【第29回】コミュニティによる京都のまちづくり・学校づくり「御所南小学校」
11月24日という、京都が1年で一番賑わう時期に、京都市立御所南小学校「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の研究発表会があり、全国から約450名が参加しました。 |
当日、五反野小学校の理事や先生方とともに視察にいらっしゃっていた、足立区教育委員会事務局の市川保夫さんにお話をうかがうことができました。
足立区教育委員会の市川さんにお話をうかがいました
Q.御所南小学校の実践の特色などをお聞かせください。 A.御所南小学校は、平成7年4月に5つの小学校が統合して建設された、まさに京都御所のすぐ南に位置する新しい学校です。 平成9年度から研究開発学校の指定を受け、地域と結びついたカリキュラム開発に関わる研究をしてきました。これを継続してコミュニティ「創造科」に完成させたのが研究の成果のひとつです。 |
足立区教育委員会の市川さん |
当日は、2時間目の公開授業の際、3年生以上の総合的な学習の時間で、「たんけん京の町」「伝統と歩む」「共に生きる」等の授業の中で、多くの市民がゲストテーチャーとして参加しています。
Q.そこから御所南コミュニティが形成されていったのですね。
A.実践の背景には、京都の伝統文化の伝承という非常に大きなまちづくりの課題があったと考えられます。文化コミュニティ、福祉コミュニティ等の12の小グループが形成され、総合的な学習の時間にゲストテーチャーとして関わっています。その代表が理事として、地域学校協議会(御所南コミュニティ)を形成しています。この協議会の活動がふたつめの研究成果です。協議会は、教育課程の編成や各コミュミニティの企画・活動の総括、学校評価などを行っています。
Q.同じ研究指定校である五反野小学校とは、どのような点が異なりますか。
A.五反野小学校の取り組みと比べた場合、御所南小は保護者・地域の学校教育参画が中心のような感じを受けます。この点、五反野小は、学校経営に保護者・地域の要望・意見を反映させるしくみを模索し、その結果、教育課程の編成段階から主体的に、学校理事会が関わり、基礎・基本の定着や社会性の育成などの教育活動の指針を作ってきました。
御所南小では、京都市の中心にある、いわば「特別な学校」を京都市民、行政、学校が連携して新しい学校づくりに取り組んでいるようすがわかりました。
Q.分科会では、「9年間を通した小中連携」に参加されていましたが。
A.広島大学大学院の小原友行教授が指導助言者となり、小中連携の良さ・特色と、その必要性、今後の課題等について、テーマを深める分科会となりました。
分科会のようすをメモしましたので、そちらをご覧ください。
小中連携についての分科会のようす(メモ)
1.小中連携の良さ・特色(1)教員力がアップする
小中の教員が一体になることにより、教員の力が×2倍以上の効果がある。
(2)子どもたちの連携が図れる
小中の子どもたちが一緒に活動することで、中学生がやさしくなった。
(3)小中のカリキュラム連携による効果
小中のつなぎを意識しカリキュラムを上手くつくることで、
小から中への進級時に生じるつまずきを予防できる。
2.小中連携がなぜ求められているのか
(1)生涯学習の土台づくり
9年間という期間は、生涯学んでいくうえでの土台づくりの時期である。
(2)学校・地域の良さを生かすことができる
(3)特色ある学校づくり
3.今後の課題
(1)カリキュラムの編成
<例え>
栄養(目標)をつけるために…粉ミルク(小中連携カリキュラム)を。
ただし、粉ミルクを溶かす水【小中の異文化理解・交流(学校行事等)】が必要。
(2)小中の壁
<壁を崩す7か条>
・小中の教員の間には、研究等に取り組む姿勢に差があることを理解すべし。
・管理職(校長)は環境づくりを必ずすべし。
・システム構築を必ずすべし。
・小中の教員は、必ず相互のビジョンを共有すべし。
その際逐次最新情報を共有すること。
・強力なリーダーシップを持った推進リーダーが不可欠。
・互いに歩み寄り、ともに活動するなかから学ぶべし。
・小中の教員は視点が違っているため、どんな小さな事でも良いところを探すべし。
・お互いに感動をもつべし。
どうもありがとうございました。
(編集部 小西)
(2004年11月29日)