主張

平成19年7月4日

教育再生会議
 座長 野 依 良 治 様

全国連合小学校長会長
池  田  芳  和

教育再生会議第二次報告に対する見解

貴会議は、平成19年6月1日付けで「社会総がかりで教育再生を・第二次報告」をまとめられました。この間、第一次報告から短期間でまとめられたご努力に対し、敬意を表します。

また、改正教育基本法の下での「教育新時代」の創造に向けて、教育の構造改革を具体的に進める視点、生涯学習社会における子供を取り巻く教育環境整備に向けた多様な視点、国際社会に生きる人間の成長や発達課題への視点等を明確に示しての報告であることに対し、全国連合小学校長会としては真摯に受け止めたいと考えます。

さらに、公立学校批判を繰り返すマスメディアに左右されることなく、「がんばる学校、がんばる教師を支援する」という基本的な考え方が貫かれ、学校経営支援のための提言を積極的になされていることは重要なことであり、貴会議がこれからも学校現場の実情をご理解いただいた上で、提言されることを希望します。

本会としては、今後文部科学省や中央教育審議会が、この報告を踏まえて示す方向性に沿って、教育改革を推進すべきものと考えます。

持続的な発展を支え、国家社会の形成者をはぐくむ義務教育が一層充実発展するためには、財政基盤を確実に確保し、改革のための条件整備を十分に行うべきであると考え、下記のとおり見解を述べさせていただきます。



1  学力向上にあらゆる手立てで取り組む

 

「ゆとり教育」の見直しとして、五つの提言がなされている。これらの多くの提言は既に学校で進められていたり、文部科学省及び各教育委員会等で計画されていたりする事項が多い。教育現場を活性化し、創意を生み出すためにはどれだけ条件整備に徹することができるかにかかっている。

現在、学校では多忙感を訴える教員が多く、各種調査においても相当量の残業を抱えている実態がある。教員の質を高め、子供と向き合う時間を増やすためにも、授業時数を10%増やすことが教員の負担にならないような施策を講じていく必要がある。

また、メリハリある給与体系を「人材確保法」の趣旨を踏まえ、早急に予算措置をしたり、努力する学校や支援の必要な学校へ措置をしていくための財源を確保したりするとともに、教職員の定数改善をはじめとする条件整備が図られることを期待する。

さらに、学校現場に安易に競争原理を導入することで、学校間の格差を広げることになったり、公教育の持つ役割や機能を低下させたりすることがないよう慎重に対応するよう希望する。

2  心と体−調和のとれた人間形成を目指す

 

自分たちの力でより良い国づくり、社会づくりに取り組むことは、民主主義社会における国民の責務である。改正教育基本法では、個人の主体的な意思により、自分の能力や時間を他人や地域、社会のために役立てようとする自発的な活動への参加意識を高めつつ、自らが国づくり、社会づくりの主体であるという自覚と行動力、社会正義を行うために必要な勇気、「公共」の精神、社会規範を尊重する意識や態度などの育成を規定している。この実現に向けた提言であると受け止めている。

提言されている徳育の重視・自然体験の導入・学校と家庭・地域との連携は、本会としても以前から重要課題として取り組んできたことであり、今後も積極的に具現化に向けた施策を提言していきたいと考える。

規範意識や社会性の育成、家庭教育の充実など、改正教育基本法の趣旨を生かして施策を積極的に推進する姿勢は高く評価するものの、教育内容については、現在進められている第4期中央教育審議会と十分連携を図るなど、よく吟味し長期的な見通しの上でまとめる必要がある。

親の学びと子育てを応援する社会作りが人間形成上大きな力となることは全く同感である。社会総ぐるみでの教育改革を押し進めるならば、児童を有害な情報等から守るために、国や自治体が、マスメディアや企業に対し積極的に厳しい対応を迫り、世論を盛り上げることを期待する。

3  「教育新時代」にふさわしい財政基盤の在り方

 

現在、国の財政的な課題は十分承知しているが、ボーダレス化した世界の中で切磋琢磨し、豊かな人間性を備えた国際人としての日本人をはぐくむためには、教育予算の総枠を広げ、条件整備を行うことが重要であると考える。

「教育新時代」を開くための教育予算の内容は重要である。この報告が、教育振興基本計画に反映され、初等中等教育充実のための力になることを期待したい。中でも、教育の機会均等の実現を目指した四つの視点は特に重要であると受け止めている。

予算について、教育再生会議が、効率化を徹底しながら、メリハリを付けて教育再生に真に必要な財源確保の必要性を謳っていることについては評価する。

義務教育費国庫負担制度の国庫負担率が2分の1から3分の1となり、残りの部分は地方交付税として措置されることで、義務教育費が地域によって格差が生じるのではないかと危惧していた。このたび、公教育費マップの作成と公表が提言されたことについて高く評価する。できることから進めるという点で、国や各自治体が早急にマップ作成を実施されることを期待する。