【第15回】地域のパワーを取り入れた足立区の教育改革
五反野小学校のある東京都足立区では、「教育立区・あだち」をめざして、地域のパワーを取り入れながらさまざまな教育改革が行われています。五反野小学校の学校理事会の母体となった「開かれた学校づくり協議会」も、第一次教育改革の取り組みとして、区内の小中学校に設置されたものです。
●第一次教育改革
- 開かれた学校づくり(平成12年4月)
- 学校選択の自由化(平成13年4月)
- 魅力ある環境づくり(平成12年4月)
●第二次教育改革
- ニ期制の導入(平成16年4月)
- 学力向上検討委員会と学力向上推進会議(平成15年11月・16年3月)
- 幼保園・コミュニティスクールでの挑戦(平成16年4月・15年1月)
●平成16年度の教育改革の取り組み
- 学力向上の緊急対応策の実施(夏休み対策・区独自の特別講師制度・授業改善等)
- 開かれた学校づくり協議会活動の充実による家庭教育力の向上
- がんばる学校を支援する新しいしくみづくり
足立区教育委員会教育改革推進担当部長の江口由紀夫さんにお話をうかがいました
Q.第一次教育改革のポイントについてお聞かせください。 A.第一次教育改革は、いわば「制度」の改革です。開かれた学校づくり協議会や学校選択の自由化、学校の統廃合など、制度面でさまざまな取り組みを行いました。開かれた学校づくり協議会は、区内の小中学校のほぼ全校に設置され、2600人のボランティアの方が核になって活動を行っています。 |
教育改革推進担当部長 |
A.第二次教育改革は、制度面での改革と同時に、たずさわる人の「意識」の改革が進むことを目指しています。平成16年2月に東京都教育委員会が実施した学力調査の結果を、区立中学校全校に関して発表しました。学力向上検討委員会では、各学校の校長先生がメンバーとなり、危機感を持ってこの問題に取り組んでいます。また、学力向上推進会議では、東京大学の市川先生などの専門家を交えて議論を深め、区の向上策のシステムづくりを行っています。
Q.今年度の取り組みに関してお聞かせください。
A.まず、学力向上の緊急対応策として、夏休み対策や区独自の特別講師制度などの施策を実施します。また、開かれた学校づくり協議会の活動をより充実させることで、家庭教育力の向上と学習習慣の確立を図ります。さらに、全校平等という予算配分の考え方はやめ、「がんばる学校」を応援する新しいしくみづくりを行っています。がんばる学校・教育研究推進校・コアスクール等の改革の核となる学校のしくみを通して、「内発型の改革」を進めていきたいと考えています。
Q.改革の中で、地域のパワーに大きな役割が期待されていますが。
A.これからの学校経営は、地域に情報を発信し、いかに地域の協力を得るかが鍵になります。その中で、開かれた学校づくり協議会が持つ役割が重要です。例えば、学校や授業をよりよくしていくために、学校評価の制度がありますが、協議会の活動を通じて家庭の教育力の向上を図り、保護者や地域も学ぶことで評価をよりよいものにしていくことができます。また、第三者評価を組み込むことで、評価の信頼度を高めていくとともに、学校と保護者・地域の相互の理解を深めていくことも考えています。
Q.教育改革の目指す成功のイメージをお聞かせください。
A.まずは、保護者や子どもたちが地域の学校を信頼し、子どもたちがみな自分の地域の学校に、安心して通う姿が目標です。そして、子どもと寄り添っている家庭の姿と、地域と一緒になって作る秩序も重要です。さらに、地域の学校を卒業した子どもたちが地域に就職して生業(なりわい)を得て、地域がより活性化することを目指しています。
どうもありがとうございました。
(編集部 小西)
(2004年8月23日)