愛知県教育委員会教育長・今井秀明から保護者の皆様へ

今井教育長

携帯電話を持つ方は、ますます増えているようです。また、その機能もどんどん拡張されているようです。初めは通話ができるというそれまでの電話をより便利にしたものでしたが、カタカナで“ケータイ”と呼ばれるようになってからは、電話というよりも一人一台のインターネットの窓口であり、カメラであり、メールの交換をする道具となりました。携帯電話でインターネットに接続することで世界中の人と瞬時に情報交換したり、情報共有することができます。24時間いつでもどこでも直接お店や銀行に行かなくても、欲しい物を買ったり、お金を出し入れしたりすることもできます。

しかし、一方で、迷惑なメールや個人情報の漏えい、出会い系サイトの危険など、トラブルや犯罪に巻き込まれたりしてしまうことも事実です。県内においても、女子生徒が出会い系サイトの被害に遭ったり、いわゆる学校裏サイトを使っていじめ問題に発展している事例もあります。インターネット上で子どもが引き起こすトラブルを、親が気づかないことも多く、気づいたときには、すでに子どもを守ることができない状態になっていることもあります。

そのため、こうした情報機器の扱いについては、予防教育が重要だと思っています。子どもたちを危険から未然に守るためには、携帯電話やインターネットが持つ負の部分に対抗できる情報モラル教育をきちんとやっていかなければならないと考えています。便利な物の裏側には必ずデメリットがあります。例えば車に例えてみるとよく分かると思います。車は上手に使えば、楽しさや便利さが何倍にもなりますが、不注意な運転をしていると大事故につながることがあります。車を運転するのには交通ルールの理解が必要なように、本当はケータイを使うのにもルールの理解が必要です。ルールを知らないまま携帯電話やインターネットを使っているのは、交通規則を教わらないまま車で高速道路を走っているのと同じ状態です。

これからの高度情報化社会では、誰もが情報の送り手と受け手の両方の役割を持つことになると思います。現在、携帯電話を持っていてもいなくても、今後ますます便利な情報機器が世の中に出てくることは間違いありません。このような社会の中で適正な行動がとれるように『情報モラル』について親子で考えていく必要があります。

携帯電話の契約は未成年者が一人で契約することはできません。契約には親の同意が必要です。保護者がその利便性や危険性について十分に理解した上で、各家庭において携帯電話を持つことの必要性を判断するとともに、携帯電話を持たせる場合には、利用に関するルールづくりを行うなど、親が子どもを見守る体制づくりが必要です。

このようなことから、愛知県教育委員会では、情報モラル専用サイト「i−モラル」を開設いたしました。保護者のみなさまもこの専用サイトをご覧いただき、ご家庭でも「情報モラル」について話題にしていただくなど活用していただければありがたいと思います。

子どもたちを危険な環境から守るためにぜひ一緒に情報モラルを学んでまいりましょう。