介護研修で、技術やノウハウを意識的に供することの大切さを考える

介護職員の研修を行ってきました。8月は「排泄介助」がテーマでした。

排泄は人間にとって最もプライベートな行為の一つです。そのような行為を介助するということは、とても細かな気づかいが必要となります。また、排泄介助は身体の機能の低下とも密接に関係するため、排泄のメカニズムと機能障害の関係などの知識も必要になります。こういった心構えや知識をテキストで共有した上で、日ごろの介護の現場でどのようなことを意識しているかについて聞きあっていただきました。
いつも感じることですが、様々な方の介護を通じて、皆さんは本当に多くの経験をされています。当然、一人ひとりに応じた対応策やノウハウも身に着けていらっしゃいます。それを互いに聞き合うことは、多くの学びにつながります。
例えば、認知症の方の中には、排泄のためにズボンを下ろしてもすぐに引っぱりあげてしまう方もいるそうですが、そういった方への対応方法に、思わず「へー」と感心してしまうこともありました。介護のテキストにはまず載っていないノウハウをたくさん聞くことができました。互いの工夫を聞き合うことの大切さ、有効性を実感しました。

学校現場でも同様のことがあります。例えば自閉症スペクトラムの子どもたちは、同じ名称で一括りにできない、多様な行動をとります。個別性がとても強いのです。当然一人ひとりに応じた対応が必要となります。そのノウハウは、そのまま他の子どもに通用するわけではありませんが、対応を考える上で役に立つ情報です。こういった個の子どもたちだけでなく、学級の集団としての特性も多様で、その対応もいろいろです。先生方は長年教壇に立つことによって経験を積みノウハウを貯めていきますが、それを共有することはあまりありません。とてももったいないことです。
「次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」でも「授業改善の取組を活性化していくことが必要」とされています。先生方が子どもたちや学級への対応について互いの経験を話し合い共有する機会を持つことも、その活性化の一つだと思います。

介護も教育も個人に技術やノウハウが貯まりやすい職種です。意識的に共有する場面をつくることが大切だと、改めて気づかされました。
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