【第24回】全国初、新しい法律制度に基づいたコミュニティスクールが誕生
10月19日、五反野小学校の今年度7回目の理事会が開かれ、新しい法律制度(地方教育行政組織法改正)に基づいた「地域運営学校」(コミュニティスクール)に移行していくことを決定した。 |
同校は、文部科学省の「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究開発」指定校9校の一つとして、一昨年度から「学校理事会」を中心とした新しい地域立の学校づくりを研究・実践し、その成果は、文部科学大臣が視察に訪れるなど、今回の法律改正にも大きな影響を与えた。今後、東京都との協議や教育委員会の審議を経て、早ければ11月中にも、全国で始めての「地域運営学校」がスタートする。
「学校理事会」理事長の大神田賢次さんにお話をうかがいました
Q.これまでの経緯などを、あらためてお聞かせください。 A.足立区では平成12年度から「開かれた学校づくり」運動が制度化され、それに先立ってモデル校の一つとして五反野小学校も選ばれました。学校のオープン化、地域の学校化、授業診断・評価を3つのテーマに、地域コミュニティを取り込んだ学校改革の試みが始まりました。この協議会の活動、そしてPTAの活動が、今でも理事会の果たしている機能の原動力になっています。 |
「学校理事会」理事長 |
その後、二年半前に文部科学省の研究指定を受け、学校理事会制度によるコミュニティスクールへの道を模索してきました。今までの日本の歴史にない制度を公立の学校に結びつけるために、いろいろと試行錯誤をしてきましたが、新しい法制度のための参考事例となったり、先日は政府の広報番組で紹介されるなど、五反野小学校の取り組みが評価・注目されているのはうれしいことです。
Q.先日の理事会では、理事会と学校の関係に関して、踏み込んで議論がされていましたが。 A.五反野小学校の理事会は、「地域立」の学校という性格のもと、理事長が最高経営責任者(CEO)を務め、学校長は執行責任者(COO)として、理事会で承認された教育課程、教育方針を始め柔軟なカリキュラムの実施などを任されてきました。今回、新しい法律制度に基づくコミュニティスクールに移行するにあたって、「学校運営協議会」をどのような位置づけの組織とすべきか、非常に踏み込んだ議論が行われました。 |
このような議論が行われるのも、学校理事会にかかわる理事の方、そして地域や保護者の方の意識が、非常に高いことの表れかと思います。
A.五反野小学校の場合、開かれた学校づくり協議会の活動がずっとあって、その活動が理事会を全面的に支えています。新しくコミュニティスクールを作るということは、新しいコミュニティを作ることであり、その下地のないところでは、半年や一年で形作るのは非常に難しいことだと思います。
開かれた学校づくり協議会の活動が活発なことでもわかるように、五反野は、昔から地域コミュニティがよくまとまっているところです。25年前に「五反野コミュニティセンター」をつくる際も、初めての「住民管理」の施設として、町会を中心に約60回の建設準備委員会の会合を持ち、地域主導で計画を進めました。また、学校からの働きかけで地域が一体となった防災への取り組みなど、住民主導の発信と、学校からの発信が相互乗り入れしたコミュニティが、地域立の学校運営のしっかりとした基盤としてあるのです。
Q.今後の課題について、お聞かせください。
A.三年間の実践研究を通して、地域立の学校を運営するための一つの形は見えてきました。しかし、正直言って効率の悪いと感じる部分も結構あります。今までの結果に満足することなく、そういったことを整理し、改良していくことで、今後の五反野小学校のために、また全国の地域立の運営を考える学校のために、しっかりしたレールを作っていけたらと考えております。
ありがとうございました。
(編集部 小西)
(2004年10月25日)