GDMの研修でアクティブ・ラーニングについて考える

地区の教育研究会主催の英語の研修に参加させていただきました。愛知文教大学講師の松浦克己先生によるGDMを活用した英語の授業についてのお話しでした。GDMの内容についてはいつも教えていただいていることと大きくは変わりませんでしたが、GDMの考え方とアクティブ・ラーニングについての関連をお話しいただいたのが新鮮でした。

GDMでは教師は何も説明しません。全員が「わからない」から出発します。だから子どもたちが「わかった」という達成感は非常に大きいものになります。「自分で」わかったと思うから、意欲もわくのです。「わからない」から出発するから「気づきを保障する」ことが大切になります。GDMでは、教師がやって見せる”situation”から考える、絵を見て考えるといったいくつかの場面があり、子どもたちはそのどこかで「必ず」わかると経験的に理解しています。だから、わからなくても頑張って参加し続けるのです。
アクティブ・ラーニングで大切なことは同じです。子どもが「わからない」からこそ「わかりたい」と思い、だからこそアクティブになるのです。

“slow learner”は、説明されないとわからないのではないかと考える方も多いのですが、教師がする文法の説明は抽象度の高いものです。“slow learner”にとっては抽象度の高い説明はなかなか理解できません。また、教師の説明は原則一度だけです。単語や句は何度も練習しますが、具体的な文章は数回練習をして終わりです。自分で考えることもなく、丸暗記をするだけです。これでは定着しません。英語はスキルだから考えることに向かないという方もいますが、そんなことはありません。GDMではできるだけ”root sense”で具体的な例をもとにその”situation”を表わす文で何度も繰り返し学習します。具体で考えることから、帰納的に子ども自身で理解していきます。数多くやることで定着度も高いのです。
「子どもたちが考えながら活動することを通じて英語を理解していく」というGDMの構造は、アクティブ・ラーニングそのもののように思います。

GDMでは子どもたちが理解できるような速さで英語を話し、何度も何度も繰り返して活動させながら考えさせます。そのため、とても時間がかかるように思われる方が多いのですが、実際に授業を見ると展開は決して遅くないことに気づきます。教師の説明がないからです。一般的な授業では教師が話している時間が実はとても長いのです。だから、その教師の説明を止めるとずいぶんと時間ができるのです。これも私たちが心しておくべきことです。

今回は、GDMの話だけでなくアクティブ・ラーニングとの関連についても納得できるお話をいただき、大変勉強になりました。久しぶりに松浦先生とお会いして、とても楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
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