公開授業から、学校が分岐点に差しかかっていることを感じる

私立の中高等学校で授業研究がありました。今回は公開された授業を自由に参観できる形で行われました。仕事の都合で半分の授業しか見ることができませんでしたが、アクティブ・ラーニングを意識された授業が多くありました。私が見ることができなかった授業については校長からその様子を教えていただきましたが、すばらしい授業がたくさんあったようです。具体的な場面で語っていただけたことから、そのよさがよくわかりました。

先生方意欲的であったことと同時に、公開されたどの学級でも子どもたちのよさを感じることができました。高等学校では子どもたちの質の幅は公立の小中学校などと比べて狭くなっています。この学校は、小中学校でいえば平均的な層が中心です。教師の働きかけによって授業に意欲的になったり、無気力になったりする層です。子どもたちの授業中の姿は、教師をとてもよく写す鏡になります。以前と比べてもその姿がとてもよくなったということは、先生方の授業がよくなっているということです。先生方の工夫がダイレクトに子どもの姿として跳ね返ってくるのです。今年度の1年生は中学校の学び直しも含めて基礎基本を100%にすることに挑戦しています。中学校でわからなかったことをもう一度やり直せること、わかるようになれると、昨年までの子どもたち以上に意欲的になっています。先生方も子どもたちがよくなっていることに気づいていますが、それが自分たちの力によるものだと思えないようです。自分に厳しい方が多いので、なかなかそのように思えないのでしょう。子どもたちの持つよさは、先生方の工夫で引き出されます。逆に、それまで授業中の姿がよくないのは子どもたちのせいだと思っていたのが、実は自分たちにもいたらない点があったのだと気づく先生も出ています。今この学校は、先生が授業を工夫することで子どもたちのよさが引き出され、その結果先生がより高いことを子どもたちに求め、子どもたちもそれに答えて伸びていくというよい循環に入るかどうかの分岐点に来ていると思います。ここで注意をしなければいけないのは、子どもたちが工夫された授業で意欲的になると、工夫の見られない授業では今まで以上に集中力を失くすことです。おいしいものを食べるようになると、今まで気にならなかったものでもまずいと思うようになるのです。基本的に前向きになっているので、ちょっとした工夫をすれば子どもたちは意欲的に授業に取り組むようになります。例えば、グループ活動を取り入れると、他の授業で経験しているので一から始めるよりも上手くいきやすいのです。今回の授業研究がより多くの先生が授業改善に積極的になってくれるきっかけになることを願います。
この日の授業の検討会は、時間の都合で別の日に行うことになりました。そこでは、先生方気づいた授業のよさを共有していただくつもりです。

空いた時間で広報担当の先生とお話ししました。この学校が子どもたちの学ぶ意欲を引き出せるような工夫をしていることを広く知っていただくことが大切だと思います。抽象的な言葉ではなく、具体的にどのようなことに取り組み、どのような結果がでているかを客観的に伝えることが必要です。中学校時代、今一つ学習に積極的になれなかった、苦手な教科がどうしても克服できなかった、そんな子どもたちが意欲的に学習に取り組み苦手を克服できるとすればとても素晴らしいことです。この学校に入学することで、そういった子どもが一人でも多く生まれることを期待します。
先生の中には、入学者が増えると子どもたちの質が下がって授業がやりにくくなると考える方もいるかもしれません。決してそうではありません。今この学校で取り組んでいることをやり続ければ、子どもたちは意欲的に学習に取り組むはずです。この学校で自分が成長できると思えば、より上の層の子どもたちも入学を希望してくるはずです。大切なことは、どんな子どもが入学してくるかではなく、入学してきた子どもをどのように伸ばしていくかです。そのために必要なことに今先生方は取り組み始めていることを自覚してほしいと思います。
広報に関して、私の今までの経験から制作物のつくり方やポイントをお伝えしました。担当の方はとても熱心に私の話を聞いていただけました。前向きに仕事に取り組んでおられることがよくわかります。今後、こういった面でもお手伝いをしたいと思います。
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