愛される学校づくり研究会

【第9回】弾力的なカリキュラム編成を工夫した7講座の選択授業

6月30日、外部の講師の方を招いての、今年度2回目の研究授業が行われました。今回は、弾力的なカリキュラム編成の工夫の一つとして行われている、国語・算数の選択制の授業が取り上げられました。

 選択授業は、5・6年生合同で行われる授業で、国語と算数の7つの講座が、それぞれ年間6回、30時間程度開講されます。子どもたちは、それぞれの回で、自分の好きな講座を選択して受講することができます。昨年度のアンケート調査では、9割を越える児童が「学習内容がわかった」、「楽しかった」と回答している人気の授業です。

■今年度の選択授業の講座(4月〜7月)■■■
 ・言葉で遊ぼう&漢字検定7級にチャレンジ
 ・詩の世界を楽しもう
 ・起承転結で楽しいお話作り
 ・ブックトークをしよう
 ・算数検定9,8級に挑戦しよう
 ・模様づくりをしよう
 ・おもしろ計算
 ※今回の研究会では、この内、国語の4講座を対象に授業と検討が行われました。
 

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何れの講座も、昨年度までのノウハウを生かしつつ、担当される先生方がさらに教材研究を重ね、とても楽しくて、教科に対する興味・関心が高まる内容になっています。2回ずつ同じテーマの講座が続きますが、第1回の子どもたちの反応から、さらに講座内容をブラッシュアップして第2回を実施するなど、日々進化しつつ講座が進行しているようです。
 研究会の講師で、川崎市の小・中学校長、指導主事などを歴任され、国語教育、特にメディアを活用した作文教育がご専門の芳野菊子先生(産能大学教授)にお話をうかがいました。
 

研究会講師の芳野菊子先生にお話をうかがいました

Q.五反野小学校をはじめてご覧になっていかがでしたか。
A.学校を訪問すると、職業柄、まず「言語環境が整っているか」ということをチェックしてしまいます。廊下に貼ってある掲示物を見ると、その学校の言語環境が概ねわかるのですが、五反野小学校に貼られたたくさんの掲示物は、どれも字がとてもきれいで、誤字がほとんどなく、日常的な国語教育がしっかり行われている学校であるとうかがい知ることができます。
 
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芳野菊子先生

Q.選択制の授業をご覧になった感想をお聞かせください。
A.どの講座もとても魅力的で、自分が子どもだったら、どの講座をとるのか本当に悩みそうです。5・6年生一緒の授業というのもよいですね。一年間だけでは、なかなかいろいろできませんが、系統性のある講座に二年間じっくり取り組むことができること、そして6年生は5年生に対して指導的立場でより内容を深めることができる点などが優れていると思います。

Q.どのようなアドバイスをされましたか。
A.選択授業を始めて三年目ということで、前に学習した子どもの情報を聞いて、講座をさまざまに改良してきたようすをうかがいました。これらの成果は、五反野小学校の財産であり、これを全校で共有できるしくみが、より充実すればよいと感じました。優秀な作品を校内放送などで発表するのもよいかもしれません。情報を学校全体で共有することで、低中学年の児童にとっても目当てや憧れとなり、また、多くの先生方で児童に声かけをするきっかけにすることができると思います。
 
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Q.評価の方法についても話題となりましたが。
A.選択授業等での評価というのは、確かに難しい側面があります。しかし、子どもは、「自分にこういう力がついた」とわかることで、次のステップに進みやすく、その意味でも評価は重要と思います。
 私が担当している大学の授業では、相互評価のしくみを取り入れています。毎回、評価の観点を明確に示して、4人1グループで、相互に評価を行うやり方です。子どもの目を通した評価を通して同世代の人がわかる表現を目指すようになり、また、他人(ヒト)の作品を評価することは自分自身を振り返って評価することにつながるなどの効果があります。選択授業でも、応用できる場面があるのではないかと思い、提案させていただきました。

Q.各授業について、もう少しお話をお聞かせください。
A.漢字の講座では、基礎基本をこのように指導できたらいいなと思うような、本当に丁寧な指導を行っています。起承転結やブックトークでは、情報活用能力を育成しながら、とても楽しい素敵な作品を作成していました。ぜひ、校内での作品発表の機会を設けていただけたらと思います。また、詩の講座では、群読、暗唱、視写などの多様な表現活動を組み合わせた授業が行われていました。音声で表現することをより深めるために、録音機材などを活用するのも一つの方法かもしれません。

(編集部 小西)
   

(2004年7月12日)

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