主張

平成20年5月20日

教科書図書検定調査審議会総括部会
   部会長   杉 山 武 彦 様

全国連合小学校長会長
池  田  芳  和

「教科書検定の見直し」に関する意見

貴職におかれましては、日頃から我が国の教科用図書の検定等についてご審議いただきまして感謝いたします。教科書検定の改善について、本会としての意見を提出いたしますので、ご検討いただきますようお願い申し上げます。

1 検討手続きの改善方策について
教科書検定について、国民各位からこれまで以上に信頼を得るためにも、公正・中立な審議の促進や検討手続きの一層の透明性の確保についてご努力いただきたい。
また、検定にあたっては専門的な見地からの審議を一層重視し、関係機関による機械的な手続きによって進められることのないように配慮していただきたい。
小中学校の各教科における各出版社の発行する教科用図書を審議することは、膨大な労力を必要とすることについて、これまで以上に広く社会に説明して理解を得るようにしていただきたい。そうすることによって、専門的な見地からの審議の重要性が再確認され、より一層適切な検定になるものと期待している。

2 教科書記述の正確性の担保について
教科書の記述については、学問的な成果の上に立って公正・中立に記述されるべきであって、時の政治情勢や圧力団体等の声によって変更されるべきものではない。しかしながら、特に社会科教科書においてはとかく執筆者の意図や出版社の意向などによって、国民世論が対立する状況も散見された。
教育基本法が改正され学校教育法に義務教育の目的が明示されたことを踏まえ、これまでのような不毛な対立を生み出すことのないように、関係者一同が自覚して教科用図書にかかわる業務を遂行していくことが大切だと考える。貴部会においても、そのことを踏まえて審議を進めていただきたい。

3 新しい教育課程の実施に対応した教科書改善方策について
新教育課程を円滑に実施するためには、「生きる力」をはぐくむための教科書づくりについて一層工夫をしていく必要がある。
基礎的・基本的な知識・技能の習得と活用を図り、児童が探究できる内容・記述・体裁になるよう各出版社の努力を要請していただきたい。また、若手教員の増加に対応して、指導しやすい教科用図書とするよう審議を進めていただきたい。