介護の研修で、情報に積極的に触れ理解することの大切さを改めて考える

介護関連の研修で講師を務めました。今回は介護制度の変更に伴いこれから介護の現場がどのように変わっていくのかを考えるものでした。
今まで国による一律の基準で行われていた介護保険による介護が、一部自治体ごとの新しい総合事業によるサービスに変わることになりました。介護関係の仕事に就いている方であれば、その内容について関心を持っていてよく理解しているように思うのですがそうとも言えない状況でした。何となくは知っているのですが、きちんと関連する資料を読み込んで理解することはされていません。また、今回この変更の概要を、公的な資料をもとに話したのですが、こういった資料を提示して読んでいただくだけでは、結局のところ何を目指しているのか、その結果自分たちの仕事はどのように変わるのかについてはよくわからないようです。資料の文章のポイントとなるところを中心に、私なりに具体的に解説をし、その上で自分たちの仕事の環境がどのように変わるかを考えていただきました。今回は自分たちの仕事や生活に直接かかわることだったこともあり、皆さんとても真剣に話を聞いて考えていただけました。

国の施策については、各省庁のWEBを見ればたくさんの資料や解説があるので、関係者はそれを見てよく理解しているものと思っていました。しかし、現実には直接かかわる方たちといえどもきちんと見ているわけではなく、また一読しただけでは理解しにくいものであることがわかりました。そういう視点で言えば、確かに学校教育に関しても同じような状況であると思い当たります。アクティブ・ラーニング、知識基盤型社会、グローバル人材、国際バカロレアといった言葉に代表される授業観や学力観、目指す人物像の変化、センター試験廃止や基礎学力テストの導入といった大学入試制度の改革、今いろいろな波が教育界に押し寄せています。現場の先生方とお話ししていて感じるのが、こういった言葉を知ってはいても、それがどのようなもので今どういう状況であるのかについてはほとんど知らない、知ろうとしていないということです。新聞記事で紹介された程度の知識しかないのです。しかし、文部科学省のWEB見れば、詳しい資料や議論の内容を簡単に知ることができます。もちろん一読しただけではよく理解できないこともあるでしょうが、これらの情報に接すれば、将来のことではなく、今目の前にいる子どもたちに対する授業も変化することを求められていると気づくはずです。
例えば、小学校の先生の多くは、大学入試制度の変更は高等学校の問題であって自分たちには関係ないと考えている節があります。しかし、今小学校で学んでいる子どもたちは、確実に今までとは異なった学力観に基づいた力を求められます。もちろん、現在の教育課程もそういったことを意識して作られ、教科書もそれを反映していますが、タイムラグはあります。ただ教科書に従うだけでなく、先を見通しその基盤となる力を身につけさせることを意識して授業を組み立てる必要があります。毎日の仕事や明日の授業の準備に追われていることはよくわかりますが、時々はこれからの教育がどのように変わっていくのかを考える時間を取ってほしいのです。そのために必要な情報は簡単に手に入れることができるのですから。

自分たちに直接関係あることであっても、目の前の問題でなければなかなかそこに目を向けようとはしないものです。しかし、特に教育は子どもたちが社会に出て活躍する未来を見据えたものでなくてはなりません。先生方には、将来子どもたちに求められるものがどのようなものであるかの情報を集め理解し、そのことを意識して教壇に立ってほしいと思います。
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