【第21回】子どもたちの意欲を引き出す算数の選択学習
9月29日、算数の選択学習について、研究授業が行われました。選択学習は、5・6年生合同で行われる授業で、国語と算数の7つの講座が、それぞれ年間6回、30時間程度開講され、子どもたちは、それぞれの回で、自分の好きな講座を選択して受講することができます。
小学校における選択学習は、全国的に見ても大変めずらしい試みです。五反野小学校では、コミュニティスクールとして地域のニーズをもとに、子どもたちに確かな学力を身に付けさせるために、選択学習を含めた三階建ての取り組みを行っています。
選択学習 | 意欲を持って多様な内容に取り組み、もっと考え・伸ばす |
少人数・習熟度別指導 | 学習指導要領の内容の徹底習熟 |
パワーアップタイム | 読み・書き・計算等の基礎基本の学力の定着 |
■選択算数の3講座(9月〜12月)と本時のテーマ
●いろいろな立体をつくろう(図形) ・好きな角柱を作ろう ●おもしろ算数 ・二進法のしくみ ●算数検定7,8,9級にチャレンジ ・基礎計算練習 ・図形の問題(折り紙) ・12345を使って10をつくろう ・算数検定ミニ |
選択算数を担当されている藤谷緑先生にお話をうかがいました
Q.今回の講座は、立体がテーマですね。 A.子どもが意欲を持って取り組めるように、難しいけれども身近なものをテーマにするように考えています。 今回は立体がテーマで、立方体・直方体・角柱・円柱・角錐・円錐と多様な立体を取り扱っています。本時は、好きな角柱を作ることが課題でしたが、いろいろと試行錯誤をしながら体験的に学習をして、さまざまな角柱を完成させていました。とても楽しかったようで、工作用紙の残りを使って、クラスに帰ってからも、ミニチュアの角柱をたくさん作っていた子どももいました。 |
選択算数を担当されている |
A.子どもたちは、選択学習の時間をとても楽しみにしています。学習指導要領の範囲外のことも取り扱っていますが、子どもたちは頭を柔らかくして考えることや、知らないこと・難しいことを知ることがとても楽しいようで、大変意欲的に取り組んでいます。また、作った作品をクラスに帰って友だちと見せ合うことで、他の講座にも関心を持ち、次は「あの講座をやりたいな」と意欲を高めているようです。
Q.先生方は、どのような体制で取り組まれているのですか。
A.選択学習は月曜日の6時間目ですが、その時間に他の授業がない先生全員で取り組んでいます。具体的には、5、6年生の担任と少人数の担当の先生のほかに、1〜3年生の担任の先生も加わって、1講座2〜3名の体制です。担当の先生は空き時間を使って打ち合わせをして、講座に関する共通理解を深めるとともに、フォローをすべき子どもの確認なども行っています。講座の内容は、昨年までの内容をベースにして、子どもたちの反応を見ながらよりブラッシュアップしています。
Q.講座を運営する上での工夫などをお聞かせください。
A.選択学習は、時間との戦いです。限られた時間の中で、作品を完成させるなど、子どもに達成感を与えるためには、実物や掲示物などを工夫して、時間を有効に活用するようにしています。また、理解や作業の早い子どもに暇な時間を作らせないように、またゆっくり取り組んでいる子どもも何らかの作品ができ上がるように、課題を多様にするなどの工夫をしています。
Q.評価に関してもいろいろと考えられていますね。また、他学年の子どもを教えることはいかがですか。
A.選択学習の評価をどのようにするか、いつもテーマになりますが、授業の始めに、今日の授業の流れと、「ここまでやろう」というめあてを明確に示して、教師も子どもも評価ができるようにしています。最初は、担任している学年以外の子どもを見るのは大変だろうと心配していたのですが、担当する先生方の間での情報交換が密に行われているので、子どものことをよく知らないで見過ごしてしまうということはなく、うまく授業が進んでいます。
ありがとうございました。
(編集部 小西)
(2004年10月4日)