愛される学校づくり研究会

★このコラムは、ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。先輩教師として若い先生方に、「こんなことをしたらうまくいかなかった」といった失敗談を語っていただきます。

【第46回】田中雅也 先生
 「いきおいだけでは…、独りよがりでは…」

新任として赴任したのは中学校。いきなり宿泊学習が目前に迫っていたこともあり、学年主任のリードの元、躊躇する間もないままにどんどんものごとが進んでいく。「中学校ってすごいところだなー」というのが、今でも強い印象で残っている。とにかく進んでいくこと、後ろなんて振り返っていられない…。同じ学年にいらっしゃったベテランの女性の先生がマイペースでやっていらっしゃるのがなんとももどかしく感じるくらいであった。
 一方、部活動では超スーパーな先輩と一緒に女子バレー部を担当し、朝夕だけでなく、休みの日も1日中練習、試合、練習、試合…。このような毎日はとても充実していて「よし、まわりの先輩の先生方に遅れない・負けないようにとにかく進めていこう!やればできるぞ!」こんな価値観が知らず知らずに自分の中にできあがっていた。
 さらに、何も起こらないことをいいことに、学級経営もただこなしていただけで、中・長期的な目標など持たずにそのまま日々が過ぎ…実はたいしたこともしていないのに、「自分は何でもできるんだ」という独りよがりの錯覚に陥っていたことが、後になって大きな代償とともに分かってくる。

2学期の中ごろになって、担任していた学級の中でごたごたが起こり始めた。特に女子。体育の授業では男子のみを担当していたので、女子とは朝の会と給食、帰りの会、そして週に一度の学活に道徳でしか関わっておらず、しっかり子どもたちをつかんでいなかった…学級経営がまるでなっていなかったのだ。
 問題の解決には、自分の力だけではなく、まわりの先生方の支援を頂きながら、それこそものすごい時間とエネルギーを要した。
 近くのクラスを見てみると、ベテランの女性の先生が、しっかり子どもたちを把握し、実にアイディアと所属感に溢れる学級づくりをされていて、自分の至らなさに愕然とした。
 そんな苦い実感を味わった自分は、今一度自分の一番近くの子どもたち、そして学級を見つめ直していこう、慌てずじっくりいこうと心に決めて再出発。もちろん、多くの先生方のアドバイスや支援いただいた。また、それを可能にしてくれる子どもたちであった。

若かった頃の自分は、その若さだけ、行動力(いやただ単に体力)だけを頼りに、自分の力だけでできているという錯覚と、これでいいんだという大きな思い違い、独りよがりをしていた。幸い、それに気づかせてくれた子どもたちと、温かい先輩方が近くにいらっしゃったおかげで、それではいけないことが実感できた。今でもこのときのことは肝に銘じている。今の学校では、まわりの人たちと、ちゃんと確認し合いながら、苦楽を共にしていきたいと願いつつの日々を味わっている。

(2011年7月25日)

失敗から学ぶ

●田中雅也
(たなか・まさや)

昭和60年4月より春日井市の中学校を皮切りに教員生活をスタート。その後、名古屋、春日井市の小学校、4年間の市教委指導主事を経て、本年度より出川小学校の教頭。小1から中3までの担任経験有り。中学校では専門が保健体育であるのに、あまりそのように見られないのには少々困惑気味。