【第30回】コミュニティ・スクール・キックオフ・フォーラム、さまざまなスタイルと可能性
11月29日、文部科学省の主催で、「コミュニティ・スクール・キックオフ・フォーラム」と題して、五反野小学校を含む新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究校の成果発表が行われました。現在、コミュニティースクールの設置を検討している学校は、全国に約70校あるということで、高い関心を持った参加者で会場は埋め尽くされていました。中でも五反野小学校は、多くの時間をとって発表及びパネルディスカッションを行い、学校理事会設置を中心としたコミュニティスクールの創設に向けた取り組みについて報告し、新しい「学校運営協議会」の制度を超えた先進性が高く評価されていました。
五反野小学校の発表
コミュニティスクールと一口に言っても、その取り組みは実にさまざまで、今回の実践研究校7地区9校の発表は、コミュニティスクールの多様なスタイルと可能性をうかがわせるものとなりました。
五反野小学校以外の各研究校の特徴的な実践を紹介します
※習志野市立秋津小学校と京都市立御所南小学校の実践については、バックナンバーをご覧ください。<習志野市立秋津小学校>●学社融合で進める秋津小学校の新しい学校づくり
<京都市立御所南小学校>●コミュニティによる京都のまちづくり・学校づくり「御所南小学校」
■津市立南が丘小学校(三重県)
創立13年目の若い学校で、保護者や地域住民の参加による協議組織「南が丘地域教育委員会(Me)」を活用し、学校との緊張感のある協働関係のもと、さまざまな実践を行っています。特に、学校と協働した外部評価と提言の活動、地域と連携した「コミュニティ・ファンド」による資金調達が特徴的です。「コミュニティ・ファンド」は、地域の商店街に協力を要請し、売上の一部をキャッシュバックすることにより、学校や地域の教育活動を支援していく試みです。 その他、のべ295人にもなるスクールサポーター等の地域人材を活用しています。また、教育委員会では、地域の人々の意見を取り入れた校長公募や、応募による希望人事制度等を実施しています。 |
津市立南が丘小学校の発表 |
■新宮市立光洋中学校(和歌山県)
光洋中学校学校協議会の組織を中心に、学校の自立・学社融合をめざす学校運営システムの構築をテーマに研究を行っています。Tシャツの販売や自動販売機の設置による活動基金確保の活動や、学校を開放しての「ふれあい文庫(図書館の開放)」「ふれあい講座(カルチャー講座)」等の実践が特徴的です。 また、学校から地域に向けて行っている活動も盛んで、生徒一人ひとりがボランティアカードを持ち、海岸清掃や土手清掃など地域清掃活動を行っています。人事面では、民間校長を採用したり、周辺の3県に教員の公募を行うなど、学校の裁量権を拡大する取り組みを行っています。 |
新宮市立光洋中学校の発表 |
■岡山市立岡輝中学校、清輝小学校、岡南小学校(岡山県)
岡輝中学校と校区の二つの小学校による実践で、地域における生徒指導の機能を生かした新しい学校運営により、子どもたちが直面する課題(不登校、問題行動、学力不振)に対して取り組んでいます。 特に、シニアの方が小中学生と同じ校舎で、今の中学生が学んでいる学習内容の授業を受け、学活では自分の生き方・考え方などを話し合う「シニアスクール」は特徴的です。週に2または3回登校し、毎回5校時の授業を受けるカリキュラムで、小中学生との間にお互いのよさを見つけ出す交流を図っています。シニアスクールは、NPO化により研究指定終了後も継続される計画です。また、保幼小中連携による、さまざまな合同の教育活動・行事などを実施しています。 |
岡輝中・清輝小・岡南小の発表 |
■尾道市立土堂小学校(広島県)
創立104周年と実践研究校の中でも、もっとも歴史が古い学校で、保護者・地域住民の協議組織「土堂小学校地域学校協議会」による教育方針・経営方針のもと、公募により着任した校長が強いリーダーシップをとって、新しい学校づくりを進めています。 学校独自のモジュール授業による読み書き計算の反復学習の日常化や、特設三教科(英語科・郷土科・情報科)のカリキュラム整備など、特色ある学校づくりを支える独自の教育課程の編成が特徴的です。また、学校裁量による補助教員の採用や、塾や教材会社などとの交流による教材・カリキュラム開発など、教育課程に新しい視点を持ち込んでいます。 |
尾道市立土堂小学校の発表 |
(編集部 小西)
(2004年12月6日)