との勉強会

昨日は小学校で若手教師5人と勉強会をおこないました。3年生の算数「何倍でしょう」を題材にして全員で教材研究をおこないました。3倍の2倍は6倍になる。結合法則につながる教材です。

最初に、この教材のねらいは何かについて話し合いました。小学校6年間のかけ算の学習の流れをつかんでいれば位置づけやねらいがよくわかるのですが、経験が少ないためなかなかシャープになりません。そこで、教科書をしっかり読みこむことをしました。
なぜ最初の例は連続量なのに、次の問題は離散量なのか?
なぜ左のページでは解き方のヒントとなる図が書いていないのに、右のページでは書いてあるのか?
左のページの例題と右のページの例題では何が変わっているのか?
・・・
たくさんの疑問や、気づきがありました。教科書を読みこむことで、この教材のねらいが次第にはっきりとしてきました。

続いてどんな流れ・説明であれば子どもがわかるのか、教師の視点から考えてみました。教師にとっては当り前すぎて、意外とポイントがわかりません。ここでも、教科書が教えてくれます。
教科書の左側も例題は3倍、2倍という表現ですが、右側のページでは4はい分、2はい分となっていますが、図では倍となっています。何はい分も倍であることは子どもにとってそんなに簡単ではない。最初に倍の意味の確認がいる。何はい分をかけ算の定義の「いくつ分」にもどって、倍につなげる。いろいろなことに気づきました。

ここで先生方から、教師が主導して説明するとどうしても一部の子どもしかわからない。多くの子は手順を覚えるだけで、自分で納得して説明できるようにならない。子ども同士で説明し合うような活動をすればいいと思うが、子どもたちが話せない。こんな言葉が出てきました。とても素晴らしい悩みです。ならば、どうすれば子どもたちが話してくれるようになるのか。教材研究からは外れますが、ひとしきりその話題で話しました。

子どもたちが話せるようになるには、毎日の授業の積み重ねです。すぐにできるようになはなりません。子どもたちが自分で理解できるような課題、活動が必要です。どんな活動をさせるか5人で考えてもらいました。
おもしろいアイデアがでてきました。
「赤の車は2m走る。青の車は赤の3倍、黄の車は青の2倍。黄の走った長さは?」
この問題で、ノートに赤、青、黄の走った長さを順番に図で書かせることで長さを求めさせる。こうすることで問題を把握しやすくなるし、図に長さを書きこむことで答えもでる。でも、そうすると黄は赤の「何倍」と問いかけたとき6倍がダイレクトに出てくる。3×2倍がでてこない。どうしよう。先生方にとってとてもよい学び合いです。赤と黄だけを図に書かせる。どうやって黄の図を書いたと問いかける。そうすれば、3×2に気づいてくれる。こういう修正になりました。これが正解ということでありません。いろいろと考えることで先生方の懐が広がります。

半日、一つの教材にどっぷりとつかりました。教科書としっかり向き合うことで、読みこむポイントが見えてきます。普段は忙しくて一つの教材にこんな時間を割くことはできませんが、ポイントを押さえて教科書を読み込むことで、効率的に教材研究ができるはずです。このことに気づいてくれたと思います。
また、5人はとても楽しそうに授業について話し合っていました。子どもの固有名詞も出てきます。子どもの姿を浮かべながら教材研究をしていました。これをきっかけに互いに学び合う雰囲気が広がることを期待します。
若い先生と一緒に教材研究する機会は私にとってもそれほど頻繁ではありません。私にとっても多くの学びと刺激のあった時間でした。ありがとうございました。
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