【第27回】学社融合で進める秋津小学校の新しい学校づくり
11月12日、五反野小学校と同様に文部科学省の「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の指定校になっている習志野市立秋津小学校が第3年次の最終発表会を行いました。 |
■秋津小学校の研究の内容(4本柱)
- 1.地域ニーズを学校運営に生かすシステムの構築・充実
- ・「地域学校協議会」の推進及び推進体制・活動の充実
- ・学校教育活動の評価、及び評価結果の説明手法などの研究
- 2.学社融合による教育活動の開発実践、学校教育・生涯学習のより一層の充実活性化
- ・教育活動支援システムの意義と改善
- ・学校支援ボランティアによる教育活動推進システムの拡充
- 3.柔軟なカリキュラム編成
- ・新教科としての“人間だいすき「ふれあい科」”の設置
- ・地域行事を学校行事に組み入れた教育課程の編成
- 4.校長の意向を尊重した教職員人事
- ・学校教育の充実、活性化を図るための学校による非常勤講師の公募、配置
- ・校長の意向を尊重した教職員の配置(市内公募)
当日会場にいらっしゃっていた、「秋津ファン」の一人で、学校と地域の融合教育研究会の会員でもある、足立教育委員会事務局の堀越幾男さんにお話をうかがうことができました。
おじいちゃん、おばあちゃんとなかよし |
そうじボランティア |
ばか面踊り |
秋津小と五反野小の実践にともに詳しい堀越さんにお話をうかがいました
Q.秋津小学校の実践に興味をもたれたのは、どんなきっかけですか? A.私は今回が7回目の秋津小訪問です。はじめて、学校を訪ねたのは今から7年前、読売教育賞を受賞した直後で、当時の宮崎校長から、まずはこの論文を見てから視察にきてくださいと受賞論文が郵送されました。 それ以来、私も“秋津菌”に冒された一人です。この地域は、団地建設をきっかけにした新興のまちです。ごたぶんにもれずインフラ整備をはじめ多様な住民要求が内在していました。その住民運動を「学校を場にしたコミュニティづくり」に結実させたのが秋津の事例です。 |
岸裕司さんと堀越郁男さん(右) |
A.ルーツはクラブ活動の協力員です。13のクラブに40余人の保護者・地域住民が支援しました。土曜日の3、4時間目という時間設定がまたアイデアでした。2時間をとったことにより、作って食べるのに精一杯だった家庭科クラブは、献立づくりから食後の茶会・後片付けまでゆっくり時間をとることができるようになりました。
また、運動の成果として、余裕教室を活用した自主管理のコミュニティルームができました。学校に併設された大人の学びの場である公民館によって、自分たちの生涯学習と、学びの成果を生かす学習支援の活動を加速させました。その他学校と地域の合同運動会や鹿沼市の実践を取り入れた学習支援ボランティアなどメニューは豊富です。
その後訪れるたびに感じるのが、どんどん校内に学習資源を作っていることです。それも手作りで、さらに父親がビオトープ、井戸掘り等にパワーを発揮して生き生きと参加しています。
Q.秋津小と五反野小は、同じ研究指定校ですが、だいぶスタイルが異なりますね。
A.五反野小と秋津小は文部科学省の「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の7件9校の研究仲間です。しかしながら研究に取り組むスタイルは全く異なります。五反野小は、国が示した要項に忠実に従い、利害関係者である保護者・地域の力を学校運営に生かすというテーマに、果敢にチャレンジしました。これは大変な力仕事で、その勇気とこれまでのご苦労は高く評価されてしかるべきです。その結果、わが国の公立学校ではじめて、英国モデルの「学校理事会」が誕生しました。
昨年3月のPTA広報紙に、学校理事会設立時にご指導いただいた梶間みどりさんに理事会設置一周年を祝い寄稿していただきました。成熟させるために試行錯誤をしていることに研究者としてエールを送りますという趣旨に感激しました。
一方、秋津小は平成2年の市の研究指定校以来、学校・地域密着型で培った財産をもとに粛々と進め、さすが横綱相撲といった落ち着きぶりを感じました。
Q.両校の交流がさらに進むとおもしろいですね。 A.文部科学省の実践研究をきっかけに、伝統ある地域が研究を契機に学校づくりに取り組んだ五反野小学校と、学校を場にしたコミュニティづくりを先進的に進めてきた秋津小学校が、「すべては子どもたちのために」という合言葉で固い握手をしました。今後は是非児童同士の交流ができればと思います。 |
(編集部 小西)
(2004年11月15日)