「アクティブ・ラーニング」や「全国学力学習状況調査」について考える

先週末に授業と学び研究所のミーティングが行われました。

最初は、前回に引き続き「アクティブ・ラーニング」についての発表とそれをもとにした話し合いでした。文部科学省の資料に止まらず、元になった会議の議事録も丹念に調べて、資料の背景まで探った発表から大いに学ぶことができました。「アクティブ・ラーニング」の背景やその先にあるものが少し見えてきた気がします。知識基盤社会、グローバル化といった言葉と合わせて考えていくと、小中高大を貫く学びの軸を作り直し、公教育の質を転換しようとしているように思えます。学校教育の目指すもの自体が大きく変わっていくのかもしれません。
一方、2冊の本で著者が「アクティブ・ラーニング」どのように定義しているかを比較する資料も他のメンバーから出されました。人によってとらえ方がかなり違っているように思われます。「アクティブ・ラーニング」が具体的にどのようなものかについてはこれからしばらく異論がたくさん出てくることと思います。文部科学省はもとより、いろいろなところからどのようなことが具体的に発信されていくのか注目する必要があると思います。

先日発表された速報をもとに全国学力学習状況調査の都道府県の状況の変化についても発表されました。マスコミは都道府県の順位ばかりをクローズアップするので、下位の県が急上昇したというような記事になりがちですが、平均正答率に対してどれだけ差があるかという資料を見ると違った姿が浮かび上がってきます。それは、何年もかけて少しずつ成績が上がってきているということです。最初は差が大きかったので、成績が上がっても順位は変わりませんが、時間をかけて追いついてくると少しの点数のアップで順位はそれこそ一気に上がるのです。具体的な方法の是非は置いておいて、こういった県が地道に対応をしているということです。最下位の県と平均正答率の差は3%ほどです。平均点が60点の試験で、ある学級の平均点が58.2点だとして、この差を大きなものと皆さんは感じるでしょうか。それよりも成績の分布の仕方や問題ごとの考察の方が大切です。都道府県別の順位ではなく、そういうところにもっと目を向けてほしいと思います。
また、順位が上位の県も今度はそれを維持しなければいけないという、別のプレッシャーがかかります。子どもたちが、春休みや4月に全国学力テストの過去問題に取り組むという姿は、どうにも本末転倒しているように思うのは私だけでしょうか。
ともあれ、学力や成績を順位で見るということは本質を見落とすことになります。成績の振るわない子どもが努力して試験の点数を上げても、相対評価である順位は変わらないこともあります。教師はそういった子どもの努力や成果をきちんと見て評価することが必要です。全国学力学習状況調査もそういった視点が大切だと思います。
こういったこととは別に、外国籍の子どもの多い県では似たような傾向があることにも気づきました。きちんと整理・考察ができているわけではありませんが、小学校の成績(特に国語)が悪いのですが、中学校ではかなり高い成績を取るのです。こういったことについて調査研究している例がないか探してみたいと思いました。

この日も多くの学びがありました。こういった授業と学び研究所で日ごろ話し合われていることは、「授業深掘りセミナー」の「教育情報知っ得コーナー」でもお伝えしていく予定です。
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