全国学力学習状況調査の質問紙と正答率の関係について考える

先週末は、「授業と学び研究所」のミーティングでした。授業深掘りセミナーの撮影についての打ち合わせや、フェローからの全国学力学習状況調査の質問紙と正答率の関係についての考察の発表などがありました。

子どもが話し合いや発表などを通じて主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」をよく行った小中学校ほど、平均正答率が高い傾向があるといった新聞報道もありましたが、フェローの一人が元データからそういったことが言えるのか、他の質問項目との比較はどうだろうかといった視点でデータをまとめて発表してくれました。
質問に対する「よく行った」の回答の多い順に質問項目を並べ、「よく行った」学校の正答率の平均との差を比べてみると、「よく行った」を選んだ学校が少ない項目ほど、平均との差が大きい傾向があります。「行っていない」についても同様です。グラフにして見るととてもよくわかります。
ある項目を行っていることと正答率の相関の度合いが同じでも、回答者が「よく行った」「行っていない」と判断する境界が違うと回答数に影響を与えます。極端に少ないものはその境界がかなり高い、低いところに置かれているのかもしれません。正答率の度数分布が正規分布だとすれば、両端の部分で比較することになるので差も大きくなります。「アクティブ・ラーニング」にかかわりそうな「学級やグループでの話合いなどの活動で、自分の考えを深めたり、広げたりすることができていると思ますか」といった項目は、そういった極端に少ない(「その通りだと思う」小学校で8.0%、中学校で9.2%)ものの一つです。
こういった傾向から外れている項目や、同じくらいの回答数なのに正答率の平均の差が異なるものを注目することの方がより影響力をもつ因子を見つけることができるかもしれません。

とても面白い考察で、その資料はとても興味深く、いろいろなことを考えさせるものでした。結論から言えば、新聞記事が正しいかどうかははっきりとしません。資料というのは見せ方やとらえ方で違って見えると言っていいかもしれません。うっかりすると、結論をミスリードさせられる危険性もあるのです。
「授業と学び研究所」のミーティングは、私にとって、こういったことを学ぶ貴重な機会となっています。
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30