主張

平成21年7月3日

中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会

児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ 様

全国連合小学校長会長
向 山 行 雄

児童生徒の学習評価の在り方に関する意見

貴グループにおかれましては、日頃から学習評価の改善に向けて温かいご理解とご厚情を賜り感謝いたします。さて、新教育課程への移行に併せて必要となる学習評価の在り方の改善について、本会としての意見を提出いたしますので、ご検討いただきますようお願い申し上げます。



1 教科の特性を損なわない評価の観点を示していただきたい

各小学校では、この数年間、ほとんどの教科において、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点に準拠した観点別評価に努めてきました。しかし、教科の特性として、「思考・判断」と「技能・表現」の峻別が困難な教科があったり、「関心・意欲・態度」の評価が難しい教科があったりするなどの面もありました。

「習得・活用・探究」の観点からも、教科によるウエイトの違いが想定されることから、教科の特性が生きる柔軟な評価の観点を検討していただきたいと存じます。


2 保護者はじめ社会に対してわかりやすい評価方法を提示していただきたい

近年、学校が目標準拠の評価に苦心しているにもかかわらず、諸学力調査の結果(地域・学校の相対的順位)だけが一人歩きするような現象が生じました。今回の学習指導要領は「生きる力」をはぐくむものであり、教育基本法で明示された「人格の完成」と「国家・社会の形成者の育成」を目指すものとして、それに正対した評価の在り方が強く求められます。

保護者や社会も児童の「生きる力」を正しく見取れるようなわかりやすい評価方法を示していただきたいと存じます。


3 教員の勤務負担に配慮した学習評価にしていただきたい

新教育課程への移行期に入り、その授業時数の増加は、ほとんどの学校・学年で週時程へと上乗せされ、教員の多忙感・負担感はさらに高まってきています。

前回の学習指導要領と同時にスタートした目標準拠評価や観点別評価、そして単元に即した評価規準等も、適正な実施に努めてきたものの、評価活動の肥大化を招いた面があることも確かです。

再び「評価のための評価」に陥ることのないよう、教員の勤務実態を踏まえた「簡素で効果的な学習評価」(中教審答申H.20.1.17)の実現を図っていただきたいと存じます。


※ 全連小としては本年9月頃を目途に、評価の観点や評価方法の在り方などについて、各教科研究会から意見を聴取し、考え方や改善策をまとめる予定です。


全国連合小学校長会〔担当〕調査研究部長
有 馬 守 一 (千代田区立番町小学校長)
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