愛される学校づくり研究会

【第14回】鉄は熱いうちに打て! 1年生の生徒指導が3年間を決める!<苦しいことをどんどんやらせよ!―駅伝編>その7


 駅伝大会当日、6時15分集合。真っ暗な中生徒たちが集まってくる。
 6時30分一次アップ開始。

 いよいよ本番の日が来た。生徒たちの顔はここちよい緊張感の中、引き締まって見える。残念ながら選手からはずれた生徒を含め、約200名の生徒の列が、暗がりの中を整然と動き始める。少し立つと、太陽が昇り始め、少しずつ明るくなる。ピンと張りつめた空気の中で、トラックを走っている生徒たちの様子は実に壮観である。
 練習をしていると、引率の先生たちの車が次々に集まってくる、ほぼ、牧中の先生総動員、それでも足りないのでPTAの方も協力してくださっている。牧中の教師集団の団結力、PTAの方のフットワークの軽さ・・・素晴らしき牧中の伝統に感謝したい。

 8時を少し過ぎると、それぞれの区間の受付時間に合わせて、学校を出発していく。
 9時05分スタート。それぞれのドラマの始まりだ。ゴール地点に待機している私は時折放送される途中経過を聴きながら、ただひたすら待つしかない。目標は「全チーム完走、繰り上げ発走なし」だ。私にとって非常に長い時間だ。
 しばらくすると、アンカーを出迎えるために、各区間の選手たちが集まってきた。結果は別にして、どの生徒の顔もとてもさわやかで、輝いている。一つのことをやり遂げた充実感に溢れている。
 

  「先生! 私一生懸命走ったよ!」
  「本当に気持ちよかった! 駅伝本当にいいわー!」
  「くそー! 思うように走れなかった!」
  「4人も抜いたよ!」


 中学校の一位が戻ってきた!
 小牧西中だ!
 2位は?
 北里中だ!
 来た!
 3位に小牧中だ!
 「ラスト! 頑張れ!」
 大きな声援がとぶ!
 牧中の各チームが次々にゴールしてくる。誰の顔も真剣そのもの、力の全てを振り絞り走る姿は実に美しい。そうしている間に全てのチームがゴールした。繰り上げ発走はなしだ。

 こうして小牧中学校の駅伝部の活動は終わりに近づいていく。
 大会翌日には、個人の結果と、チームの結果を添え、駅伝部報を生徒たちに手渡す。
 

平成16年度 駅伝部報<No.7>

−牧中より愛をこめて!−


 駅伝大会の結果です。
 思うような走りができず悔しい思いをした人、自己ベストを出すことができた人、区間賞がとれた人。いろいろな人がいました。思いは違っても、この経験は人生の良き思い出となることと思います。大会を終え、今年もみなさんに感動を与えてもらえたことに感謝したいと思います。

●1区のプレッシャーに押しつぶされそうになりながら精一杯走ってくれた選手たち・・・走り終わった後のすがしがしい笑顔が印象的でした。

●あの苦しい坂を必死に上ってくれた2区の選手たち、辛い区間であっても決して愚痴をこぼすことなくベストを出し切ってくれました。

●3区の選手たちも、全ての人が全身全霊を傾け、アップダウンの激しいコースに果敢に挑戦してくれました。

●獣道を通る4区、沿道の応援も少なく自分との戦いだったと思います。3年生のO君、1年からの誠実な取り組みが最後の最後に結果として残りましたね。区間賞おめでとう!

●足に負担のかかる下り坂の連続の5区をみんなよく耐えて走りきりました。試走の時のベストタイムが出せず、悔しさをにじませた人もいました。それは駅伝にかける思いが強いからだと思います。

●短い距離ですがスピード勝負になり、思っているより苦しい6区のみんなも素晴らしい走りを見せてくれました。昨年直前に体調を崩し出場を断念し悔しい思いをしたAさん、区間賞おめでとう! 今年の記録は凄い記録ですよ!

●意外と風の影響を受けやすく実は走りにくい7区。試走に比べると多くの人が良いタイムをたたき出すことができました。1年生の時はそんなに速くなかったBさん、区間賞おめでとう! 陸上部と駅伝部でこつこつ積み上げた結果です。自信を持ってください。

●順位が変動しにくい耐える区間8区をみんなよく走りきりました。先が見えない前の人を追いかけるのは凄く精神力がいります。

●そして最後を締めくくる9区のみんな・・・パークアリーナに入ってくる姿輝いていました。最後の最後まで自分の前にいる人を抜こうとする姿は素晴らしかったと思います。特に3年生のFさん・・・前日点滴を受けての完走感動的でした。駅伝部を愛してくれてありがとう!

●その他にも、体調が万全でない中、歯を食いしばって走り次にたすきを根性でつないだ人・・・。17チーム153人それぞれ、本当によく頑張ったと思います。また、部活動で強制参加! と言われ、持久走なんて大嫌いだと思いながらも、最後まで参加した1・2年生の人たち。よく頑張りました。その根性は、これから自分のいつもやっている部活で必ず生きてくると思います。残念ながら出場することができなかった駅伝部の人、人は競い合う仲間がいるから向上することができるのです。最後まで参加し、パークアリーナやいろいろな区間で友だちを応援する姿はとても気持ちのよいものでした。

 ・・・今年も、本当にいろいろなドラマがありました。駅伝の喜びや、悔しさはやった人でなければわかりません。そういった経験が自分の人生を豊かにしていくのです。練習も辛く、苦しいことがたくさんあったと思いますが、「苦しみを乗り越えたところに大きな喜びがある」のです。結果はどうであれ、走り終えたあとのみなさんの顔は本当にさわやかで輝いていましたよ。

 1・2年生のみなさんのもとには、来年もきっと迷惑な招待状が届くでしょう。「いやだー」と思うか、「よし、言われた以上の事をやって、優勝してやる」と思うのか・・・なんかそんなところで、自分の人生が変わってくるような気がします。ゼッケンコレクターがまた増える事を期待しています。

 3年生のみなさんは、いよいよ受験ですね・・・。駅伝と同じように、先を焦らず自分の力を信じて、一歩一歩確実に前進できるよう心がけてください。また、高校受験はゴールではなく単なる通過点にすぎません。「ねばり強い、夢をあきらめない気持ち」があれば、君たちの夢は必ず実現できます。「努力は自分を裏切らない!」ことを信じ残り少ない中学校生活を送ってくれることを期待しています。それから、最後に・・・駅伝部の活動をサポートしてくれたまわりの人への「感謝の気持ち」を忘れないでください。お家の人・友だち・先生・・・。「ありがとう・・・」たぶん一番美しい言葉だと思います。

 先生からも、「駅伝部のみなさん、先生にまた感動を与えてくれて本当にありがとう・・・。」それから・・・3年生の女子の人、せっかくがんばって練習してきたのに3位入賞させることができなくてごめんなさいね。先生がもう少し効率のよい練習をしていれば・・・。大会が終わり家に帰り結果報告をこうして作っていると自分に対するふがいなさ、悔しさがこみ上げてきます。悲しくて涙がこぼれました。「200人も面倒みとれるかー」とやけくそな気持ちにもなりました。でも、17チームの人たちが、走っているときは何も考えずただタスキを次の人につなげることだけを考えて走っている姿を思い浮かべると、結果ではなくて「駅伝」って本当に素晴らしいものだなーという気持ちに変わってきます。

 1・2年生の人、ぜひ明日から走って、今年の悔しさを来年にぶつけましょう!・・・男子! 古知野に勝ったのは「超気持ちよかった」ですね! 要するに県大会レベルだったと言うことです! 1・2年生の秘めたる力を持った人! 努力すれば夢は必ずかなう! 来年の優勝をねらいましょう!
 

(鉄は熱いうちに打て!1年生の生徒指導が3年間を決める!<苦しいことをどんどんやらせよ! 駅伝編>その8につづく…)

(2005年4月4日)

杉浦先生title.gif

●杉浦 嘉一
(すぎうら・よしかず)

小牧中学校教諭。学年主任、保健体育担当、剣道部顧問、伝統の駅伝部総監督。年度末に校内で密かに出す「人事ファン」(杉浦の人事異動予想紙)はあっという間に売り切れ。お茶目な中に本質を突く学校教育論を書かせたら右?に出る者はいない。子どもの傍らにいつもいる存在であるように学校中を動き回っている。