子ども同士がかかわる必要性を考える

昨日の日記の続きです。

2年生の美術は、色の与える印象について考える場面でした。
2枚のイルミネーションの写真を見せて、どんな感じがするかグループで考えるように指示します。男子女子が1列で並んでいるので、男子同士、女子同士で隣り合っています。絵を描くために机の幅が広く、男女の席が離れているため、どうしても男子同士女子同士でしか話がされません。また、自分のグループの子どもとはしゃべらず、隣のグループの子どもとしゃべる子どももいます。グループが崩れてしまうので注意が必要です。

子どもたちはよく話をするのですが、発表となると挙手が少ないことや、発表者の方を見ようとしないことが気になります。発表を受けて授業者はすぐに板書します。子どもたちは先生の方を注意していれば、効率的に情報が整理されます。このことが、発表者の方を見ない一因でしょう。
続いて、ピカソの2枚の絵を見せて全体で意見を聞きます。ここでも挙手する子どもは少数です。子どもの意見を「なるほど」と受容しますが、子どもに問い返したり、「同じような意見の人?」とつないだりすることがありません。子どもたちは聞いてはいるのですが、受け身の状態が続きます。発表する子どもの表情はよいのに対して、聞いている子どもの表情が重いように感じます。積極的に意見を言わせて参加させたいところです。

質問と挙手により、色の効果について考えさせようとしているのですが、一部の子どもとのやり取りだけで進んでいきます。さすがに集中力が落ちてきます。
資料集をもとに説明をしますが、授業者も子どもたちも資料集を見ているので視線が交わりません。実物投影機などを使って資料集を映し出し、子どもたちの顔を上げさせたいところでした。
結局、子どもたちが受け身の時間が長くなってしまったのが残念でした。子どもたちが落ち着いて話を聞いてくれると、どうしても先生はしゃべりすぎます。このことに注意をしてほしいと思います。

1年生の新人の体育の授業は、男女共修です。ソフトボールのキャッチボールの場面でした。
授業者は一方的にボールの持ち方を説明します。子どもたち自身が試して確認する場面がありません。続いて投げ方のよいフォームと悪いフォームの見本をT2と2人で見せます。どっちがよいのか当ててくださいとクイズにしますが、実際にそのフォームをまねてみて、うまく投げられるのはどちらかを比べるといったことをしなければ考えることはできません。よく知っている子どもしか、理由は説明できません。何度も見せますが、どちらがよいかは明らかでも、きちんと視点を決めて比べてみなければポイントはわかりません。
子どもたちに答を聞きますが、1/4ほどしか手が挙がりません。せめて、子ども同士で確認すればいいのですが、そのまま指名します。理由も説明させますが、他の子どもは集中力を失くしています。言葉の説明だけではよくわからないことがその一因です。
まずどこが違うかを確認して、全体で共有することが必要です。その上で、理由を考えさせるようにしなければ、よくわからない子どもには理解できません。
発言者にありがとうございますと言えたのはよいのですが、1人が発言して終わりです。他の子どもは何も参加できません。
「どこが違うかを確認するように」と言って再びやって見せます。ただ見せられてもわかるわけではありません。子ども同士で確認し合うといったことが必要です。
子どもたちに発表をさせます。数人の手が挙がります。子どもの意見を受けてやって見せますが、すぐに「他には」と次に移ります。発表された意見を子どもたちで共有することが必要です。結局わかる子だけで授業が進んでいきます。頭が下がってしまっている子どももいますが、授業者は発言者だけを見ているので気づきません。他の子どもに発言を求めるのですが、手が挙がりません。授業者は「○○さんにすべて持ってかれるぞ。それでいいのか?」と高圧的にしゃべります。これでは逆効果です。上から目線は子どもとの関係を崩します。こういった姿勢が子どもの発言意欲をそいでいることに気づいてほしいと思います。この状況をつくっているのは授業者自身なのです。

子どもの発言を受けて、また授業者が延々と説明をします。活動量が異常に少ない体育の授業でした。言葉ではなく、身体を動かして子どもたち自身でポイントに気づいたり、実感したりする場面が必要です。やらせてみて、それから修正するための時間をとることが大切です。子どもたちは10分ほど受け身の時間が続きます。よく聞いていましたが、さすがに集中力が切れてきました。

子どもたちから出てきたことを、4つと整理します。続いて、「いろいろあるが、3つに絞ります」といってもう一度確認します。子どもの考えを聞いているように見えますが、結局先生が自分の説明したいことを説明しているだけです。これでは、子どもたちは発言したいとは思いません。
投げ方の説明が終わると今度は捕り方の説明に移ります。一方的な説明が始まったのですが、途中で確認のために子どもを1人前に出し、授業者とキャッチボールをしました。友だちが前に出ると、子どもたちの集中力が戻ったことが印象的でした。

グランドに散ってキャッチボールの練習です。子どもたちはやっと活動ができるので素早く動くかと思いきや、そうではありません。移動してペアになってもすぐに動きません。何をすればいいのか、まわりの様子をうかがっています。それはそうです。授業者は投げ方や捕り方についてはくどいほど説明しましたが、「続けてどんどん投げる」「1球ごとに確認しながら投げる」といった活動のやり方については何も指示していません。これでは、子どもたちは動けないのです。

子どもたちのキャッチボールは、残念ながら不十分なものがほとんどです。授業者の説明したポイントは意識されていません。当然です。説明を受けてすぐにできるのなら、練習の必要はありません。互いに、相手の投げ方、捕り方を見てポイント確認し合うといったことが必要ですが、子どもの声が全く聞こえてきません。子どもたちが上手くなるための場面がないのです。授業者は漫然と歩いています。常に全体を見るようにして動かなければいけませんが、意識されていません。体育教師の基本がわかっていないようです。時々、個別に指導しますが、この形で全員を指導しきれるわけもありません。全体の様子を見落とす危険が増すだけです。

ここまで見たのですが、時間からすると最後に子どもたちを集めて、反省をさせることになると思います。しかし、それを活かす場面は次の時間までありません。次の時間に持ち越してしまえば、反省したことは頭の中から消えてしまいます。授業時間内に子どもたちの変容を促すことが大切です。子どもたちが上手くなる、できるようになるために必要なことは何かが、意識されていません。教えたがりの素人コーチのような授業になってしまいました。プロの教師として、子どもたちができるようなるために何をすればよいのか、よく考えてほしいと思いました。

1年生の数学は、指数の計算が()のつけ方でどのようになるかを確認している場面でした。
指名された子どもが「(-2)4はかっこがついているからプラスで、-24はかっこがついていないのでマイナスになる」と説明します。一生懸命前を向いて説明しますが、他の子どもたちはあまり真剣に聞いていません。授業者は、ところどころ復唱しながら聞いていますが、子どもたちにつなぐことはせずに、「もう一度相談して」と返しました。この学級でも、相談する場面になるとテンションが上がります。「もう一回だれか説明して」と問いかけますが、挙手は1人です。友だちとしゃべりはするが、全体で発言しようとはしないことが気になります。
「-2が4回かけられているから、マイナスが偶数個でプラス」「マイナスと2×2×2×2でマイナスが奇数だからマイナス」という説明に対して、「何が4回かけ合わせられている」と問いかけます。なかなかよい焦点化だと思います。「2が4回」ということを言わせて、「2“だけ”が4個かけ合わされていることかな」と受け、「ありがとう」と言って着席させました。ここで、「今の納得した人」とつなぎます。なかなかよい展開ですが、“だけ“という言葉を授業者ではなく子どもから出させたいところでした。1/3ほどの手が挙がりますが、まだ少ないと、「別の式を指してこれがどうなるかわかる?」と問いかけます。ここは納得した人につないで、もう少し説明をさせ、計算式のルールから、-2を累乗するのか、2を累乗するのかをきちんと子どもたちで押さえさせたいところでした。
挙手した子どもを指名して発言させますが、子どもたちは明らかに集中していません。焦点化した「何を4回かけているのか」を子ども同士で確認し、どうしてそうなるのかをルールをもとに説明するとよいでしょう。ここはグループを使うとよい場面だったと思います。

子どもたちにいろいろ発表させましたが、結局最後は、授業者が黒板で説明します。書かずに見るように指示されて、子どもたちは鉛筆を置きますが、集中しきれていません。授業者の説明は、この式はこうなるからという説明ですが、根拠となるルールを確認しませんでした。説明中にも子どもたちの集中が落ちていきます。子どもたちは、(-○)nと書かれたらこういう計算になる、-○nと書かれたらこういう計算になるという結果を覚えようとするのではないかと思いました。
子どもたちに写すように指示します。授業者が板書したことを結論として受け入れることになります。
書きを終わった後、授業者が「何を4回かけるのかなと考えて……」と累乗の混じった計算のコツを伝授します。子どもから出てきた言葉ではなく、授業者の言葉でやり方がまとめられていきます。これでは、子どもたちにとって友だちと相談したり、話を聞いたりすることに意味はないのです。そのため、相談することがリラックスタイムになり、友だちの話は聞かなくてもよくなっていたのです。

子どもの発言をポジティブに評価して、共有し、つなぎ、子どもの言葉でまとめることが大切です。また、数学の授業として、結論ではなく、根拠を明確にすることも大切にしてほしいと思います。子どもの言葉を受容することはできています。意識を変えるだけ大きく進化すると思いました。

この続きは明日の日記で。
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