★このコラムは、全国の校長先生や教頭先生のためにご提案する、IT機器を使ってのいわば学校運営術です。
【第3回】メールは職員とのコミュニケーションツール(1)
今年度から始めたことがいくつかあります。職員とのコミュニケーションを増すためのメール活用もその一つです。
大きく2種類のメール活用をしています。一つは校長、教頭、教務主任、校務主任の4人の連絡用として使っているメーリングリストです。
「わずか4人、しかも職員室で席が並んでいる者同士で、メールのやりとりをするとは…。顔を見合わせて話せばいいじゃないか」
と思われる管理職の皆さん、ぜひやってみてください。ぜひ経験してみてください。メーリングリストのよさがよく分かるはずです。
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校長室でふっと思い浮かぶことが多々あると思います。「そうそう、このことは教頭さんらに話しておこう」と思うこともあるでしょう。さっそく校長室を出て職員室へ。ところが、教頭さんは不在。「○○へ行ってきます」と出ていったことを思い出す。教務主任さんや校務主任さんも運悪く授業中。お昼には3人揃うから、そのときに一言伝えればいいと思いつつ、ついうっかりということは、だれでもあるでしょう。
また、自宅でのんびりしているときも、「あのことはどうなっていたかな。今後の方向性だけでも確認しておかなければ…」と考えることもあるでしょう。「学校経営にかかわって、このアイデアについて意見をもらおう」と思いついたこともあると思います。明日、学校でこの気持ちを伝えようと思っていても、出勤すれば接客や電話応対、文書決裁などが次から次へ。いつのまにか、思いつきは忘却の彼方へ。このようなことは神様でない限りあると思います。
もちろん逆のこともあると思います。これを校長に相談しようと思っていても、出張で伝えることができず、時間切れ! ということもあるのではないでしょうか。
4人で集まる時間がとれたとしても、十分な時間があるわけではありません。せいぜい1時間ではないでしょうか。自分がこの立場でなかったときには「時間的に暇なのは校長だけです」と思っていたものです。事実そうでした(笑)。1時間にどれほど濃密な相談ができるでしょうか。
今、こういったことを打開しているのが、4人がメンバーとなっているメーリングリストなのです。例えば、次のようなメールを流しています。 |
******メール1******
玉置です。
1 学習補充システム説明で来校。
5日に相談室に導入した学習補充で使うシステム説明のため、○さんが来校とのこと。
担当の□さんに話をきちんと聞いてもらい、理解してもらうように連絡済みです。時間があれば、我々も一緒にシステムを理解したい。
○さんとは長いつきあいになりそうです。
2 学校安全のために玄関に掲示。
保護者から光ヶ丘小学校と中学校の違いを指摘されました。
小学校は校門を閉めている、名札もつけるようにしているが、中学校は何もない。いいでしょうか?という意見です。
いろいろ考えることはありますが、安全のための決定打はないという見解を持っています。お考えをお聞かせください。
とりあえず玄関に学校安全のためライブカメラで撮影していると表示することにしました。今日、僕が貼っておきます。
******メール2******
玉置です。
子どもたちのあいさつの習慣化、今朝も1ヶ月が勝負と言いましたが、離任式での○校長の話、□さんの講話もつながり、さっそく動き始めているのがうれしいです。玄関においたあいさつカードは外部の方からも極めて好評です。
今日初めて聞きましたが、私がいなかった職員会議で□さんがあいさつカードの話をしたとき、だれかが私たち職員もカードを渡そうという発言があったとのこと。そういうさらに生かそうという意見はうれしいものですね。こういうことも含めて、△さんの日報にうれしいことが書いてありました。
職員室の雰囲気、確かに変わってきたと思います。活気に溢れていると思います。
コミュニケーションを生み出すためには、何かしらのハードルが必要なのだと思いました。
それも、共通のハードルが。
でも、本来は教師一人ひとりが自分で設定するハードルだと考えれば、教師の「自主性・自立性」が不足していたのだと反省させられます。
彼の言うハードルは何なのか、また楽しみにやりとりしてみます。
このような感じのメールです。連絡メールですが、校長としての思いをかなり含んだメールだと分かっていただけることと思います。面と向かって伝えるべきことと、こうしてメールで伝えた方がより伝わることもあるのではないでしょうか。とにかく確実にコミュニケーションは増すことは間違いありません。ぜひ試みてください。
次回は、もう一つのメール活用法を紹介します。
(2005年8月22日)